2期 プリプレイ
・プリプレイ
刺すような日差しが、容赦なく地上の水分を奪う。
額の汗を拭いもせず、男は一歩一歩足を進めた。
アレを取り戻さなければならない。この村の未来のために。
* * *
GM:えーっと、うーんと…。
レコーダーのスイッチを入れ、紙とダイスを前にして。私ことGMはうなった。
なぜかというと……
R:ごめん、やり方忘れたw
一同:(笑)
プレイヤーも同じらしい。なにせ一年振りだから。
というワケで、たどたどしくも始まったTRPG『ヒャッハーと言いたくて無双された』。メンバーは前回と同じ、魔、D、三、Rの四人。
今回は午前中、お昼までに収録を済ませてしまおうという算段。そして午後には別のオリジナルシステムのテストプレイという強行軍だが、大丈夫だろう。
GM:えーと……ストーリーを決める、まずチームの名称を決めましょう。誰か、D66を。
注)今回は二回目という事で、細かいルール説明は割愛させていただきます。
詳しくは、一回目をお読みいただければ幸いでございます。
D:はい。61。
GM:『楽園』。もうひとつ。
三:じゃあ振りまーす(ころころ)、11。
GM:11…『色』。
三:楽園色?
R:楽園色。
GM:『らくえんしょく』って言うと、食事みたいだよね。
魔:間に『の』とか入れてもいいんじゃない。
三:楽園の色?
魔:そんな感じ。
GM:じゃあ『楽園の色』で行きますか。
組織名『楽園の色』。
正直、穏やかな出だしだな、と思いました。リプレイにするような内容になるか、不安を感じる始まりだと思いました。この時は。
GM:では……『目的』。
魔:(ころころ)3の……5。
GM:『中二病』。
魔:目的だよね?これ。
R:中二病目的なの?
GM:『〇〇のため、〇〇を奪った』だから、これは『中二病のため』。なにを奪ったかが………
R:(ころころ)11。
GM:『種もみ』。
R:エグいんだけどw
三:なんで中二病のために種もみ……w
魔:そうか、中二病のために種もみ…w
じわじわと。立て直そうとするたびに、妙なおかしさがこみあげてくる。
わずかなミスマッチ。これが、波乱にならない波乱の、静かな始まりだった。
GM:というわけで、予告になります。
『時は世紀末。荒廃した大地で『楽園の色』は中二病のため種もみを奪った。
それを取り戻さんと、今、一人の男が立ち上がる』
GM:……ヒーローは中二病に付き合ういい人な気がするんだけど?w
R:これは……田舎町でのJ〇の戦い?(一同笑)
魔:まぁ今のご時世、田舎町じゃなくても〇Aと戦う事になるかもしれないけど。
GM:あ~……あの農産物の問題が。とりあず、『楽園の色』というのを中二病っぽく変えますか。
三:…『楽園の色』(エデンズ・カラー)?
このすっと出た“エデンズ・カラー”のフィット感。対抗馬すら現れずに決定となる。
続いてヒーローを決めるのだが、現状では……
GM:種もみを取り返しに来る、中二病に対するツッコミのヒーロー。
R:もう世紀末感が薄れ始めてるのは大丈夫なんだろうかw農村での戦いしか浮かんでこないんだが?
GM:奇遇だな、こっちもだw
魔:砂漠じゃないよね、もう少し牧歌的というか…。ウチらも、かなり小さい子供たちみたいなのでw
D:種もみ奪ったんでしょ?田んぼも狩り終えた時期で……
魔:じゃあ水を抜いた後で……
D:土にはヒビ割れとかあって……
GM:あぁ、ちょっと荒廃感出てきた。乾燥してきた。
R:でもヒーロー歩いてるのあぜ道でしょw
魔:もうこの『楽園の色』、オレの中でお面かぶった子供でしかなんだけどw
GM:もうそれでもいいかもしれないw
というわけで、妙なベクトルで始まったセッション。稀に見る高HP31というヒーローが、中二病の子供たちから種もみを取り返すという方向に決まった。決まってしまったのだった。