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「スキル????」  作者: 古来 冷翠
5.リゼ編
108/153

108.農業

〜前回のあらすじ〜

明日は薬屋に行くことが決まった。小物の買い物も終わった。さて、夕食の用意でもするかぁ。

「よし、指輪も買えたし、あと買いたいものは?」


道に出てから、私は2人に問う。


「食料品だけ。僕が買ってくるから……農作業をしておいて」


意味がわからないことを言い出した。


「いやぁ、米がなくなってきててさ。育てといて」


多分面倒なことを押し付けられた。

今までの経験からして、絶対そう。


「……育て方わかんないからさ、ねぇアミ?」


断る口実を作ろうと、口を開く。が、


「大丈夫。タウが教えてくれるって」


くっ…。そういえばあいつがいた。

空気を読んでくれという気持ちと、あいつに教えてもらうというなんとも複雑で嫌な気持ちになるが、仕方がない。


「……じゃあ、アイス買ってきて。高いやつ」


「わかった。じゃあ、お願いね〜」


シンが上機嫌で市場に向かう。

あーあ、これは面倒なことになった。




私は歩きながら包帯を巻いた。

片方だけでいいから、斜めに巻く。

よし、完成だ。案外上手くできた。片手だと厳しいかと思ったが、よかった。


「じゃあアミ、転移魔法頼んでもいい?」


「わかった。行くよ!」




ついたのは、魔王城。


「魔王さん、教えてよ。お米の育て方」


しばらくして。


「うーん、あんま気が乗らないって。口頭で伝えるから頑張れって」


あのやろっ……。


「まあ、いいでしょう。畑はどこ?」


また少しの沈黙があってから。


「……ないから、作れと」


アミも少し呆れたような声で言った。


「おい、魔王。出てこいや。ぶっ飛ばすぞ」


「タウ、召喚」


アミもさすがにキレたようだ。

タウが現れる。


「……農作業は基本、向こうの家でやっていた。だから、ここにはない。ということで、転移する」


魔法が急に発動した。無詠唱もできたのか……そんなことを思いながらも、私は転移先へ注意を向けた。




次に目を開いたら、そこは山奥だった。

街が見下ろせる。おそらく、北西のほうの山だろう。


「ここには何が…」


そう思って周りを見ると、木々の間に家があった。もっと右に、倉庫があった。まさか。


「魔王の、実家?」


私が考えうるのは、それだけだった。

シンは行きたがらなかったし、イッシュも教えてくれなかった。


「そうだ。……こっちだな。よし、案内は終わりだ。あとはアミに任せる。俺は帰る」


そう言って、消えた。ずるい。


なにはともあれ、畑に着いた。


「まず、何するの?」


「えーと、育てるための苗が城に置いてあるから、それを耕した土に植えて、土魔法で育てろ、と……え、帰れってこと?」


アミの言う通りだ。

何のために畑に来たというのか。


「……じゃあ、私は城に戻って苗取ってくるから、土耕しといて」


そう言ってアミは転移していった。

ひとりかぁ。耕すってどうやって?

うーん、とりあえず情報見るか。



どれどれ。……ないね。

私もイッシュも、畑仕事はしたことがない。

よって、情報なし。

ただ…


「道場でやってた走り幅跳びの耕し方でいいかな?」


砂場を整えるときにやった感じだ。


まず、氷で作ったシャベルで掘り返す。


「さすがに広いね……5つ分くらいでいいかな」


かなり畑は広かった。おそらく、愚直に全部耕せば2日かかる。苗が5列埋まりそうなくらいの範囲を、ひたすら掘り返す。


「ただいま〜あ、よかった」

アミが帰ってきた。手には苗を数個持っている。残りは収納魔法だろうか。


「何が?」


「やり方の指示忘れてたから。もしかしたらできてないかなって」


そういうことね。


「あってないかもしれないけど、一応掘り返してた」


あとは、均すだけだ。

というわけで、氷でトンボを作り、土を均す。


「あの…すごく言いにくいんだけど、土魔法でやればすぐらしい」


アミが言ってきた。……今言うか?


「まあ、アミなら許すよ」


私が渋々許したところ、


「あ、タウ情報ね」


と言われた。


「あの野郎。今日こそは許さん」


まぁ、アミ以外だったら許してないからね。


「水をはってから、この苗を植えるんだって。これも土魔法でできるらしい。そして、風魔法で収穫する。それを繰り返すんだって。4人分だから……え、4人?しれっと食べる気じゃん」


あ、そうだ。私は、指輪の存在を思い出した。


「繰り返すんだったら、私の指輪、使いなよ」


私の指輪は、1回魔法を使うと、同じものを一定の魔力でもう一回使えるというものだ。

例えば、1回氷魔法を、魔力50を消費して使ったとしよう。そうすると、次からは全く同じ規模の魔法を、指輪に魔力30を込めるだけで使えるのだ。


正直、大きな魔法を使うと魔力をすごく持ってかれるから、ありがたい。


「でも、1回しか使えないんじゃ…」


そんなことはない。


「私の解析によると、何回でも魔力…30を込めれば使えるって。すごく便利」


「そっか。それならいっか。借りるね」


そう言って指輪をつけたアミは、大きな魔法陣を展開した。同時に、指輪にも登録されている。

ちなみに、範囲は畑全体だ。

私の苦労を返せ。


「そんで次は、水に……風魔法!」

こっちは普通に魔法陣を展開している。指輪への登録はない。もう使いこなしているのか。

辺りに風が吹く。

アミの足元に、お米が落ちている。

白い、つまり加工済みだ。


「あと、3回!」

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