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「スキル????」  作者: 古来 冷翠
2.魔法学院編
44/120

44.312号室にて

私は312号室の扉をノックする。

開けてくれたのは、ミコリアさんだ。


「いらっしゃい。アミちゃん」


さっと部屋の中を見渡してみたが、ウリイさんはいない。


「あの、ウリイさんは……?」


私がそうやって聞くと、ミコリアさんはあぁ、と思い出したように答えた。


「あいつは、授業をまだ終えてないんだ。なんで年が変わると合格がリセットされるんだ……ってブツブツ言ってた」


そうなんだ。でも、授業をまだ終えていないって、どれだけ1つの授業に時間をかけているのだろうか。

しかし、この言い方だとミコリアさんは……。


「ミコリアさんは、授業、終わってるんですか?」


私の問いに、ミコリアさんは少し遠くを見るような顔で語りだした。


「ぼくは、ウリイと一緒に卒業がしたいんだ。部活を立ち上げて、ずっとバカ話をして笑い合ってきた仲だからね……。もう5年になるけど、ぼくはずっと、最後の授業を受けないでいるんだ。ウリイと一緒に、卒業できるように。毎年、適当に授業を残してるんだ。ウリイがその、最後の1つを受けるときまで」


うん、この人も面倒な人だったのか。

ふたりは固い絆で結ばれているんですね…!とでも言っておけばいいのだろうか。

いや、どうせもっと語りだすに決まってる。

私にどのような反応を求めて、この話をしてきたのだ、この人は。


「そうなんですね。では、部活動を始めます」


私は部屋の奥に進んでいき、本を取り出す。

魔王の軌跡だ。

これは普通のところだから、1人でも読める。


「そういえば、アミちゃんはずっとそれ読んでるよね。ぼくらが読めないところも読んでなかったっけ?」


付け足しの部分のことだろうか。


「読んでましたよ。今日は違いますけど」


「へぇ、読み終わったの?あの部分」


「はい、よかったら内容の説明、しましょうか?」


まあ、大雑把ではあるけど……。そう思いながら提案すると、ミコリアさんは、


「え、いいの!メモ帳取ってくるからちょっと待ってて!」


と目をキラキラさせて去って行った。

よほど嬉しかったらしい。よかった。


数十秒後、メモ帳とペンを持ったミコリアさんが帰ってきた。


「お待たせ!さあ、お話を!」


とまあ、ワクワクした声で言っていた。


私は本を見せながら、大体こんな話だったような……と3時間ほどかけて話し続けた。

タウの読んでいた本に向かうのは2時間が限界だったのに、こんなに続くとは。好きこそものの上手なれってこういうことだ。


「そっかぁ……そんなことが。古語の授業は一応受けてるけど、毎回テストの対策しかしなかったからさぁ、自分で本を読むほどの実力はなかったんだよね。もし今年もウリイの授業が終わらなかったら、勉強してみようかな」


満足してもらえて何よりだ。


「ちなみに、ウリイさんはどこまで授業を終わらせたんですか?」


「あと座学と戦闘だから……10個以上は残ってるね。そうだ、1日1個で終わらせられるって息巻いてたわ」


つまり、卒業するには今日を含め、これからの授業ですべて合格を重ねなければならない、と。


「無理じゃないですか?」


「そんな予感はしてる」


タウにおすすめの参考書でも聞いておこう。多分、古語の勉強に励むことになりそうだから。

少し雑談をしてから、私は帰るための準備を始めた。


「今日はありがとね。また来てね」


「はい、こちらこそありがとうございました」


私は扉を開け、廊下に出た。

すると、向こうから人が走ってきていた。あれは……ウリイさん?


「ミコリアー、聞いてよぉ……授業だめだって……戦闘は難しすぎるよ……」


あー、古語が確定した。


「そっか……来年も頑張ろうね」


ふたりは肩を落とし、部屋へと帰っていった。

私はそれを見届け、自分の部屋へと帰った。

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