表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
撃鉄の響く戦場にて  作者: KY
34/109

獣王国の危機

体調がすぐれない。

本当に季節の変わり目は辛い

突然やってきた騎士は手に少し汚くなった書状を持って現れた。

ひとまず執務室に戻り、使者の騎士は水分を取らせて少し休んでから来た貰った。


「して、使者殿。 ご用向きは?」


「はっ!詳しい事はこちらに書かれております。 拝見を。ですが、時間が迫っております。」


「拝見しよう。」


ユリが使者より受け取った書状をマサルに渡す。

何人もの使者が取次の際に握った為に少し読みずらくはなっているが、要点はわかった。

そして、一読後に隣のジョアンナに渡し、使者に向き直る。


「用向きは理解した。 可及的速やかに対応するようにする。 使者殿はどうされる?」


「私はすぐに国に戻ります。 このお言葉をお伝えするために。」


「わかりました。 では見送りはさせます。 エリザ、頼めるかい?」


「はい。 こちらへ。」


使者殿はこちらに会釈をすると、そのままエリザの後を追い、退室していった。

退出後の部屋では、ジョアンナが険しい顔をして、書状をユリーダに渡す。 ユリーダも読むが、ユリものぞき込んで読んでいた。


「ですが、指令。 どうなさいますか?侵攻軍は数万。 こちらは獣王国軍2万弱と我らの6百では話になりませんよ?」


「わかっている。 訓練兵も連れていくことになるな。 いくらいる?」


「訓練課程の修了しそうな訓練生は3百。 初期課程まで広げれば、千二百になります。」


「1200は後方支援に徹底させて、後方の兵を一部、前線部隊に組み込む必要性もあるな。」


「比較的前線部隊と関わりのある輸送兵の一部と終了間際の訓練生は前線部隊に投入。 衛生兵も一部を前線部隊に常時配置してくれ。 準備に取り掛かってくれ」


「了解しました」「「「準備にかかります」」」


こうして傭兵団『トールハンマー』の名を轟かす一大決戦の準備が始まった。

今回は車両隊にくわえて歩兵隊でも様々な予備兵器も帯同することになり、トラック隊も総動員となった上に拡張した戦車隊も四〇両を数えた上にハーフトラックも三〇台はあるので、機動部隊の編成も可能になった。 ロケット砲や榴弾砲、対戦車砲などの火砲と迫撃砲やパンツァーファウストなどの携行兵器も充実したことで、作戦に広さが生まれた。 縁の下の力持ちであるトラック隊は何とか八〇台を確保できた事と、偵察隊に編成したハーフバイクにカーゴ車を標準装備にした事で、こちらも歩兵装備なら輸送を可能にした。 戦車はパンターではなく、シャーマンオンリーではあるが、問題はないものとした。

全てのトラック・ハーフトラックは勿論、ハーフバイクにも火砲やカーゴを取り付けて、持っていった。 その他にもジープやバイクにも鞄などを付けて、小物を運んでいった。

基地には、最低限しか残せないが、警備システムと科学者姉妹の開発した警備ロボがいるので、そのまま採用した。 居残りはこの姉妹と訓練教官をしている老兵の方々と警備兵さん。

