【番外編】祭りのあとは 2
「一緒におまちゅり行きたいってなら、しょーいえばいいのに」
注文した果樹氷を片手に、果物店の中の飲食コーナーを陣取っているのは私達一行とレオン様とヨハンおじい様とロジオン様とシリン様だ。
もともとお祭りで外はにぎわっているが、店内は閑散とした雰囲気だったので人目の問題はないが、予想外の大物集団の来店に店内を任されていた店員さんたちの表情が固まっている。
「青と白のも一緒に行きたがっていたのを抜け駆けして出て来たんだ」
「どうしてでしゅか?
べつに仲良くおまちゅり見ればいい」
大人たちの表情は無視して、私は溶けてしまう前の氷にスプーンを突っ込んだ。
ふむ、この桃の味は練乳も混じっているのか、クリーミーでとても美味しい。
「セシル、はい、葡萄だよ」
お兄様が自分のカップを私の方に差し出してくれたので、私の桃のカップもお兄様に差し出し、交換して食べる。
うん、葡萄は濃厚な種類を選んであるのか、濃くてジュースみたいだ。
カイル様の苺はさっきいただいたので、次はお父様のリンゴとグレイのバナナを制覇すれば終わりだ。
夏とは違い気温が低いので、あまり食べるとお腹を壊すので一口ずついただくことにする。
私が一生懸命食べている中、大人たちは必死に言い訳をしているが、とにかく食べることが優先。話は右から左、左から右へ。
「青と白は妻帯者だし、色持ち全員揃った上に、皇太子カイル殿下まで一緒に歩いていたら、いくら気配を消しても皆気付く」
「かといって、祭りを楽しむ孫の姿を見たいというフルブライト様の気持ちも分からなくないし、僕は兄の白の大公に黙って出て来たんだよ」
そう、シリン様は実は白の大公様のかなり年の離れた弟だった。
白の大公様は皇帝陛下よりも数百年年が上で、長年連れ添った奥様との間に子供ができないから、将来シリン様が白の大公になるかもしれないという話を昨日知ってびっくりした。
三百年祭ということで、シリン様が若干年配になった感じの白の大公様と、栗毛に青い瞳の青の大公様と顔を合わせる機会があったのです。
青の大公様にはストロベリーブロンドの髪、銀の瞳のコケティッシュな感じの奥様が、白の大公様にも白い髪、赤い瞳の知的な感じの魅惑的な奥様がいらっしゃいました。
「あいつらは奥方と見物するからいいだろ?
俺はルカ達が楽しく祭りを見て回る姿が見たかっただけだ」
「でもまあ、なんだ。
せっかくだし、皆一緒で良いじゃないか。
俺も祭りは久しぶりだし、楽しみたい」
「レオン様もロジオン様も……」
おそらくこの中で皇太子殿下のカイル様と同等かそれ以上の発言権があるのはこの人ロジオン様だけだ。
ロジオン様がこう言っちゃ、皆従うしかない。
しかし、遠方?からきているロジオン様や、他国の使者のフルブライト様は別として、シリン様もレオン様も誰かデートに誘えばいいのに。
あ、そういえば、この国は「こぶ付」の方がもてるのかもしれないとこの前自分で言ったばかりだった。
立場的に位が高い方々だけど、一緒に居たい相手がいないのかもしれない。
だったら、このお祭りで、遊びに来ている女性と出会いを求めて子供の私達を口実にしているのかも?
うーむ。ナンパするようなキャラではなさそうだけど……。
「なんかセシルが変な顔してるよ、父上」
「な、おにーしゃま、しちゅれいでしゅよ!
レオンしゃまもシリンしゃまもおまちゅりで出会いを求めて来たのかと」
「こらッ、セシルッ」
「ぶっ」
「ぶほっ」
怒ったお父様と、噴いたのは大人数名。
その後、時間ぎりぎりまで、大人数で祭りを見て回ったのはいいけれど、失言のせいなのか、レオン様とシリン様にやたら構われ、お二方がおすすめする屋台の美味しい食べ物を「あーん」と食べさせられて、お腹ぽんぽこりんになってしまったのは、痛い失敗なのであった。
くーっ!
苦しいッ!
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