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撃鉄の響く戦場にて  作者: KY
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閲兵式②

まだ寒いです。

ブックマーク登録も40人以上の方にして頂き、作品評価も複数人にして頂ける所まで行きました。

ありがとうございます!

今後も評価及びブックマーク登録をお願いします!

一時間の休憩後、会場に再び人が集まった。

最初は陸上兵器が紹介された回だった。

次は航空部隊とのことで、最初より多くの人が会場につめ掛けた。

どんなものが披露されるのか、期待をしながら・・・。


会場に入ると、広場には何もない状態だった。

会場内の人々も迷っている様子だった。 そこに放送が入る。


「それでは航空部隊による閲兵式を行いたいと思います!上空をご覧ください!」


司会の女性の指示で、上を見ると爆音を響かせながら3機の零式戦が飛来した。

3機は会場席の正面に向けて飛んできた。

スモークを引きながら中央の機はそのまま飛び、左右の機は同時に左右に操縦桿を倒して会場上空を飛び去った。


「続きまして我が航空隊の爆撃隊の登場です!」


戦闘機よりも大きな音を立てながら、単発機を先頭に双発機、4発機と続き、5機以上の大編隊を形成しての登場だった。


「でけぇ・・・。 とんでもない鳥が飛んでる・・・。」


「戦場では双発機とかいう、飛行機をみた・・・。 それでもとんでもない損害を出したと、上官が言ってんだ・・・。 4発とかいう飛行機が来たらどうなるんだ?」


「分からない・・・。 想像も出来ない。」


庶民席の中には、航空隊の初陣時に参陣していた兵士もいたらしく、彼らの前で地面を開墾していた双発機の爆撃を目の前で見ており、それの光景から4発機がどれほどの破壊力が増したことを想像が出来ずに固まって、上空を通り過ぎる機体を見送った。

貴族席はといえば、沈黙が支配していた。

以前の彼らならトールハンマーは御しやすいと、思っていたからだ。

しかし、今自分の上を通っている機体に本能に近い恐怖から誰も話せなかった。


「・・・。 彼らはこれからも協力をするのだろうか・・・?」


「分からん・・・。 ただ、機嫌を少しでも悪くすれば、どうなるか・・・?」


「想像が出来ん・・・。 彼に娘を差し出した家と彼らと最初から取引をした者は、今では再興したり、資産を増やした者しかおらん。 彼らを通して少しでも良い印象を持ってもらうしか・・・。」


「ならば、彼らに仲介するように命令すれば良いではないか?」


「お主は馬鹿か?彼らの機嫌を損ねて、取り潰しになった家もある。 それは悪手だ。 絶対に使うな、というよりしてはならん。 あの武力を自領地に向けられたくなければ。」


「・・・。 わかった。」


貴族達の親が、どう対応するかを考えている中、子供は楽しんでいた。

上空では、練習機の複葉機での編隊飛行や戦闘機の模擬空戦が繰り広げられたからだ。 


「それでは我が航空隊が誇るパイロット有志による編隊曲芸飛行に移ります!20名の俳優の登場です!どうぞ!お楽しみください! まずは赤い機体の編隊飛行からです!」


単発機が20機、今まで以上に密集した状態で、やってきた。

5機と5機でそれぞれの編隊を組み、少し形の悪い逆M字を形成し、2つ飛んできた。

よく見れば、機種も違い、前の機体は青に塗装されており、後ろは赤に塗られていた上にまずは後ろの編隊が行うらしく、急上昇していった。 そこから失速寸前位から下方に広がる上方開花をした後で、キリモミ降下したり、すれ違い飛行や機体を互いに倒した状態での曲芸飛行で、赤い機体の編隊は機体を振って帰っていった。

