18.部屋での時間
昼食を終え、私はベッドに転がった。
太る?ん?聞こえないね。
たまにはいいじゃないか。
「レイさん、不思議なんだよねぇ…」
タウが警戒してることも含めて。
そして、私が感じている違和感も。
「まるで何かを隠してるような」
そう。これなんだ。
そりゃあ、隠し事の少しはあるだろう。
でも、この違和感を放っておくと後で大きな被害になる。そんな予感がする。
『彼女は、異世界のものですね。おそらく』
タウが言う。異世界…?
異世界という概念は知っている。でも、私はその本質をよく分かっていないのだ。
『大抵、私が違和感を感じているときはそれです。ただ、他の異世界の人とは何か違う。だからこそ、警戒に越すことはないかと』
なるほど。よくわからん。
『特性もまだわからないし、属性も、魔力量も…。彼女を知っておくべきかと。こちらに話しかけてくること自体が違和感なのですから、あちらにも思惑があるのだと考えられます。それに、彼女は貴方のことを新入生、と呼びました。今まで授業で会わなかっただけなのかもしれないのに…』
読み合いみたいなものだろうか。
私は触れたくない。考えたくもない。
何も知らず、平和に終われば…。
知らず知らずのうちに、私の意識はまどろんでいた。
「ただいまー」
イソクの声で、私は目を覚ます。
「イソク!アミが寝てるから静かにって!」
クウの声だ。
いつの間にか帰ってきてたんだ。
「ごめん、起きた…」
私はそう言いながら体を起こす。
時計は17時を指している。
結構寝ていたようだ。疲れてたのかな。
「もー、だから言ったのに…。まあ仕方がない。はい、夕食作って」
イソクは諦めたように言う。
もう夕食の時間なのか。
リゼは…。
「もう全員帰ってきてたんだ」
私は、2段ベッドの上からリビングを覗き、言う。
リゼも、いた。
「おはよー、アミ。ねぇねぇ、部活ってもう決めた?」
リゼは目を輝かせて私に聞いてくる。
そういえば、部活なんてあったな。
えっと…紙がここらへんに…。
あ、あった。私の下敷きになっていたようだが気にしない。
「まだ決めてなくって…」
2段ベッドからさっと飛び降りる。
はしごでゆっくりなんて、面倒だ。
「私はね、バレー部に入るの!」
バレー…?聞き覚えがない。
とりあえず、手元の紙で見てみる。
ボールをうつ競技らしい。
身体強化が自然と身につく…だそうだ。
「楽しそうでしょー。体験やっててさ!始めたらハマった〜」
けっこう単純な理由だ。
これくらい軽くていいのか。
なら、私も軽く決めようかな。
プリントに目を落とす。
結構いろいろ並んでいるが、私が一番気になったのはこれだ。
「魔法研究部〜−h〜……」
響きがいい。面白そう。
−hは、グループ名とかだろうか。
すごく気になる。運命というか、何かが引っかかるというか。
「アミ、もしよかったらバレーさ、一緒にやろ?」
リゼに誘われているが、これは最後の選択肢になりそうだ。
「うーん、もうちょっと考える」
他の人たちは何部なんだろう。
「クウは何部なの?」
「私は魔法陣専門部。魔法陣について研究しててね。最近は召喚のものとか…」
おぉ…召喚…。
すごいこと研究してる。
「ちなみに、イソクは猫の手部。いっつもいろんなところを歩き回ってるんだよね」
独特なネーミングすぎる。
猫の手って何。
私の不思議な気持ちを察したかのように、クウは追加で説明する。
「とある国にはね、猫の手も借りたいっていう、忙しいときに手伝いをしてくれるなら誰でも大歓迎!みたいなことわざがあってね…。それが由来らしい」
へぇ…。そうなんだ。
「夕食できたよー」
イソクが私たちを呼んでいる。
その日は、夕食を終え、お風呂に入り、そのまま寝てしまっていた。
昨日と同じように朝を過ごし、授業の時間となった。
「それじゃあ、行こっか」
昨日と同じ服装のリゼと、今日は緑色のネクタイをしてみた私は、廊下に出る。
そこに、レイがいた。
「アミ、タイミングがよかった。おはよー」
レイは少し微笑んであいさつをする。
反対に、リゼはキョトンとした顔をしている。
「知り合い?」
「うん。昨日会った」
「へぇ…とりあえず教室に行こう」
リゼからは、よくわかんないけどまあいいや、みたいな雰囲気を感じた。
そこから、少しだけレイとリゼはお互いのことについて話しつつ、廊下を移動した。
私?私は静かについて行っただけだ。
3人組の宿命というやつだ。




