98.ダンジョン捜索
〜前回のあらすじ〜
西の海にあるであろうダンジョンに向かうことになった3人。おそらくここも前みたいに強いドラゴンがいるんだろうなぁと思いながらも戦います!
「どうする?また転移?」
アミが問う。また、とは、前回ダンジョンに行ったときのことを指すのだろう。
「そうだね。お願い」
うちの実質的リーダー、シンが言う。
「わかった!手、繋いで」
私たちはアミに手を差し出す。
「向かうは、海!」
アミはそれだけ言って、転移魔法を使った。
海、楽しみなんだなぁ。
「おぉ…海だ…」
アミの声に目を開ければ、大海原。
ダンジョンはどこあるというのか。見当たらない。
「シン〜ダンジョンどこ〜」
「えっとね……ここ」
シンが、地図を指差す。
「「海の中じゃん!!」」
マジかよ。海の中って、どうしろと?
「アミ、シン、手立ては?」
「私はわかんないよ」
「うーん、試してみるしかないね…」
一応シンは、手立てがあるようだ。
そうだ。一応聞いておこう。
「誰か泳げる人っている?」
「「無理」」
ふたりは無理なそうだが、当然、私も無理だ。
替えの服を持ってきていないからだ。いや、泳げないわけではない。断じて。浮くことぐらいは…できるはず……多分。
…あ、そうじゃん。
「私の式神が、まず様子を見に行く。場所がわかったら、風魔法で周りを覆って行こう」
我ながらいいアイデアだと思う。
「風魔法か……契約だとかなり魔力が持ってかれる。今回はアミに任せるのがいいと思う」
たしかにそう言われてみれば、そうだ。
契約をするのでさえ魔力を取られ、属性を一時使うなんて、結構な量を持ってかれる。
まあ、私はスキルの恩恵で使用魔力量は半分でいいんだけど。
それは置いといて、アミに任せるのはいいと思う。
「アミがいいなら、賛成」
「私も、いいよ〜」
よし、決定だ。
「じゃあ式神、行ってきて!」
海に向かって式神を出す。
紙だったものが人を形取る。髪は透き通るような白、目は銀色だ。服装としては、いわゆる巫女服だろうか。まあ、下の服が赤じゃなくて白だけど…。
イッシュみたいな感じだ。服は違うけど。
「おぉ…すごい」
アミが驚く。見せるのは始めてだったっけ。
「少しだけ待っててね」
しばらく経った。
式神から、合図がきた。
「アミ、シン。合図がきた。式神、光の柱を立てて」
そう呼びかける。
すると、今式神がいるであろう場所に、純白の柱が立つ。今いる場所から、結構西に行ったところだ。
「よし、あそこ。あそこの上空にアミが転移魔法で飛ばして。それで海に落下する前にアミが風魔法を私たち3人全域に展開。水を下向きに押していく感じで」
「わかった」
「今思ったんだけどさ、水魔法じゃだめなの?これ」
シンが余計…いや、ありがたいアイデアを言ってくる。
「そうだね…扉が渓谷みたいなところにあるっぽいから、風魔法で近づいて、その後アミが水魔法で水を操作。水が来ないようにして、その間にシンが扉を開けて。私は中の敵を倒す」
「「わかった」」
私たちは手を繋ぐ。
「転移!!」
次に目を開くと、そこは大海原の上だ。
自由落下していく私たちが完全に水につく前に、アミがいい感じに風魔法を展開してくれる。
海水はえぐれていき、渓谷が見える。ダンジョンらしき扉も、渓谷内に見えている。
そして無事、渓谷の一番下に着いた。
「アミ、水魔法!」
「はい!」
アミが水魔法を使う。水は周辺に来なくなる。
「シン、あの扉!開けて!」
私は指で指示する。すぐそこの扉だ。
「わかった」
シンが開けてくれる。
私が一番に中に入る。次にアミが来る。そしてシンが入ったあと、海水による圧だろうか。一瞬で扉が閉まった。
でも、中も海のようなものだった。
一面に水が張られている。空気のある隙間などない。
咄嗟の判断が功を奏した。
私とシンは各々”理”と契約して、風魔法を使えるようにする。そして、風による水を寄せ付けないための疑似結界を張る。
海水の中にいるのは、サーモンなど、魚たちだ。
「魔力が持つうちに、強行突破するよ!前と同じ順番で敵は倒す!」
指示してすぐに、収納魔法から剣を取り出す。
そしてとにかく、正確に剣を振るう。
師匠…イッシュからの教えだ。
それにより周辺の魚は倒せた。魔石はたくさん落ちている。数匹、身が残っているものがあった。
「早く行くよ!」
シンに急かされながらも、私はサーモンを数匹だけ収納魔法に入れておく。美味しそうだった。
「「はい!」」
私たちは階段を駆け下りる。
「水の中だからねぇ…」
と言ってシンは、剣を取り出す。
私とは対照的に、鞘からだ。
そして舞うように、魚を倒していった。まさに瞬殺。
「行くよー」
シンについて、走っていった。魚は落ちていなかった。残念だ。
地下3階についた。
「行ってきます!」
クナイを作って走り出したアミを横目に、私はシンに質問する。
「ここは何階層まで?」
私ではわからない。シンの長年の感ならわかるだろうが。
「おそらく前と一緒」
なるほどね。
「アミは…なんだろ?あれ」
不思議な戦い方をしていた。
クナイの周りにわざわざ火魔法を纏わせ、水を蒸発させてから風魔法で加速させる。水の中では風魔法は莫大な契約なしでは使えないから、たしかにそうなるのは納得だが、こんなこと、あまりしない。
「……タウの入れ知恵だね。ほんと、協力的なのか、裏切るためなのか」
そっか。裏切る可能性もあるのか。
というかすでにだいぶ裏切り側だけど。
いや、まだどうでもいい。あとで考えよう。
「できたよ!行こう!」
私は、近くにいた小さいマグロを数匹取った。
そして、走って階段を下りた。
「よし、ラストぉぉ!」
ここぞとばかりに剣を振り、倒す。
急がないと、毒を使うだけの魔力が不安だ。
ポーションは、持っていない。
いらないでしょ、とか言った自分を恨んでいる。
「ふたりとも、行くよ!」
地下5階へと続く階段を下る。
まさに、地獄へと続く階段だった。




