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撃鉄の響く戦場にて  作者: KY
51/109

アバロン航空隊出撃!

おはようございます!

夜勤後の仮眠から目を覚ましました。

「偵察隊の報告だと、数万の軍勢なんだな?」


「はっ、規模が大きいために高度を上げて行ったとのことですが、遠目での確認ではありますが、銃や機銃と思われる兵器が、確認されたそうです。」


「なに!そうか・・・。 とうとう本格的に来たか・・・。」


「領主様、いかがしますか?」


「銃や機銃の類が来たのなると、本格攻勢と取るしかない。 やはり初撃は必要だ・・・。」


「どのような物をでしょうか?」


「・・・。 航空隊に連絡を。 出撃の準備を下命してくれ。 全力出撃を頼む。」


「はっ!連絡します!」


領主からの出撃準備命令を受けた航空基地では、サイレンが鳴り響き、出撃準備が全隊員に発令された。 整備兵や警備兵の一部が、整備や弾薬運搬を行い、パイロット及び機長は、ブリーフィングを始めて目標や攻撃方法が、話し合われた。 とはいえ、戦闘に投入できるのは戦闘機5機と陸攻3機のみ。 輸送機は後ろから積み下ろしではないために作戦未参加。 偵察機は偵察・戦果確認で参加した。 戦闘機には10キロ爆弾が各2発が、翼にぶら下げて飛び、陸攻は60キロ爆弾を20発と10キロ爆弾を10発を持って、飛び立つことになった。 合計で1400キロ分の爆弾が、初撃になる。 あとは銃撃である。 


「我らアバロン航空隊は小規模ではあるが、一撃を加えることの出来る部隊である。 領主様よりの直接命令が降り、一番槍の栄誉を受けた!貴殿らには日ごろの訓練の成果を見せて欲しい!検討を祈る!」


「「「「「了解致しました!」」」」」


暖機運転中の8機の機体に11名のパイロットと15名の同乗員が、それぞれの機体に散っていく。

偵察機にも先行機1機を除く戦果確認機と誘導機の2機のパイロット4名も乗り込んで行く。

管制塔の誘導士官からの離陸開始を示す信号弾が上がり、偵察機から離陸していき、戦闘機、陸攻と地面を蹴って、空へと上がっていった。

地上員は、帽子やタオルを振って、見送った。 火蓋が切られた瞬間だ。

航空隊10機は、帝国侵攻軍を求めてまっすぐに目指した。

飛ぶこと2時間弱で誘導電波を出していた先行機に追いついた。


「よし!戦場に来たぞ!全機!日頃の訓練の成果を見せてやれ!」


「「「「「了解!!」」」」」


航空隊の前線指揮官でもある獣人士官が叱咤した。

各機は戦闘機隊は緩降下爆撃の為に降下し、陸攻は少し上昇した。


「まずは一番槍だ!全機!敵の中に放り込めよ!」


「「「「了解!!」」」」


戦闘機隊の5機は3機と2機に分かれて二段になり、最前線に投弾した。

5機から放たれた20発の10キロ爆弾は、先頭の帝国兵の一団の中に投げ込まれ、多少ばらついたが帝国兵を屠った。 それどころか、爆弾の破裂音で士官たちの乗る馬が暴れだし、騎手の士官や佐官を振り落とした。 それは中軍の馬までもが、影響した。 落された事で転落死する者や馬に体や頭を踏みつぶされる者が、出た上で馬の二次被害も出た。 その中軍にも航空隊最大積載の陸攻隊3機が、締めの攻撃をするために投弾ポイントに移動した。 


「陸攻隊!行くぞ!」


「「了解!」」


3機トライアングル体系で、侵入する。

中軍は貴族軍であるために所属をはっきりするためにカラフルな服装をしていた。 目標には困らなかった。


「よーし、あいつらは俺らが喰うぞ!続け!」「「了解!」」


「もうちょい、もう少し・・・。 投下!」


隊長機の爆撃手が、爆弾投下をし始めると、僚機も開始した。

3機の陸攻から落された爆弾は60キロ爆弾が20発、10キロ爆弾10発。 それが3機。

60発の60キロ爆弾と30発の10キロ爆弾が、貴族軍を引き裂いた。 さらに本陣や実験隊も被害を受けて、軽微ではあるが受けた。 貴族軍はほぼ全部隊が大打撃を受け、中には指揮をする者が戦死した所も出たようで、混乱をきたした。

そこにダメ押しの機銃掃射が始まった。 戦闘機の機銃掃射は破壊力が大きく、人はもとより重装兵の鎧も軽々と貫通し、ミンチにした。 陸攻は機銃掃射せずに帰還していき、戦闘機隊も搭載機銃弾の残弾が3割を切ったあたりで、帰還した。


