27.間が悪い
啖呵を切ってあんなことを言ったところまではいい。
いいのだが…、私にそんなコミュ力があるだろうか。
いや、ない。
てなわけで
「リゼー!ちょっとさ、アレイスさんに聞いてみたいことがあるから明日、授業についてきてくれない?」
そう、最初は誰かに話しかけてもらおうの作戦だ。これは結構強いと思ってる。
「帰ってきて早々に言うのがそれ…?まあいいけど、何を聞きたいの?」
リゼは夜ご飯を食べていた。
この後に練習があるそうだ。ご苦労さま。
ちなみに私がここまで遅くなった理由は、図書館で本…魔王の軌跡を読んでしまったからだ。ついつい、やめられなかったのだ。
反省はしてるけど後悔はしてないね。
「それじゃ、練習行ってくる!」
「「いってらっしゃい」」
まだイソクが帰ってきていなかったから、私はクウと一緒に、リゼを送り出した。
そのすぐ後のこと。
「ねえ、アミ。体のどこかが変だったりしない?大丈夫?」
クウが心配そうに聞いてくる。いきなりどうしたと言うのだろう。
「少し眠いけど…どうかしたの?」
そうやって聞くと、少し居心地の悪いような曖昧な笑みを浮かべて話しだした。
「アミ、実は私はね」
「やっほただいまー!……あれ、なんかいいムードだったり…?お邪魔しましたー」
意味不明な挨拶をし、自分で勝手に理解して去っていこうとしてクウに掴まれたのは、イソクだ。帰ってきたのか。
「おい、事前に根回ししただろ。なんで帰ってきた」
根回し?何を言い出したのか…。
というか
「クウ、それで…何が言いたかったの?」
クウはこちらをちらっと見たが、
「えー、もしかして愛の告白とかですかー!?クウにもついに春が…」
とイソクが言った瞬間に私から目をそらし、イソクを殴った。全力で。
「はぁ……違う。もういい、とりあえず」
なんだったんだ、一体。
少し、空気がぎこちなくなった。
「じゃあ夜ご飯でも食べよ!ね?」
イソクの明るい一言に救われた。
私はお風呂に入る。
この間は、タウも見ないようになんかしてくれてるらしい。
「さぁー、どうしようかなー」
私の間抜けな声がお風呂に響く。
これはもちろん、さっきの告白の話だ。
どうやったら言葉の先を聞けるか。
まあ、考えたって仕方がないし、いっか、まあ。
「アミ、少しいい?」
あ、ジャストタイミングでクウがやってきた。やっぱ話したいことがあったのか。
「さっきはイソクのやつが邪魔しやがったけど、今は大丈夫でしょ。言いたかったのはね、君のスキルが…」
「ふんふんふーn……うわぁー!クウ、どしたの!?ちょ、アミ…だよね!?今お風呂入ってるの!え、どういう状況!?」
あっ、今日はもうタイミングが悪いタイプの日だ。リゼが帰ってきてしまったようだ。
「もぉ……リゼ、とりあえず席を外してくれない?」
「え、やだ。面白そうだし〜何話してたの!?もしかしてそういう…甘々な関係だったり…!?」
リゼまでこれか!
声の感じからしてからかっているのだろうが、どこまで本気で言っているのかわからない。
「断じて違う。しかし、君に聞かせるわけにはいかない、イソクならまだしも…」
なんでだろう。スキル、と言いかけていたことからしても、魔法関係なんだ。
なんでリゼには言えないのか、何を言いたいのか。
「えー、イソクー!ふたりがなんか面白いことしてるー!」
大きな声を出して、リゼがイソクを呼ぶ。
さすがに狭くなってきた脱衣所に入ることはせず、ちらっとこちらをのぞいている。
「あっ、やっぱりふたりって…」
またこれか。
「……もういいや、今日は無理だ。アミ、スキルを信頼しすぎないように。君は、いずれ壁にぶつかる。自分だけの武器を持っていたほうがいい。もしかしたら私も…」
最後に何かを言い残そうとしていたが、途中でやめたようだ。
というか、スキルを信用しすぎるな、って…。そもそも、クウは私がスキルを持ってることを知っていたのか。自分だけの武器…どういう意味だろう。わからない、いろいろと。
でも、大切なことを言っている気がするんだ。
「とりあえずみんな出てってもらってもいい?のぼせてきた…」
そう、少しクラクラするなぁと思ってきたところだった。もう寝よう。疲れた。




