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撃鉄の響く戦場にて  作者: KY
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家宅捜査 そしてお・は・な・し

少し疑惑も作りました。

家宅捜索と言えば、昔の映画で『マルサの女』という映画がありました。 脱税した犯人に迫る職員さんの女性の話でした。

リアルも警察事件簿24時という番組でみますが、派手さはないですよね?

私も引きこもりの老人を引っ張り出して措置入所をさせる対応に参加したこともありますが、その時もどちらかいえば、淡々と行った記憶があります。

私はその方をストレッチャーに固定する役(暴れて自傷行為を防ぐため)になり、対応しました。

当然ですが、臭かったのは覚えてます。

同僚が家主がいなくなった部屋から使える衣服を探しに行ったそうですが、ぼろ切れしかなかったと、言われました。 彼曰く、無事そうでも多くの尿やみそ汁などにシミがあり、使用できなかったり、すでに使用に耐えられるような物がなかったそうです。


引きこもり問題も大変な問題ではありますが、私もコミュ障でもあるので、一つ間違えれば、私もそうかも思ってしまう今日です。

マサカツが貴族院に奇襲の為に移動をし始めた頃。

ある部隊が通常戦力部隊の協力の下、移動していた。

ジープや馬車、徒歩など様々ではあるが、出来るだけ気付かれないようにそれぞれの場所に向かって。

その一つに向かう隊員の乗るジープでは、最終確認の通信が来ていた。


「皆さんの状況はどうですか?」


「はっ!部隊各位はそれぞれの集結点で集結しております。 それぞれで装備や確保品の確認等の準備をしており、号令を待つのみとなっております。」


「そうですか・・・。 それは大変結構。 我らも準備を。」


「はっ!」


「着きました。」


運転手の到着の報告にジープから降りた彼らの長と思われる男は、目の前にある邸宅を見ていた。

彼の目的地はここの様だった。


「さて、私らも入りましょう・・・。 閣下に合わせないとね・・・。 手入れの準備を。」


「はっ!」


通信兵と思われる男性が準備命令をだす。

その通信を受けた隊員達が、各地でばらけていた者達が集まっていく。

相手側も警戒が始まるが、彼らの長は貴族院の中であるために厳命が出来ないままだった。

そうした中で長たる男が連絡を入れる。


「私です。 現時刻を持って、貴族及び商人宅に一斉家宅捜索を開始してください。 ご武運を。」


「作戦開始!繰り返す!作戦開始!」


通信機を兵に返した男の横をジープが突撃し、貴族と思われる邸宅門を踏み倒していく。

その後を数台の車両が駆け抜ける。


「やめろぉぉぉぉ!」


「うわぁぁぁ!」


館前にはショックランスを手にした隊員達が、襲い掛かる警備担当の家人を黙らせていく。

ない平原が歩くように歩く指示役の男と通信兵は館の中に入っていく。

すでに館内の警備担当者や非戦闘員の家人は集められており、分けられて玄関ホールに集められていた。


「どうですか?状況は?」


「はっ!容疑者の協力者数名と加担した家人も確保しました!証拠品は今、探索中です!」


「継続して捜索を。 他には?」


「地下室に囚われていた囚われていたと思われる女性を3名保護しました!」


「成程・・・。 違法奴隷ですか・・・。 まあ、良いでしょう。 証拠集めは続けてください。 私は聴取に入ります。」


「はっ!お願いします。」


男は囚われていた奴隷(?)の女性達から聴取を取ることが最初だった。

彼女らは出稼ぎにきたが、そこを誘拐されてここに連れてこられ、性的奉仕をさせられていたらしい。

他にもメイドに対するセクハラや性的奉仕の強要があった。 その他にも家人の市井の民の脅迫容疑が多くあった。

当然、誘拐及び物資輸送妨害の容疑だが、それ以外の容疑でも拘束することにした。

各種容疑や実行犯は多く、関連容疑や証拠品の確保は自身の派閥の私兵団も協力したことで、捜査・逮捕等がはかどった。

しかし、貴族派の協力商人や零細貴族も多く、楽ではなかった。

それでも先行で調べていたこともあり、効果的に確保が出来た。 その為、各捜査班が途中で合流と分散を繰り返したことで、多くの容疑者が確保された。


