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「スキル????」  作者: 古来 冷翠
4.アミ編
93/131

93.イタリアンレストランにて

〜前回のあらすじ〜

シンと一緒にウェツギに来たアミ。観光します!

今は昼前。まだ昼食には少し早いかなぁと思いつつも、観光地など人の集まるところでの昼食は早めにとったほうが良い、というシンの助言に従い、飲食店に入ることにした。


「アミ、何が食べたい?」


ウェツギの大通りを歩きながら、シンに聞かれる。

人が多いため、少し声が大きい。


「パスタとか、ピザとかの気分かな」


だから私も少し大きめの声で返した。


「フィシチニじゃ、あんまり本格的なイタリアンのお店、ないからねぇ…アノンが広めてないから」


イタリアン?と思って聞いてみたら、パスタやピザなどの料理の総称、ということらしい。


「お、こことかいいんじゃない?」


地図を見ていたシンが顔を上げて立ち止まったのは、おしゃれな木造のお店だった。

赤と白と緑の旗が特徴的で、植物がきれいに植えられている。


「すみません、2名でお願いできますか?」


シンはそんな洒落たお店に堂々と入り、店員さんに話しかけに行った。さすがだ。


「いらっしゃいませ、2枚様ですね。こちらへ」


私がおずおずとシンの後ろについて入ると、店員さんは私たちを席に案内した。


「当店は、ご注文がお決まり次第店員を呼び出していただいて承り、お食事をご提供して他のお客様の相手をする、というシステムとなっておりますのでご了承ください」


そう言いながら店員さんは慣れた手つきで水を机に並べた。


「こちらがメニュー表になります。ご注文がお決まり次第、こちらのベルでお呼びください」


渡されたメニュー表を、シンは私のほうに向けて開いてくれた。


「パスタにピザ…狙い通りだ。ワインもあるのか……」


メニューをめくっていたシンの言葉に気が付かされた。

そうじゃん、ワインという危険を忘れていた。絶対、飲ませたらやばい。あの日の出来事は忘れていない。


「シン、何があるかわからないんだから、やめておこう?ね?」


私がそう言うと、渋々という感じで諦めてページをめくった。回避できたようだ。


「アミは何にするの?」


シンに問われるが、まだ悩んでいる。

パスタも、ピザも食べたい。


「どっちにしよう……」


そう思ってページをペラペラとめくっていると、シンは素晴らしい提案をしてくれた。


「なら、僕がピザを頼むよ。アミはパスタを頼みな。半分こしよう」


「いいの!?え、好きなの選んでもいい?」


「もちろん、ご自由に」


わぁぁ!すっごく嬉しい。


「これと、これにする!ドリンクはリンゴジュースで、デザートもつくのかぁ、じゃあこれかな」


「わかった」


シンはメニューを見ながら、ベルを鳴らした。

すると店員さんがすぐにやってきた。


「ご注文は?」


「マルゲリータとチーズの蜂蜜添えのハーフセットと、ベーコンとチーズ絡めのパスタのセットを1つずつ。ドリンクはリンゴジュースと紅茶、デザートはイチゴのショートケーキとモンブランで」


一言一句書き漏らさずに注文を取り終えた店員さんは、注文を繰り返してから去っていった。

私はその間に水を飲む。

ほぼ間もなく、人がやってきた。


「こちら、ドリンクになります」


店員さんが持ってきたのは、リンゴジュースと紅茶だ。仕事が早すぎる。

私は水を飲み終えたコップに、水を足そうとする。


……そうか。水魔法、使えないんだ。

魔法陣で…いや、使わないほうがいいのか……?


「お水のお代わり、ご入用でしょうか」


店員さんは、私が迷っている間にも水は入ったポットを持ってきて、注いでくれた。

なるほど、魔法がない国ではこうやって水のお代わりをするのか。

妙に感心しながら、食事を待った。

なにか、話題を探そう。さすがに食事は早く来ない。


「シン、よく紅茶ストレートで飲めるよね」


「そうだね…コーヒーは無理だけど」


コーヒーが無理で紅茶はいけるの!?な、なぜ…?


「コーヒーのほうが飲みやすくない?」


「いや、それはないかな。苦みが違う」


うーん……分かり合えなさそうだからやめておこう。

次の話題……どうしよう。

困りかけていたその時。


「こちら、ピザ。そしてこちら、パスタになります。食後にデザートをお持ちいたしますので、ベルでお呼び出しください」


店員さんが料理を持ってきてくれた。救世主だ。

運ばれてきたのはマルゲリータとチーズに半分ずつ味付けされているピザと、チーズの絡まったパスタにベーコンが乗っているもの。どちらもできたてのようで、美味しそうな香りが漂ってくる。


「僕が取り分けるよ。はい、パスタ。だいたい半分でいい?」


シンはサッとパスタを取り分けてくれたようだ。手際がよくて素晴らしい。


「ありがとう。ピザってどうやってわけるの?」


パスタを受け取りながら聞いてみる。


「この道具で、8つくらいに切り分けるんだ。こうやって……はい」


こちらもまた手際よくわけてくれた。


まずはピザから食べてみようか。


「いただきます」


私はマルゲリータのピザを口に入れる。

まず最初に来たのは熱い、という感想。でも、その後に来るのはトマトの芳醇なうまみと、チーズの濃厚さ。そしてパン生地のパリパリ感。

思わずハフハフとしながらすぐに食べきってしまい、次のピザを手に取る。

これはチーズに蜂蜜がかかったピザだ。熱さは先ほどの物よりも和らいでいるが、それにより食べた瞬間から味がわかるようになった。

チーズの濃厚さ、それはもちろんあるのだが、蜂蜜という甘さと絡み合うことによりマルゲリータとは違ったチーズの美味しさを醸し出している。パン生地のパリパリ感は言うまでもなく、最高のアクセントだ。


「美味しい!」


「でしょ?僕の目に狂いはないから」


シンはパスタをフォークで巻いて食べていた。

私もパスタを食べてみよう。

一度リンゴジュースで口直しをしてから、シンの真似をしてフォークで巻いて食べてみる。最初はベーコンなしだ。


「これは!」


最初にやってきたのは香辛料の辛み。味が濃いところを取ってしまったようだ。しかし、それをかき消すほどのチーズの美味しさ。マルゲリータとも、蜂蜜とも違う、卵と共に奏でているハーモニーが素晴らしく合っている。しばらくしてから感じるのは、麺のモチモチ感。

ベーコンも、食べてみよう。期待を大にして口に入れる。……もちろん期待は裏切られない。塩味がほどよく、また焼きめも素晴らしい。ソースとの相性が良さすぎる。計算され尽くしている。


「美味しい……」


私はそこから、無言でご飯を食べ進めた。

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