全ては順調に……
トロイメライ戦隊員達が待機を続けている最中も、各機体の調整などは順調に進んでいた。
その中心で動いているのは、普段だらけている印象しかないレインだった。
言動の軽さや態度……つまるところは日頃の態度が原因ではあるのだが、レインが真剣にここまで熱心に機体を扱うのを技師含めた全員が驚き、アルプ機関所属のナディアに至っては、驚きすぎて言葉を失ったほどだ。
通常通りなのは、レインの側近であるエッダだけである。
もっとも、彼女の表情が変わらないのはいつもの事であるのだが──
「レイン・エンジェル博士、進捗確認終了致しました」
「ありがとう、エッダちゃん。さて、進捗具合は……ふむ。おおむね想定通りだね」
「そのようですが、本当に間に合うのですか? タイムリミットは迫っております」
「だからこそのこの力だよ……そうそう人類を終わらせなどさせるものか」
「そういうものなのですね」
「そういうものだよ、エッダちゃん。この星を壊しているのは確かに人類の大いなる業だ。だが、それは人類が知性を得たからであり……この星が産み落とした命の進化の結果でもある。人類だけに罪があるというのは、少々横暴だと思うのだよ」
「この星が産み落とした……命の進化の結果、ですか……」
「エッダちゃんも、進化している結果を出しているだろう? そういう事さ」
「造られた存在が……ですか? 理解できません。生物ですらないというのに、進化が可能とは思えません」
「思えない。そう、君は思えないと感じている。それ自体が感情というものを君が得た証拠であり、進化したという証明だよ」
「これが、感情……そうなのですか。認識出来ませんが……」
「感情はね、自分でも認識しにくいものだよ。だからこそ、人類は言葉を覚えたのさ。互いの感情を認識するためにね? まぁこれは持論だけれどもね?」
「そうですか……?」
「うんうん。さて、話題が逸れてしまったね。M.E.の方へ戻ろう。改良は順調、補助パーツとの接続も順調。後は……合体機構が万全になるかどうかだね」
「……レイン・エンジェル博士、合体機構に何故そこまでこだわるのですか?」
エッダに問われたレインは、優しい微笑みを浮かべながらいつも通りの声音で告げた。
「その方が、効率的なのがあの三機のコンセプトだし……何より、ロマンがあるだろう?」
その言葉を、エッダが正しく理解することは出来ず、少しの沈黙の後……咳払いをしたレインの元へ、ナディアが鬼気迫る表情で現れ、レインの右足をヒールで思い切り踏んだのは、また別の話だ――
****
こうして、レイン主導でプロジェクトは順調に進み、トロイメライ戦隊のM.E.の改良が終わり……いよいよ各隊員達のもとへわたる事になった。
新たなステージへ進んだのだ。
この結果が生み出すその先は……。




