表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「スキル????」  作者: 古来 冷翠
2.魔法学院編
19/111

19.歴史

毒属性の教室の前でリゼと別れ、私はレイと教室に向かう。


「テストの結果はね、ここで受け取れるんだよ」


レイは、教室の前にある謎の箱に手をつける。すると、少し淡く光った。

そして、紙が下から出てきた。

用紙をチラッと覗き見する。

22問正解、合格と上のほうに書いてある。

そして、その下に表のようなものがある。

問題の正誤だろうか。


「アミもやってみてよ」


言われた通り、私は箱に手をかざす。

すると、紙が出てきた。

21問正解、合格だ。


「あー、よかった…」


これで今日も心置きなく授業が受けられそうだ。


「じゃあ、教室入ろっかー」


私は教室に入り、昨日と同じ席に座る。

レイは昨日のところが固定席というわけではなかったらしく、今日は空いていた私の隣の席にやってきた。

ちなみに、今日はノートを持ってきた。クウが一冊くれたのだ。マジ優しい。


「アミ、今日の授業の予習でもしておく?」


レイが横から自分のノートを差し出す。

ノートには年表が綺麗にまとめてあり、教科書と見間違うほどだった。まあ、この学院は教科書ないけどね。


「そうだね…貸してもらってもいい?」


「もちろん」


レイからノートを借り、読む。

レイは、横からたまに補足説明をしてくれた。最初に出会えてよかった。

ほんと、ひとりでの教室も覚悟してたから、話しかけてもらえて助かった。私にはその勇気がない。


「はーい、席について。授業始めるよー」


年表も半分くらい見終わったかというところで、アレイスがやってきた。

あいさつの号令をかけ、授業が始まる。


「今回は歴史。4回目の授業だね。説明を始めよう。時代ごとに追っていくよ」


アレイスがホワイトボードに貼ったのは、横に細長い、時系列の表。

その下に書き込むのだろうか。

ペンを取り出した。


「まず、この国の始まりから説明しよう。この国、フィシチニは今から約650年ほど前に建った……」


話がとても長く、聞いてきて飽きたので、タウにまとめてもらおうと思う。

ほんとに、長い。そしてあんまり面白くない。最初は魔王様関連とかが出てきて結構面白かったのだが、その後はただただ歴史が紡がれているだけだ。


『タウ、まとめて』


『…私のまとめよりも、実際に読んでみると良いと考えます。テストの答えは私がわかります。なので、しばしお待ちを』


なるほど。つまり、あとで本か何かを見せてくれると。


『わかった。テストは任せたよ』


その後私は、ひたすらに寝ないように耐えることを続けていた。




はい。授業が終わり、テストが配られました。

タウが全部答えてくれたから何も問題なくテストは進んだ。1問1答式、というのだろうか。年表の穴埋めだった。

主に500年前の話。少しだけ300年前の話も出てきたが、明らかに年表の長さが違うでしょ、というほどに出来事がなかったっぽい。


テストの時間は終わり、放課後となる。

私は、部活動を見に行かなければならない。


「アミ、どうだった?」


レイが私に問いかける。

どうだったかと問われても、私は書いてただけだからなんとも言えない。


「いい感じ。レイはこの後どうするの?」


あまり聞かれると不自然に答えてしまいそうだから、話を逸らしてみる。


「今日部活があるから、外で時間まで動いてよっかな。アミは?」


「部活動見学。気になってるところがあってさ」


そう。魔法研究部〜−h〜。

どうしても惹かれているのだ。


「そっか。じゃあまた明日」


レイは手を振って別れていく。


「うん。またね」


私は意気揚々と、しかし少しの緊張を持って、活動場所と書かれていた部屋…312まで歩いていく。

個人の部屋で部活なんてできるんだ。

大きな部活じゃなかったら教室なんて使えないってことか。世知辛い。



私は階段を下り、3階の部屋まで歩く。

そして、312と書かれた看板のある扉をノックする。


「あのー、すみません…」


扉を開けると、そこからはもうリビングの部分が見えていた。

そこで私は、想像のできなかったものを目にした。

ありえない、と一瞬思った。

でも、これはもしかすると、と少し期待も抱いた。


「えっと…魔法研究部…ですよね…?」


私は聞く。

リビングにいたのは、ふたりの生徒。

彼らが持っていたのは、魔法陣の紙でも、とても難しそうな本でもない。

そう、私も知っている…。


「魔王の軌跡…」


まさにその本。

私が大好きだった、あの本を持っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