こうして、アバロンを進発し、獣王国国内を抜けて前線向けて進むんで行く。


「あと、少しで敵の進出予定地点になる。 ここいらに拠点を築いて威力偵察を出そう」


「指揮官は誰に?」


「ユリーダだ。 機動歩兵一個小隊と装甲車一個分隊、バイク隊一個分隊を付けて。」


「了解。」


ユリーダは起動歩兵隊の乗るハーフトラックの三台のうちの一台に乗り、敬礼して去っていく。

その後をバイク3台・装甲車3台とトラック一台がついていく。

ユリーダを送り出した後は、擬装を含めた設営を行い、報告を待つことになった。

2時間ほどすると、ユリーダから報告が入る。


『こちら偵察隊。 敵の偵察部隊と思われる騎馬兵が来た。 指示を』


「こちら本部。 敵に情報を与えるのは良くない。 排除せよ。」


『了解。 排除する。』


  -------------------------------

ユリーダ隊


「隊長はなんと?」


「排除だ。」


「そうですか。 腕がなります。」


「とはいえ、音を出すのはマズイ。 サイレントキルをメインとする。」


首肯定する隊員達は、全員が獣人やドワーフだった。 装甲車乗員はドワーフのみで歩兵は獣人で編成されていた。 バイク兵も同様。 輸送トラックの隊員のみが普人だったが、後方兵の彼らは戦闘には参加しない。 攻めてきた兵は普人であるために獣人の様には、こちらを見つけられない為にこちらに分があるし、敵は5人。 苦も無く、ナイフ一本で殺害。 乗ってきた馬は戦利品として頂いた。 鎧や剣も同様に。


「排除完了。 待機する。」


こうして偵察班をさらに3隊を排除してから撤退した。

その為に他にも石弓や火縄銃らしきものを3丁ほどと人数分の鎧と剣を手に入れた。

そうして、近隣の偵察を含めて帰還した。


  --------------------

トールハンマー前線本部


「ユリーダの偵察報告をもとに偵察地点を中心にキルゾーンに設定していこうと思う」


「そうですね。 あそこは大軍を通るなら最適な場所です。 そこを集中攻撃を与えれば、打撃を与えられます。」


「しかし、そこしか侵攻拠点がないようにしなければならないな。」


「そこは心配ないと思います」


「?」


「この地方は湿地が多く、どこに泥濘があるかわからないので、前線兵力を置きずらい場所でもありますが、我が部隊はそこは関係ないので、問題ないです。」


ここいらは、驚くほどに湿地帯があり、設営時に苦労した。

確かに前線部隊を互い構えているならどこに湿地があるかわからない場所では、無理がある。

それならば、そこを超えた丘陵地帯と平地が多い場所がいい。 今回はひとまず見せかけの戦力として、獣王国軍にその平地に居て貰い、その手前を使い、縦深陣地を作り出して、防衛をすることにした。

トールハンマーの部隊を各所に配して、待機させた。

そこにふと、思いついたことを隣のジョアンナに相談した。


「ここなら空軍、使えない?」


「えっ?・・・ここならうちの部隊でも来れますが、30機しかいませんよ?」


「そこはフレッシェット弾みたいな物を落とせばいいでしょ?経験を積ませたいんだよ。」


「・・・。 そうですね。 分かりました。 彼等にも活躍してもらいましょう。」


こうして、アバロンに通信される。

僅か30機しかいない空軍。 旧日本軍の零式戦と一式陸攻、偵察機使用にした零式偵察機数機の部隊を今回、投入することが急遽決まった。 陣容は12機の10キロ爆弾を一つずつぶら下げた零式戦と1千キロは積める陸攻が15機、30キロ爆弾を2発積んだ零式偵察機8機だった。 少し改造したことで打撃としては、微妙だが未知の兵器から攻撃を受ける恐怖は大きいと踏んで、出撃した。


「これより戦闘準備命令を下命せよ。」


「作戦発動準備命令発動!全部隊警戒せよ!」


準備命令が発動されると、待機していた前線部隊や砲兵、戦車兵は勿論、輸送兵や看護兵もが、臨戦態勢に突入する。 敵が進んでいる音が響き始める・・・。


「帝国兵発見!」


「防衛作戦を開始する!各部隊、指示に従って行動せよ!」


丘陵地帯に待ち構えるように配した獣王国を排除するために行軍している帝国の軍隊。

弱体化した所を攻めてきたが、大国の奢りから偵察を不十分のままで進めた。

この代償をこれから支払う事になる。

トールハンマーのハンマーは天高く振り上げられているんですから・・・・。

高評価・ブックマーク登録お願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