辺境伯領開発記④
さむい日が続いております。
皆様も体には気を付けてください。
駐屯して一年ほどで、大規模な物は少なくなった。
だが、開発は続いていた。
トールハンマーも航空隊は作戦機が当初の5倍の150機を数え、機甲部隊も連隊規模から旅団規模に拡充し、兵団の規模も万単位になった。
「しかし、ここまで大きくなるとは思わなかったよ。」
「それはないですわ。 あの勢いで開発すれば、そうなります。」
少しゆったりしたマタニティ用の制服を着たジョアンナが、答えた。
とうとう妊娠したのだ。
今は公務からは離れたが、マサルの秘書としての立場は変わらなかった。
他にもユリーダとエリザが、妊娠が発覚しており、ユリもその傾向が出始めていた。
当然、マリアも妊娠したが、2人以上の妊娠が分かり、早々に館に入った。 彼女の場合、無給でもお世話をしたいという人もいるためにこれを機にメイドを増やした。
「まさか私が双子以上を妊娠するとは・・・。 体が確かに重いが、そうなっていたとはな。」
「まあ、無理はしないで。 適宜にね。」
「うむ!」
開発しているうちに国の思惑で、結婚した女性全員に妊娠の傾向と妊娠が判明した。
そして、領地としてもそう簡単には負けないようなしっかりとした国づくりが出来た。
以前よりトールハンマーの人員も増えたことで、治安も安定し、魔物も山奥に行かない限り危険は減ったのだが、やはり盗賊はいるので警備は継続している。
「警備は継続してくれ。 民の安全は大事だからな。」
「分かりました。 それは訓練でもあるので継続されます。 あとは各地にいる駐在兵の報告がありますので、平気ですよ。」
すでにトールハンマーの古参兵の中でもマサルは尊敬を集めている。
隊員の訓練施設に現れる領主様。 訓練兵に混ざって、訓練を行い、訓練教官に摘み出される姿は訓練生の中でも有名な光景となった。
教官も無下には出来ないが、訓練兵の見本にもならないエリート兵でもある領主は訓練の邪魔にしかならないから追い出される。
「頼む~!デスクワークで疲れたのだ。 息抜きで良いから参加させてくれぇ~!」
「領主様!訓練兵の見本になれないから邪魔になります!出て行ってください!誰か!車を廻せ!館へ送還しろ!」
「はっ!分かりました!」
マサルはそのまま、ジープに押し込められて領主舘へ送還された。
館では、屋敷にいたマリアやジョアンナを含めた家人が、屋敷前で待っていた。
「あなた、また教官に追い出されてきましたね?」
「追い出さなくても良いじゃないか・・・。 隅っこで放置してくれれば、良いのに。」
「領主様はエリート兵の分類に入ります。 訓練兵の心をへし折られます。 教官たちの判断は正しいですよ。」
「・・・。 動かしたいだけなのに・・・。」
そのまま、二人の女性にせかされる様に館に戻るマサル。
書類仕事をしながら自領の運営に汗を流した。
「生産品の品質も向上し、出荷量も増えました。 それと並行して街の区画整理と拡張をしております。 軍事的にも拡張と設備の充実が図られております。 新技術開発局も正式発足したので、さらなる技術開発も進むはずです。」
「新技術開発局?」
「博士姉妹殿が立ち上げた部署になります。 知りませんか?」
「いつの間に・・・。 最近おとなしいと思っていたが、そんなことを計画していたのか・・・。」
「人員も独自に探したらしく、総勢40名の部署になったそうです。」
「マジか・・・。 まあ、良いか。 頑張らせよう。 サボったらしばく。」
「あははは・・・。」
新規で立ち上がった設備・組織ができた。
新たな領内の事業が出来た事で、さらなる安定が図られた。
「また、近隣の領主から妬まれるな・・・。」
「ですが、我らに逆らう方はいないですよ?まあ、民を唆して裏切らさせた方もいましたが、その後は我らからの借財の取り立てで、身売りをする羽目になったとか。」
「取り立ては厳しいかった?うち。」
「いいえ、こちらからはしておりません。 向こうが持って来てくれることがメインです。 しかし、踏み倒す方もいない訳ではありませんし、逆切れをされる方もいます。 酷い方はマサル様に対応を望む方もいます。 どんな形でも貴方様とのつながりが欲しい方は多いです。」
「借財で繋がりって、それは違う気がする・・・。 やはり通商の方だろ?」
「其方の方々は今では大きな利益を上げられているようで、今では季節の挨拶も土地で生産された物や工芸品を持ってくる方もおられます。」
「そうか。 そちらも順調でなにより。」
「また、悪質な領主様も主様に借財し、自領地を王宮に売り、爵位のみの法衣貴族になる方が増えているようです。 しかし、王宮内での役職がない方が多くなり、生活の質も下げることも出来ずに破産する方もいらっしゃるそうです。」
「それは・・・。 なんか大変だね。」
「仕方がないです。 それも貴族としての質が足りない証拠です。」
自身の領地の繁栄と共に伸びた貴族家もいれば、逆に落ちた貴族もいる。
一番最初に通商を結んでくれた騎士伯家の方は、今ではうちから仕入れた物を近隣の貴族家に売り、利益を出して、身分が低くとも大きな財を得た。 彼らは牧歌的な生活をしていたので、贅沢はしていなかったから支出は増えてもなだらかだった。 利益はどんどん増えたから領内の経済が良くなり、民の経済もよくなった。 それで里帰りする民が増えて、人手も増えたことでの経済活動が活発になったと、領主からお礼の手紙が来た程だ。
王宮に呼び出された際に新辺境伯領と関係して、成長した貴族家は20家。 逆に没落した家は35家を数え、王宮直轄地は2割弱増えたそうだ。 そのうち、領地が小さかった成長した貴族家が数家が加増され、それにより1割の直轄地の増加をしたのみに終わったが、それでも経営の厳しい家が多くなくなった事で、貴族の整理が行われてどうしようもない家は、取り潰された。
「我らにとっての足を引っ張る者が減ったのは良いことだ。」
「御意に。」
「マサルにも子が出来たことは、喜ばしい事だ。 妻たちの体を厭えよ。」
「はい。 ありがとうございます。」
「また、大変なら妻たちの家に援助を頼め。 手助けはしてくれるはずだ。」
「ありがとうございます。」
「退室してよい。」
「はっ!」
謁見の間を辞して、いつものように各部署に差し入れをした後で領地に帰還した。
舘に帰ると、妻たちがお茶を楽しんでいた。 腹部がゆったりとしたマタニティ用の制服や騎士服を着ていた。
「旦那様、戻ったか!どうだった王宮は?」
「ああ、経営についての報告と皆の体を気遣えと言われたよ。」
「我らのですか?世話役を呼んで良いのですか?」
「必要なら呼んで良いよ。 ただ、あまり多いと困るけど。」
「分かりました。 少し聞いてみます。」
「「「「私も。」」」」
獣王国の者は家族に繋ぎを出してみると言っていたが、マリアは家族は自分以外は殺されていた為、いなかったが、民の中ではメイドとして来ている者がいた為に彼らを世話係にすることにした。
それ以外の者は、実家に手紙を出したら全部の家が、世話係の者を派遣すると、言ってきた。 総勢20名の人が来ることになった。
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