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「スキル????」  作者: 古来 冷翠
5.リゼ編
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99.黄色のドラゴン

〜前回のあらすじ〜

黄色のコンパスが指す先にあるダンジョンは海の中だった。まだ海水が入っているダンジョンの中を強行突破して、ボス部屋の前にたどり着きました!

「シン、任せた!私とアミが扉を開く、不意打ちはシンがなんとかして!」


「わかった」


アミは元気よく返事をする。


「僕への無茶振りやめない?」


シンは文句を言っている。

やめるわけがない。一番ふっかけやすいのはシンなのだから。しかも、そう言いながらもきちんとこなしてくれるからだ。


「アミ、行くよ!」


私は海の中のダンジョンを走りながら、浮いているタコやイカなども拾っておいた。そんなことをしながら、扉へ向かう。


またこれも、大きい扉だ。木製だが、もろくはなさそうだ。私とアミ、ふたり同時に手をかける。


「「せーの!」」


扉は開いた。

私たちはすぐにそこから退いて、端に寄る。


私たちが扉の前から居なくなった今、そこにいるのはシンだ。彼に向かって敵からの不意打ちが放たれる。殺傷能力を持った、風の刃だった。


「ったく…危ないね」


そんなことを言いながらちゃんと、危なげなく弾いてくれた。さすがシン。


「よし、行こうか」


私たち3人は、ボス部屋へと足を踏み入れた。




部屋は、前のダンジョンと同じような白くてとても広い。円形になっていて、奥の方に魔法陣がある。発動済みということは、あれが転移陣だろう。あれを踏まずに、敵を倒さなければならない。

私たちは部屋に入って、風魔法を解除した。


「この中は水がこないね」


そう、この部屋では水が風の結界であろうそれによって防がれていた。ありがたい。

契約の更新も必要なくなった。いずれ風魔法も使えなくなるだろう。


そんなことよりも。目の前にいるドラゴン。それの倒し方のほうが大切だ。あれはおそらく、前のダンジョンと同じくらい強い。黄色のドラゴンだから、素早いのだろうか。

シンは剣を取り、アミは魔法を用意する。


「とりあえず、こいつを倒そう。リゼ、どれだけ時間をかけてもいい。解析して、毒を作ってくれ」


それは危険だ。その間に2人に攻撃を任せることになる。……でも、やるしかない。


「わかった。じゃあ、任せたよ」


私はすぐに、目の前のドラゴンの解析を始める。

これは、強い。でも、前回のと似ているだけやりようがある。魔王は、解析が無理だったもん。


まず…風属性だね。あとは…うん。動きを阻害するタイプの毒が良さそう、それだと効果が高いらしい。首元を狙え、これはドラゴンは全部一緒か。…私の予想だけど、一番強い毒、それに動きの阻害を組み合わせればきっと倒せる。


そんなふうに私は攻撃から逃げながら、ひたすらにスキルを使って解析する。


「アミ、避けて!」


シンの叫び声が聞こえて、アミが飛んでいくところが見えた。視界の端に入っている。

それを追うようにシンも飛ばされている。


「2人とも!」


私は思わず叫ぶが、直後に解析を再開する。

どうせまた回復魔法は使えないのだろう。契約するだけ無駄だろう。

とりあえず、私に攻撃が向かないように式神をあるだけ使う。これで時間は稼げるだろう。

今は、冷静に解析する。薄情だろうが、そうするしかない。そうするよう、師匠から教えられてきた。


「あーあ、魔力足りないや」


こんな状況を一発で覆すための毒を作るには、明らかに魔力不足だ。私の魔力の2倍は必要だろう。

契約して手に入れてもいい。でも、対価は何がある?

かなりの対価が必要だ。

いや、やるしかない。絶対、成功させてやる。

対価を、ひねりだそう。

そんなとき、ふと横切ったのは契約によって寿命を手に入れたアレイスの姿だ。


「これくらいしかないかな」


私が思いつくのは。

決めた。契約をしよう。

私の片腕を持っていっていい。だから、私に、私の魔力の2倍の量をください。


そう心の中で言ったのだが“理”からは断られた。


なになに、条件は……2日の魔力回復なしと、1回魔力上限を上げる代わりに2日魔力上限が減る…半分に。


それでいい。それを受け入れるしかないならば。


そう心の中で言い切った瞬間、私の片腕が目に見えぬ斬撃で吹き飛んだ。


「リゼっ!!」


アミの、こちらを見る声が聞こえる。回復していたのか。タウだろうな。

でも、かまっている暇はない。

できるだけ早く、私が作れる一番強い毒を作る。そして、そこに動きを阻害する毒をくっつける。

そして、魔法陣を展開してドラゴンに焦点を定める。


「くらえっ…」


半分、苦笑いするような気持ちで。

半分は、成功にすがるような気持ちで。


長年の私の技術と、契約と。

すべてを使った毒は、ドラゴンを葬ったはずだ。


「ぐがぁぁ…」


ドラゴンの倒れる声がした。

それと同時に私の視界は一瞬青くなり、直後に白くなった。そして私はもう今、何も見えない。

魔力不足でもある。倒れるしかない。

片腕の切断による失血もひどい。

原因は何かわからないが、もう、無理だ。


「リゼ、大丈夫…?」


近寄ってきたのであろう、アミが呼ぶ。

反応もできない。


「タウっ…タウ!助けられないの!?」


しばらくしてから、絶望するようなアミの雰囲気を感じる。

その後、ころんっと、魔石が落ちるような音がする。ドラゴンの魔石だった。

倒せたんだ…よかった。


「大丈夫!?」


焦ったような、シンの声がする。回復をしたのか、何をしたのかわからないが、帰ってきた。


「助けられないって…タウが…」


「くそっ…僕でも、回復魔法はここでは使えない…どうしよう…」


ものすごい悲惨そうな空気が流れた。

そんなものを気にしている余裕もなく、私は意識を手放した。

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