それと引き換えに青に塗られた機体が一文字になり、観客席側にコックピットを見せながら、低速で一機ずつが、通っていく。


「続きまして、自己紹介をしておりましたが、青い機体の編隊の飛行になります!どうぞ!」


司会の女性がいうと、一文字のまま機体が急上昇し、そのままループし、5機ずつに分かれ、機体を半回転し、左右に分かれた。 その後は5機編隊のままでのすれ違い飛行や半回転した2機が互いの機体を限界まで近づけての飛行、単機によるアクロバット飛行をしたのちにこちらもバンクし、退場していった。


「以上を持ちまして、航空隊の閲兵式を終わりにしたいと思います!ありがとうございました!」


司会の女性の声で、彼らは現実に戻り、会場を去っていった。

見学者の群れは、会場外にある出店や屋台の食べ物を食べ、商人たちの出店や市民の作った民芸品を買う者がいるほどで、大いに盛り上がった。

 一方、貴族は庶民程に楽天的にはしていられなかった。

武力も、経済力もすべてにおいて段違いの実力を示したのだ。 良い関係を築いていたジョアンナの実家を筆頭にした20家程はさらなる関係の強化を考えていたが、それ以外の家はどうにもならない現実に絶望した。

 女性を送り込めてもマサルの近くにいなければ、寵愛は受けられない。

家臣としている事も重要だが、貴族の彼らにしたら意図して、妻や妾になった女性陣がジョアンナ以外は下級の貴族であることが気に入らなかったらしいが、王家がそれを認めてしまったことで変わった。 貴族位を失いかけていた家の出身者でもあるユリーダが、弟が跡目を継ぐことで復活を遂げた。 それ以外も騎士爵や男爵で、伯爵や子爵はおらずだった。


「やはり王家に掛け合い、今少し上位貴族の者から女を送り込まねばならんな。」


「そうです!我らもこの波に乗りましょう!」


彼らの野望は叶わなかった。

彼らの魂胆は見えており、家族でもお荷物になる年のいった叔母や姪を子供の教育係にねじ込み、洗脳しようとしている事が。

貴族の訴えは聞かれず、王家は上位貴族という囲いではなく、貴族全体でマサルの教育係を選別し、辺境伯領に送り込んだ。 全員で20名程で、殆どが部屋住みや在野に埋もれていた人材だった。


「ここがアバロン領・・・。 まさか自分がくるとは・・・。」


「団長。 これから領都にいるマサル様にお会いしたのちに王子様達との面会もあります。 よろしくお願いしますね。」


「はいはい。 分かりました。」


団長と言われた男性は、現国王の宰相を務めている家の4男で、学園では大変優秀ではあったが、採用されずにいた男性で、彼をサポートするために付き合いのある家から幼馴染の女性付きで、やってきた。 ちなみにその女性は幼馴染から婚約者に変えられて。


「まさか、仕事先があのアバロンとは・・・。 人生は分からないね。」


「そうですね。 私も貴方と結婚が確定した状態で、行儀見習いではなく、妻として送り出されるとは思いませんでした。」


「無理なら強要は出来ないから今なら帰れるよ?」


「国にいても貴方以上に好きになる事はないです。 それならあなたの傍で、貴方を支えます。 ついでに子種も下さいね?」


「そこまで積極的だっけ?でも、支えてくれるのは、嬉しいよ。 新しい場所で一人は寂しいからね。」


「(ボン!)・・・。 本気ですか?」


「勿論。 これからもよろしくね。」


「はい。 (鈍感!)」


教育係の一団も少し行き違いのある二人のいる所があるが、優秀な教師・世話係がきた。

彼らは教育が出来る年からは、様々な方法で王子たちを教育して彼らの生きる術を教えていった。

こうして、アバロン領は新たな起点に着いた。

貴族の横槍もまだ来る予感は大いにある中で・・・。

コロナウイルスの方も他府県に広がり、豪華客船に乗っている方々も高齢で持病持ちの方が多い為に余計に体が壊しやすい状態です。 常に閉鎖した空間にいる事は、やはり辛い物ですよね?

隔離されておられる方にも安らぎをです。

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