「全機帰還しました。」


「そうか。 戦果は後ほど聞く。 次に備えて待機せよと、伝えてくれ。」


「はっ!」


航空基地に全機帰還のの報告を受けたマサルは、待機命令をだした。

搭載弾も軽量弾から重量弾へ変更した。

進撃が止まれば、中止になるが帝国軍は進撃を続けたことで、再出撃が決まった。 整備を陸攻のみに集中させ、3機を出撃待機状態から出撃体制へ。

滑走路にした踏み固めた地面を3機が、出撃していく。

目的地は帝国軍。

破壊力は最初のとは比べ物にならないほどの攻撃力だ。

進軍は続いていた。 死出の旅路への片道切符を持って。

その配達人である陸攻隊が。配達品を届けた。

250キロ爆弾(配達品)は着弾点付近を焦土と化し、そこにいたものを消し去った。 貴族軍が崩壊・壊滅して退却するのも時間はかからなかった。 引きずられる様に実験隊が逃げ出し、衛兵隊と近衛も一部を残し、退却した。 残ったのは姫騎士の近習と衛兵と近衛の一部のみだった。


「戦いは終わった・・・。 もうこれ以上は無理だ。 私が助命の使者となろう。 私が犠牲になれば、貴殿らは助かるはず・・・。 さらばだ。」


「騎士様!」「姫殿下!」


「姫様・・・。 悔しく思います・・・。」 


「貴殿らの忠誠ありがたく思う・・・。」


すでに出撃していた地上部隊が、土煙を上げて進んでいる。

馬車ではない鉄車が、いくつもの群れを作り、進撃してくる。

姫騎士は、衛兵の一人が持っていた槍に白い布を縛り付けて待った。 少しすると、トラックに乗った兵隊が降りてきて、彼らを囲んだ。 その後ろにはこちらを狙ういくつもの武器を構えた鉄車や兵士がいた。


「私は帝国軍侵攻部隊の指揮官だ。 私の命と引き換えに彼らを助けて欲しい。」


「私は下士官であります。 その判断は上級士官殿がされます。 ですが、ご安心ください。 そちらが抵抗をしなければ、危害は加えません。 怪我人も居れるようですので、応急処置をさせてください。」


「すまない。 頼めるか?」


「お任せを。 ですが、ここにいる方々は、全員取り調べは受けて頂きます。 従えない場合は、残念な結果になりますので。」


「分かっている。 従うよ。」


こうして、40名程になってしまった残存軍と共にトラックに分乗し、アバロンの領主のいる街に向かった。 街に行くのは、司令官と従兵の女性と衛兵と近衛の隊長の2人の4人。 他の者はトールハンマーの基地に隔離拘置となった。 


「ここは凄いな・・・。 」


「こちらは領主様、アバロン領の最高責任者であられるマサル様がおられます。 司令官殿や隊長殿はこちらで取り調べになるます。 兵の方は、トールハンマーの司令部で取り調べとなりますが、基本的な処遇に関しては、皆様と変わりませんので、ご安心下さい。」


「分かった・・・。 なにとぞ、よしなに。」


「? はい。 かしこまりました。」


下士官の隊員は、司令官の女性が言う意味をあまり理解していなかった。

捕虜となれば、拷問や人権無視の尋問は当たり前の帝国では、同じ対応と言われ、自身も辱められる事も覚悟をしたと言いう事に。


「ひとまず、女性のお二人は右の部屋へ。 男性は左の部屋へお入りください。 係りの者が参りますので。」


「分かった・・・。 ではな・・・。」


「「はっ。」」


それぞれ指定した部屋に入った。

部屋は普通の来客用の部屋で、調度品もあり、とても捕虜を収容する部屋ではなかった。

それどころかその後で、係りと思われるメイド二人は、お茶とお菓子を持ってきて、軽食も持ってきた。


「湯浴みの準備がございますので、少し離れますが、よろしいでしょうか?」


「湯浴み?!何を言っているんだ?!拷問をするのではないのか?」


「言っている意味は分かりかねますが、戦塵を落とされた方が、よろしいと思われますので。」


「分かった。 よろしく頼む。」


「姫様?!」


「かしこまりました。」


メイド二人は二人に頭を下げると、隣の部屋を開けて入っていく。

水の音が聞こえてしばらくすると、湯船に湯が張られたらしく、メイドの一人が呼びに来た。


「湯浴みの準備が出来ました。 係りの者がいますのでお越しください。」


「うむ。」


二人は言われるがまま、脱衣室で服を脱ぎ、前を隠す布で隠して浴室に入ると、獣人の少女が二人待っていた。


「「入浴係を拝命しました。 よろしくお願いします!」」


「「よろしく。」」


「「はい!頑張ります!」」


この年の子供特有の一生懸命という事が伝わる奉仕を受けた。

その後、湯船につかりだされた着替えをして、案内されるがまま、テーブルでお茶を楽しんだ。


「どうなっているんだ?ここは?」


「拷問をされるとばかり思われましたが、これでは来客に対するおもてなしです。 帝国では貴賓クラスの対応です。」


「そうだな。 あんなゆったりした湯船もあまり見るものではないしな・・・。」


「ですが、これがここでは普通であれば、我々は完全に負けています。 勝てないのも仕方がありませんし、どうにもなりません。」


二人の女性が、そんなことを話している頃、男性二人の同様の事を考えていたことも追記する。

そして、4人は思い返したのは、ここまで案内をしてきた下士官の男性の話だった。 兵も殆ど変わらない処遇であるという事。 そして、思った。


もしかして、最初から勝てる要素はなかったのでは?と、


ひとまずはこの後に拷問がない事を願いながら待つことになった。

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