領地アバロンの日常
夜勤が終わりました。
でも、ひたすらに眠い!
これから頑張ります
獣王国内に出来た他種族人種の領地・アバロン。
要塞都市に向けて進んでいくトラック群をジープや装甲車、バイクが周りを囲みながら進んでいく。
要塞として前の街では、アバロン内で生産・製造された物や近隣の村で採れた野菜や野草、肉が売られており、呼び込みの声が通りに響いている。
住人や商人は、目当ての物を探し、交渉して購入していく。
近隣のアバロン領内の村は、トールハンマーの隊員達が、治安維持をしている中で、自身らが食べる食料生産と納税代わりの工場生産品の梱包や縫製作業の手伝い、駐屯隊員の駐屯地整備をしたりしていた。 少量ではあるが、作物の納品もしていた。
「獣王国向けの物資は徐々にですが、食料もとより嗜好品や被服、娯楽品が増えてきました。 国内が落ち着いてきた証拠と思われます。」
「そうか、それは何より。 しかし、あまり酒精の強い物は制限気味で出荷した方が良いな。 喧嘩の元になる。」
「そうですね。 元々、生産量も多い訳ではないので、出荷量の少ないです。 今は各自の家の自家製酒で我慢してもらいましょう。」
「やはりあるよね?自家製。」
「はい。 私の家でも作っておりました。 家でのイベントでは、家人共々とよく飲んでいました。」
「そうか。 酒も検討しよう。 」
「今は現状維持でいいですが、生産強化も基地司令に相談しないといけませんね」
現状の出荷品の傾向から検討項目を洗い出した連れてきた男性獣人さんから検討課題を詰めていく。
そのまま検討課題の対策に対する書類や通常業務の書類等の処理の為に、街の領主館の執務室で役人さんの補助を受けながらこなしていた。
「村々や基地はどんな感じ?」
「私が行ったわけではありませんが、村は隊員達が害獣駆除や力仕事に手を貸したりしているようです。」
「なるほど」
「基地はジョアンナ指令のもと、基地内の意思疎通を円滑するために高性能の通信網がしかれ、科学者の御姉妹様がそれに協力をしているとのことです。 航空基地の方は錬成途中ではありますが、周囲の偵察任務は多くの被害の防止に貢献をしているようです。」
「ひとまずうまくいっているようなら良し。 万が一の避難計画もつめておいてくれ。」
「はっ、戸籍作成の班と並行して、計画を練っております。 ジョアンナ指令も協力を取り付けており、もう少しすれば、避難訓練も始められると思われます。」
「ない事が良いのは当然だが、備えは必要だからな。 建物は建てられるが、人は無理だからな。」
「御意。 では失礼します。」
必要事項を伝え終えた役人の獣人さんは、マサルに一礼し、退室していく。
マサルも片手をあげ、了承しておく。
自身の執務机に積れた書類の山を少しずつかたずけていく。
「街の発展に帰依している事は嬉しい。 お亡くなりになった男爵様や修道院に入られた奥方様も喜んでおられると良いが。」
「それはこれからですよ。 領主様。」
「ジョアンナ指令。 いつここへ?」
「さっきですわ。 報告がてらに。」
アバロン基地にいるはずのジョアンナが、マサルのいる町にやってきた。
建前は報告であるが、裏はマサルの慰撫もあり、その際は傍で支える役目を持っていた。
こうして、各基地や兵団の情報を確認すると共に互いのコミュニケーションを図ることで、情報伝達の連携を図った。 それも彼女らが、それぞれで優秀であることの証明でもあった。
「しかし、いい加減に獣王国内の生産拠点でもあるアバロンを直接狙う可能性もある・・・。 注意をせねば・・・。」
「領主様。 ここに来ますか?」
「来る。 同じ立場なら来る。 むしろ遅かったくらいだ。 多分だけど、前は存在に気付いていても立ちはだかる軍を潰せば、良かったで思っていたから気にしなかった。 いざ、自国も復興や生産力が下がった事で必要になった。 まあ、本国は平気でも兵や物資を出した属国や隷属した国の生産力と民の数が減った事で、本国からの補助の増加で自国民が苦しくなってしまったか、支えられなくなったまたは、それに近づいてしまったと、思われる。 ならば、その領地を奪えば、すべてが解決すると思ったんだろうな。」
「それはあまりにも端的すぎます。 それに近隣の諸侯だって、黙ってないですよ?」
「いや、それはしないよ。 まっすぐ来る。 諸侯も国境に兵は置いてもこちらの応援は来ないよ。」
「やはり、前回の戦いの事ですか?」
「そうなる。 うちらは戦果を上げすぎた。 褒章のほぼゼロでも疑念は拭えなかったと、いう事さ。」
「そんな・・・。 ここを取られたら国が崩壊します!」
「まあ、そこまでになる前には、来るだろうけどね。 多分、法外な助っ人料を取りに来るよ。 きっとね。 いや、必ず。」
「納得できません・・・。 国の為に奉公しているあなた様が、かわいそうです。」
「そう思うのなら私を慰めてくれないか?」
「はい。 喜んで。」
ジョアンナの頭を撫でながら現状の確認をしながら、話をしている。
ジョアンナもマサルの傍で、話を聞いていた。 そして、マサルの言葉に寄り添い、添い寝をした。
「睦言にしては、ムードもないですね。」
「ハードルが高いので、難しいです。」
「今後の努力に期待します。」
「・・・。 頑張ります・・・。」
こうして、領主舘での夜も更けていった。
帝国内のきな臭い匂いがただ問い始めてこの頃を。
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