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一般的な異世界人生。  作者: 納豆にはネギ
第一章 転生と決意編
1/4

プロローグ

 

 ピーピーと、アラームが鳴り響く。

 あまりのうるささで、目が覚めた。


「う、うるさい、なに?」


 俺、三条奏多(さんじょうかなた)は、アラームを止め、スマホを確認した。

 日付は12月25日。

 

 時刻は13時00分。

 

「やばい!!!」


 速攻で起き上がり、家を出る準備をした。

 なぜ俺が焦っているのか。

 それは、今日遊ぶ約束をしているから。

 待ち合わせはこの5分後。


 そして、相手は幼馴染。

 その相手とは喧嘩中。

 今日は仲直りするためのおでかけ!


 これを、遅刻すれば……わかるよね。

 絶縁待ったなしだろう。


 俺は無駄に広い家を、走り回った。

 諸々の準備が終わり、パンを焼いた。

 ちなみに、残り時間3分。


 パンを咥えて、家を出る。


「行ってきます!!!」


 いってらっしゃい。という言葉はこない。



---


 

 いけな〜い!

 遅刻遅刻ぅ〜。

 なんて思いつつ。


 家のすぐ近くの公園が集合場所。

 そこに、ギリギリ間に合い到着した。


「アンタ、寝起きじゃないでしょうね」


 開口一番のセリフがそれだった。

 彼女の名前は愛河(あいかわ)ルル。


 喧嘩してたから、こんなに刺々しい言葉ってわけじゃない。

 これが正常運転である。


 きっと、怒ってはない……はず。


「いや、ちがうよ! 楽しみだったよ!」

「あ、あっそ!? 別に私は楽しみなんかじゃなかったけどねぇ!?」


 腕を組み、顔を赤くし、声量を上げて喋り出した。

 ラノベをたくさん読んでるオタクの俺からすると、これは俗に言うツンデレ。


 な訳がない。

 ツンデレが現実にいるわけがない。

 きっと、本当に俺のことがムカつくんだろう。

 ルルは、他の人に対しては、優しい喋り方だし。


 ……でも、俺は彼女が好きだ。

 もちろん幼馴染として。


 些細なことで喧嘩してしまうことが多いけれど、ずっと1人の俺に愛想尽かさずいてくれるから。


 そう考えると、これからも、仲良くしていきたいな。

 

「じゃ行こうか」

「ふ、ふん!」


 ルルは、反抗的な声音で返事をしつつも、しっかり後ろをついてきていた。



---


 俺たちは、とにかく、はしゃぎまくった。

 遊園地で遊んだり、

 ルルの買い物に付き合ったり、

 俺が好きなラノベをお勧めしまくったり。


 そして、今は夕方だ。

 高校一年生の俺たちには門限がある。

 正確には俺たちではなく、ルルの家に門限がある。


 彼女は遊び足りなそうに、しょぼくれていたけど、「また行こう」と言うと、元気を取り戻していた。


 見た感じ、仲直りはできたと思う。


 そして、もうすぐルルの家に着く。

 今待ってる、この信号を渡れば解散だ。


 青になるのを待っている間、隣のルルが口を開いた。


「まったく、私たちがカップルなんてね!」

「あぁ、あれね」


 今日赴いたとある店でパフェを注文したら、カップル割引が適応されていた。

 そのことを、何故か上機嫌に彼女が喋っている。


「奏多はどうおもった?」


 ニッコニコの笑顔で聞いてくる。


「どうって……やめてって思ったかな」

「……」


 ルルは美人。

 スタイルも良いし、すれ違う人達が、振り返って二度見するくらいだ。


 それに比べて、俺は平凡なモブ。

 顔も普通で、身長も普通。

 そこら辺にいる男子。


 ルルからすると、俺なんかとカップルと間違われるのは死ぬほど嫌なことだろう。

 

 彼女は、将来、俳優みたいな彼氏ができてそうだ。


 う、想像したら、めっちゃ虚しくなってきた。

 ……自分の平凡さに。


「てか、信号長くない?」


 あまりの遅さに、そう言った。

 返事がこないルルの方を見てみると、

 いつしか、先までの笑顔が消えていた。


「え、ルル? 大丈夫?」


 体調でも悪くなったのだろうか。

 

「……い」


 なにか呟いた。


「え? ごめん、なんて言った?」


 聞き返すと、彼女は思いっきり息を吸い、俺に顔を向けて、


「アンタなんか、大っ嫌い!!!!!」


 と、大声を出して走っていった。

 ……こういうことはたまにある。


 突然の暴言。


 まぁ、慣れてるから、

 いつもなら追いかけず、メールで話す。

 

 しかし、追いかけるしかなかった。


 ――信号が赤だったから。


 トラックがきていたから。


「ルル!!!!!!!!」


 俺は彼女の名を叫んだ。

 今まで出したことがないような力で、突き飛ばした。


 ギリギリ、トラックには轢かれずに済んだ。

 

 ほっとしたその瞬間、


 バンっ!!!!


 と、ものすごい近くで音が聞こえた。

 

 痛い。

 痛い痛い痛い痛い、激痛だ。


 ……あ、痛くなくなってきた。

 頭がふわふわとする。


「か、奏多!!!!」


 走ってくる足音と、ルルの声が聞こえる。

 けれど、そちらへ顔を動かせそうにない。

 多分動かしたら、また痛くなる。

 痛いのは、怖い。


 ふぅ、大丈夫。

 俺は死んでない。

 そう、伝えよう。


「……」


 喋れん。

 終わったな。

 死んだ。

 絶対に死んだ。


 近くで泣き声が聞こえる。

 多分、幼馴染の泣き声。


 あー。

 悔いがあるな。

 

 ラノベもっと読みたかった。

 ルルの試合に応援に行きたかった。

 

 あと…………。

 両親が俺のことをどう思ってるのか、知りたかった。

 


---


 俺は、12月25日。

 ――死亡した。


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