109.寿司の用意
〜前回のあらすじ〜
山の中で、アミとリゼは米を作ってました。
シンは買い出し中です。
アミが頑張って、そうやってお米を作ってくれた。
私は暇だったため、魚を捌いていた。
そう、ダンジョンで取ってきたやつだ。
すべて作戦通り、と言えるだろう。
「サーモンとマグロと、タコとイカと…これは、イクラっぽい!ラッキー。あとは…タイじゃん!おぉ」
というわけで、かなりの種類、量があった。
売ったら金貨何枚だろう。
そう思いながら、私は剣をササッと振るい、捌く。
「捌き終わったし、しまっておこう」
とりあえず、短冊状態にはしておいた。
どっかで食べよう。
「よし、終わったぁ!あ、でもこれどうやって持って帰ろう…」
アミも終わったようだ。
持ち帰りには、私が役に立つ。
「私が収納魔法に入れていく。貸して」
アミは土魔法にで器を作り、お米を入れた。
そして私は、それを収納魔法にしまう。
「じゃあ、転移よろしく」
そう言って手を繋ぎ、転移した。
魔王城に着いた。
そういえば、寿司なんて料理があった気がする。お米もあるし、どうだろうか。
「アミ、今日の夕飯なんだけど、寿司にしない?」
アミがしばらく思案し、答える。
「いいけど、魚はあるの?」
もちろん。アミは見ていなかったのか。
「少しだけ。だから式神に頼んで、シンに伝えてもらう」
そう言って私は紙を取り出し、指示をする。
「シンに、今日は寿司にするから、サーモン、マグロ、タコ、イカ、イクラ、タイ以外の魚を少々買ってきてって言って」
少し嫌そうな顔をして式神は転移していった。
ちなみに、式神は一応、スキルの内ということで、全属性が使える。マジ有能。
だからこそ、なぜタウに負けたんだって感じだ。
「……よし、先に準備始めよ!」
すると、アミが慌てたように言ってきた。
「リゼは今日、結構疲れてるでしょ?私は全然大丈夫だし、料理はやるよ」
まあ、たしかに結構疲れている。
でも、アミほどではないはず。
「大丈夫だよ。まだできる」
「じゃあ…私が指示するね」
また、アミ先生だ。
「よろしくお願いします!アミ先生!」
そう言う他なかった。
「まずは酢飯っていうのを作るらしい」
アミが言う。
「ご飯を炊いておいて。私が魚を切るから、そこの台の上に置いといて」
指示された。つまり、さっきのお米を洗い、鍋に酢と入れればいい。
「そんで、火にかけて…」
私の準備は終わった。
あとは待つだけだ。
「アミ〜、終わった〜!次は?」
「うーん、どうしようかなぁ」
しばらくして。
「あ、シンが帰ってくるか見てきてよ」
たしかに、それも必要かも。
「じゃあ、1階にいるね!」
下へ向かうため、私は階段を降りる。
「って……うぉ!?」
罠が発動したのだろうか。
矢が飛んできた。間一髪でかわす。
「あんのやろぉ…」
後で止めさせないとやばい。
「「あ」」
シンも、いた。1階の廊下の奥の方、扉から入ってきたところだった。
いつの間にか帰ってきていたようだ。
「帰り?」
「そりゃもちろん。はい。魚買ってきた」
「ありがとね〜」
あれ?なんか、シンが不機嫌。
「僕はね、魚なんて買う予定なかったの。そんで、肉を買ってたわけ。いきなり夕飯決めないでもらっていい?リゼが買いに行くわけじゃないんだから。しかもさ、魚って高いんだよ。指輪代だって…リゼのが半分だし」
わぁ……。やっぱり高かったんだ。
「それはごめん。でも、別によくない?冷蔵庫にたくさん入るし」
正論だと思うんだけど。
「まあ、そうだけどさ。うーん、まあいっか。ちなみに、寿司にするってことは、タウを呼ぶってことに直結してるからね」
シンは、それだけ言って上に上がろうと、廊下を歩いてきた。
「待って!そ」
「後にわかるよ」
そう言って歩いていく。
いや、話の内容で止めたいんじゃなくて…。
「シン、そこに罠あった」
「っ!びっくりした…リゼ、止めて」
聞こえていなかったようだ。
「待ってって言ったじゃん」
「そっちかよ。まあいいや。とりあえず上に行こう」
今度は罠にかからないよう、慎重に廊下を通り、階段を上った。
「アミ!タウに罠解除させてよ!」
開口一番、それだった。
逆に、それ以外言うことはないだろう。
「あっ……よかった。死ななくて」
たしかに、言われてみればそうだ。よく生き残った、私たち。すごい。
「よし、解除したって。ごめんね」
アミは悪くないのに。
「それで、追加の魚と、野菜もいくつか」
シンが、買ってきたものを取り出した。
寿司にできそうな量を決めてくれたみたいだ。
山が2つにわかれている。
「残りは僕が閉まっておくよ。いらないものは頂戴。燃やしておくから」
量が多すぎるもんね。正直困っていたから助かる。
でも、
「私は…?」
「野菜を茹でておいて。変なことはしないように」
そんな事言われなくても大丈夫だって。
「どれを?」
「とうもろこしを。レタスは適度に千切っといて」
すぐ終わりそう。
「終わったら?」
「うーん…………、椅子を、3人分」
「魔王の分は?さっき来る、とか……」
「来させない。大丈夫」
アミなら任せられる。
「タウはね、肉と寿司が好き」
知らねぇよ。でもまあ、仕方がない。気をつけよう。
皿に盛り付けを始めたアミと、冷蔵庫に頑張ってしまっているシンを横目に、とうもろこしをバラバラにする。
そして、茹でた。その後、レタスを千切った。
あとは椅子の用意。
上に取りに行き、風呂場を通って椅子を持ってくる。
これで、与えられた仕事は終わりだ。
「アミ、終わったよ」
「うん、私も終わった。醤油も用意した」
アミは、寿司の上の魚だけを並べた皿を、食卓に運んでいた。
「僕も……よし、終わった」
お米も大体大丈夫そうだ。
「お米もつけるよ?」
そう言って、そこら辺にあった皿に入れようとする。
「リゼ、ストップ!こっちの皿使って!」
深めの皿を、アミが取ってきた。
「さすがに肉の処理したやつは…」
と後で小声で言っていた。