「隊長!各捜査班からの連絡で、容疑者の殆どを確保したとの報告が来ました!」


「分かりました。 私は閣下に報告に行きます。 車を。」


「はっ!では!」


「閣下に報告が出来る事が多いですね。 やはり貴族派は腐敗が進んでいるようですね・・・。 良い事ですね。 参りましょう。」


彼が乗った車両は当然のように貴族院の集会場に向かう。

道中の市場の通りは、普段と変わらない風景があった。

貴族院の集会場は貴族派の私兵が警備をしていたが、今はその恰好をした偵察隊の隊員が行っている。

警備兵の門へ進む彼を気づいた隊員が、敬礼をして開けてくれるのでノーチェックで入場する。

そのまま、閣下の待つ集会場前に車両を寄せて彼は共に来た隊員3名と共に待ち人のいる集会場へ進んでいくのだった。

待ち人である自身の上司である辺境伯様こと、マサル様に報告をするために・・・。


「アバロン監査官でオオンです。 貴方方のお屋敷を査察させて頂きました。 中々でしたよ。」


「報告を聞こう・・・。」


こうして、貴族派関係者の家宅捜索と逮捕が終わった。

多くの膿を吐き出させた上にそれから得られていた甘い汁を舐めていた者も大勢捕まり、被害者も出た。

隠し資産も多くあり、その多くが不正・横領で得た金銭や資産だったことで、加害者側にも被害者が出る事にもなった。 その上、多くの冒険者や傭兵団も加担していた為に少なくても傭兵団が2つ、冒険者の集団が4つ消えた。 元々、評判が悪かった連中ではあるが、国の戦力減退は招いた。


<王宮サイド>


城の謁見の間に続く廊下を宰相が歩く。

王に会うためだ。

謁見の間もほぼノーチェックで入室する。


「陛下。 辺境伯派が貴族派を急襲し、貴族派の多くの汚職の証拠を確保・拘束をしたようです。」


「そうか・・・。 あ奴らはそんなに隠して負ったか・・・。 国難なこの時期にのう・・・。 して、あの男はどうした?」


「はっ、辺境伯自ら敵の総本山を強襲し、容疑者すべてを拘束に成功。 別働部隊と共に参加した辺境伯派の私兵団が各貴族派の邸宅と商人の屋敷や店、関係者宅をはじめ、関係する物件のほぼすべてに手入れを行ったそうです。 彼らも捜査が来るとは思えなかったらしく、ほぼ一網打尽にされたそうです。」


「ふっ、わっーーーはっはっは!様がないのう!これで懲りればよいがのう!」


「ですが、陛下。 拘束された者の中には、御用商人も数名ではありますが居ります。 その上、陛下の末弟であられるライグンフェルド様もおられます。 派閥の者も3名程捕まっております。 そこはどうなさいますか?」


「そうじゃのう。 フェイドの奴と派閥の者、御用商人には目こぼしをするように頼め。 いくらあ奴でもわしらには、逆らわないはずじゃ!すぐに手配しろ!」


「畏まりました。 (そんな訳ないだろうがな、マサルがこれを貸しとして売りこむはず・・・。 これからが腕の見せ所という事か・・・。)」


宰相は退室しながら対策を考えていく。

今や最大派閥の貴族派はボロボロになり、瓦解もある中で王宮派の貴族に貴族派からの乗り換えを進めており、すでに13の貴族家が鞍替えを決めていた。

しかし、経済力となると、やはり辺境伯派がダントツであり、それに乗ろうとして彼の派閥の貴族家から嫌われ、王宮派に尻尾を振ってきた家もある。

今は有象無象の者でも取り込まねばならない。 いまは質より量で挑まねばならない。

辺境伯派が少数精鋭ならこちらは烏合の衆。

しかし、それでも対抗するためにはそれしかない。


「彼らは力を持ちすぎた・・・。 大きすぎる力は国を亡ぼす原動力になってしまう・・・。 幸いに彼らが組織を簡略化しやすい状態にしてくれた・・・。 まずはそこは感謝をせねばのう・・・。 今は勝たせておこう・・・。 しかし、勝つのは我らだ・・・。」


宰相の笑い声は誰にも聞かれず、分からずだった。

しかし、宰相はどう貴族派の押収資産や人材を自陣営に取り込むかを策謀するのであった。

今は小さい火種が徐々に燃え広がるのはもうしばらく後になる。

その時にアバロンに多くの火の粉が降るのであるが、まだこの時は分からないのであった・・・。


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