79.危機の救いは
〜前回のあらすじ〜
ドラゴンを倒した!と思ったらリゼがフラグを立てました。まずいです。
(あと、最近暇になってきたので10月から毎日投稿再開します。)
「あっ、それって言っちゃいけないやつ」
ほんと、シンはよくわかってる。
それ、フラグっていうんだよ。リゼ。
まあもちろんリゼのことなので、一瞬でフラグ回収がされた。
グァァとドラゴンが叫びながら、回復する。
それと同時に、ドラゴンを中心とした同心円状に、炎の渦ができる。
私たちはモロにそれを食らうこととなる。
「あっっつ…」
さすがに火傷案件だ。
「回復…」
そこまで言ってやっと気がつく。
「回復が使えない…?」
まさか。
先程の炎で離されて遠くにいるリゼに頼む。
「リゼ!この部屋の鑑!!」
「んー、っうわ!回復ができない魔法陣が組まれてる…ドラゴンは回復できるのにぃ…」
なるほど。つまり。
「私たちは回復ができない、でもドラゴンは魔力以外回復したと」
絶望的な状況すぎて、笑えてきそうだ。
「あれ?アミ、シンは?」
そう言われれば、いない。
辺りを見渡すと、見つけることができた。
「僕は…もう無理…」
シンは、ドラゴンのだいぶ近くにいた。
炎ももろ食らったっぽい。
かなりのダメージを受けている。
「じゃあ私たちだけでなんとかするの…?」
「まずは剣技で試そう!アミ、準備」
そう言われたため、刀を用意する。
「行くよ!」
リゼの掛け声に合わせて、ドラゴンへとジャンプする。
「喰らえっ!」
一部だけ炎で鱗を溶かしつつ、刀を振るう。
リゼは、身体強化でゴリ押しだ。
「アミっ!逃げて!」
私の目の前に、ドラゴンの手がある。
ただしリゼも、ドラゴンの手が間近だ。
私も逃げないとまずいが、リゼにも忠告しなければならない。でも、両方は無理だ。
それならば。
「リゼだけでも…」
そう思い、水魔法を使う。
リゼをドラゴンから水流で引き離す。
「っ…!アミ……!!」
私はその間に、ドラゴンに吹き飛ばされた。
遠くにあった壁に思いっきり叩きつけられ、骨が折れる感触を味わった。
そして、叩きつけられた壁からは一瞬で落ちた。
かなりの高さがあったのだろう、衝撃がとても大きい。これは死ぬだろう。もう無理かなぁ。
最後にひとつだけ賭けてもいいだろうか。
「召喚」
私はまたもや向かってきたドラゴンの爪によって上半身を引っ掻かれた。致命傷の上に致命傷だ。この賭けだけが、命綱だ。
『ったく、結局こうなるのかよ。いいのか?いや、もう聞こえないか。仕方がない』
俺は、召喚を使った。
「ほんと、面倒だな…」
俺は今、実体化している。
つまり、リゼからも見えているし、シンも意識があれば見ている。
「とりあえず回復か。俺ならできるな。これ」
ドラゴンを超える程度の強さがあれば、というかおそらく魔力量で区別されている。
「回復」
三人…いや、ドラゴンも巻き込んだな。
広範囲に一気に回復魔法を展開して、回復させる。
致命傷だろうが何だろうが、すぐに治せる。魔力の消費はとんでもないため、魔力回復が必須だが、な。
気がつくと、タウが目の前に居た。
いつも、危機で救ってくれるのは彼ばかりだ。
賭けに、勝ったのだ。
タウを見ていると、見つめ返された。
「おい、アミ。俺を呼んだってことは、いいんだな」
おそらく、みんなにバレないようにしていたことだ。
「うん、いいよ。仕方がない」
するとタウは笑顔で頷く。
「俺はすぐに帰らなければならない。魔法では時間がかかる。よって身体強化くらいしか倒す方法がない」
「つまり…」
「補助をしろ、ということだ」
なるほど。
「炎でいい?」
「そうだな…、首元辺りを溶かしておいてくれ」
まあ、なくてもいけるが、と後から付け足す。
どうしてそんなことができるのよ。
「じゃあ、そっちの合図で」
文句を言っている場合じゃない。
今まさに、ドラゴンが溜め技を発動しようとしているからだ。
元があの強さのドラゴン。溜め技なんて使わせてたまるか。
「よし…」
タウはドラゴンへと駆けていく。
そして、腕に飛び乗り、そこから首元へ向かってジャンプする。
「今!」
タウの叫びと共に、私はドラゴンへと炎を向ける。
きっと、タウは自分でなんとかするから。
「えいっと」
タウが掛け声と共に、刀を軽く振るう。
すると、ドラゴンの首が落ちた。
ボトン、という音がしてから、光が飛び始める。
ドラゴンが光となっていくのだ。
「え…すごい」
これは誰の声だったか。
リゼは、何が何だかわかっていないような顔でぼーっと見ている。
シンは、そんなことがあるとは、と考えている。
私はというと、これからの弁明をひたすら考えていた。




