ジョアンナ、説得
こんばんは。 さむうございます。
従兵の少年兵をお茶の調達に出したことで、部屋にはジョアンナとマサルしかいない状態になった。
執務机に座っているマサルは真剣だが、機嫌も悪そうにしていた。
「仕事は順調かしら?」
「それ、君が言う?仕事、山ずみにして」
「でも仕方ないわよ?それだけ注目されている街だから」
「良いような悪いようなだな。」
「無視されるよりは良いわ。 それだけ重要なのよ。」
「何が言いたい?」
「ズバリ聞くわ。 なぜ、申し出を断ったの?」
「君には関係ない。 気に入らないから断った。 それ以下でもそれ以上もない。」
「それで納得するとでも?せめて私には教えて欲しいんだけど。」
「君だって、王宮からの監視役だろ?」
「確かに。 でも、交渉の窓口でもあるわ。 どこが嫌なのかが、分かればそれだけ交渉することも私なら出来るけど?」
「必要ない。 会う気もない。」
「そしたら、王宮や貴族は自身の娘や女を送ってきて、引っ掻き回すわよ。 それどころか、兵士やその家族・親類を脅す者も出てくるわ。」
「それは脅し?」
書類から顔を上げ、ジョアンナを睨みつける。
ジョアンナもマサルに詰め寄るくらいの勢いで、マサルに訴える。
「脅しじゃないわ!必ずするわ!貴族や王族はそういうものよ!だから本当の気持ちを言ってくれれば、私が防いで見せる!私もこの環境は守りたいの!傍に居たいの!そのためには、貴方が見栄を張っているだけでは防げないの!わかる?!」
いつになく、真剣な顔をした彼女は、周りを飛ぶ書類の花弁を舞う中、遠回りではなく、直球で聞いてきた。 それが獣人の聞き方だった。 彼女の場合はその傾向が強かったみたいで、他の獣人兵よりはっきり聞いてきた。
「相変わらずはっきりと、聞きずらい事を聞いてくるね・・・。」
「下手に隠すよりわかりやすいわ。 私は真剣なの。」
「敵わないな・・・。 行きたくない訳はね・・・。」
その後、どうしていきたくないかをジョアンナに話した。
殆どが、マサルの感情論ではあったが、理解できる所が多かった為に、黙って拝聴した。 しかし、彼の中の少し深い所を垣間見た気分だった。
この人は自分のせいで、部下たちが孤立することを恐れている・・・。 優しい上官なのね。
少し心が温まる気持ちになれた。
マサカツから聞き取りをしたものの中で、感情論を少し着色した様子にしておき、対処をしてくれるなら考えるという所まで説得したと、家に文をだした。
「今日は私が無理をさせてから傍にいるのが、責任よね。」
その夜はジョアンナは、マサルの部屋で彼のの中で互いの体温を確かめ合った。 落ち着いた後は逆に彼を抱きしめて休んだ。 母のように。
「大丈夫です。 我らがついてます。 安心してくださいませ。」
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