77.冒険の前に
〜前回のあらすじ〜
迷子になったかと思ったけど、大丈夫でした!朝ごはん食べて冒険に行くぞ!
2階のダイニングに着いた。朝ごはんにありつける。
「シンがご飯作ってくれるからほんとありがたい…!」
リゼは、本気で感謝している。
たしかにシンの料理は美味しい。
リゼは……うん。まあできるようにはなっていたが、普通だ。否定はしない。
私は、言わずもがな普通です、はい。
「アミ、リゼ、運ぶの手伝って」
完成したのだろうか。シンが呼んでいる。
「あ、朝はパンなんだ」
今日の朝食は、パンに野菜と肉炒めらしい。
簡素でいいね。食べやすい。
「いやぁ、ご飯でもいいんだけど、また戻って来る予定あるし。できれば魔石は、1個ずつはめたいでしょ?」
あー、たしかに。
「それは私も賛成。無くしそうで怖い」
リゼも賛成らしい。私も異論はない。
話してる間に、すぐ配膳が終わる。
「まあとりあえず…」
「「「いただきます」」」
食器の片付けも終わり、1階にまで降りてきた。あとは出かけるばかりだ。
「じゃあ行くかぁ」
「そうだね。行こう」
魔王城の扉を開く。
「まずは、これから行く?」
赤色で縁取られたコンパスだ。
これもまた、魔力がおぞましい。
「全部のコンパスが、南の方面だ。あと、きっと国内でいいはず。だから好きなのから行こう」
そう言われて見てみる。
赤色のコンパスは南東。
青色のコンパスは南。
黄色のコンパスは南西だ。
「転移魔法、使う?」
私は確認してみる。
「あー、どうしようね。…早く帰りたいし、使っちゃおう」
リゼは使いたい派か。ちなみに私はどちらでもいい。
魔力で困ったことはないし、面倒なだけだ。
「場所は地図持ってるし、僕が指示するよ。えーと、まずはここでお願い」
シンが指差したのは、東の森の手前だ。
「わかった!」
転移魔法を使う。辺りが光る。
「おぉ、森だ」
着いたのは、森の手前。精度が上がってきている気がする。しかし、何度やってもあんまり移動しているという事実に慣れない。
地図で自分の位置を見ないと、実感がわかない。
「コンパスは…うん、もっと奥だね」
とのことなので、森の中を歩く。
しばらく、敵を倒しながら歩く。
「ここってさ…」
「だよね。私も思った」
「僕は特に何もだけど…何?」
「「敵が多いの!!」」
明らかに敵の数が多い。
もう5分くらい歩いたが、3桁行くんじゃないかってくらい倒してる。
「そうかな?ダンジョンとかの方がもっとやばいし…」
これよりも!?
「ダンジョンってそんなにやばいの?」
「敵はめっちゃいるけど、宝物もたくさんあるからね。行く人は絶えないよ」
リゼが答えてくれた。
「自然にできたものは、この街に3つ……って、まさか」
シンが気づくと同時に、私も思いついた。
「「コンパスはダンジョンが行き先?」」
あ、合ってそうだ。
「ってことは、魔力探知すればわかるじゃん…」
「だね。ダンジョンって魔力濃いもんね」
リゼはその事実を知っているようだが、私は初めて知った。
「じゃあシン、お願い」
「わかった…あ、そこだ」
シンが指差した先。そこには、崖…いや、よく見ると、扉がある。
「よし、じゃあ行こう!」
「ちょっと待って。タウは、ボスが何か知ってるってことだよね。つまり倒したはずなんだ。なのに崩れてない」
シンがストップをかける。
「あ、たしかにそうじゃん。ダンジョンって、ボスを倒して転移魔法陣を踏んだら崩れる…あっ、そういうことね」
私はつぶやきながら思いついた。たしかそんなことをタウが言っていた気がする。
「転移魔法陣を使わずに帰ったんだ。でもさ、ボスを倒した後のダンジョンって…」
リゼが、言葉にしてくれた。
「格段にレベルが上がる。敵の量も質も上がるからね。さすがって感じだね…」
シンは改めてタウの強さを実感したかのようにつぶやいている。
というか、つまり……。
「私たちは、ものすごいレベルの高いダンジョンを攻略し、触れたら起動する魔法陣を踏まないようにボスと戦うってわけ?」
「ダンジョンのレベルは戻っているはず……でもボスは……まあ、そうなるね。いや、でもボス部屋にタウが用意?した敵がいるとは限らないし…」
シンは考え出した。それを見越したリゼが声を掛ける。
「とりあえず入ってみようよ」
「「賛成」」
リゼの一言で、突入が決まった。




