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トロイメライ戦隊員ルームにて

 レインが発案した特殊障壁が、各国に配備されてから一か月が経った。

 その間、カタストロイ本体も疑似怪獣(ハイ・カタストロイ)も出現する事はなかった。

 だが――


「日に日に、空の色が赤みをおびているな……」


「そうですね、ユーリ。これもレインの言っていたタイムリミットの予兆の一つなのでしょう」


 ヴェルト・アル=ズィーゲリン艦内、トロイメライ戦隊員専用ルーム。

 そこで、上空にて飛行しながら移動する艦の中、窓から景色を見つめていたユーリに、ハリスが声をかける。

 そんな二人から少し離れたソファに座っていたロディが静かに声を発した。


「隊長。他にも予兆の報告が相次いでいると聞いている。本当に、この状態を維持していていいのか?」


「ロディ中尉に同意です。自分はまぁ先輩方と違い合体こそしませんが、機体がお預けなのは同じですから」


「まぁ、そいつはぁ俺らも同じですぜぃ。なぁハナ?」


「そうねデューイ……隊長、正直歯がゆいです……何か出来る事はないのでしょうか?」


「機体が無い以上、僕達に出来る事はとても少ないのは事実です。ですが、だからこそ焦るべきではないと思っています」


「レインが早くしてくれないと、おれたち出撃できないもんな!」


 床に座っていたシャオが口を開いたと同時に立ち上がる。

 全員の視線が集まる中、彼は大きな声で告げた。


「あれだ! なんとか待てばって奴だな!!」


「どこの国のことわざか、せめて分かる部分がほしいところですが……まぁ自分も? グチグチ言うのはここまでにしときますよ」


 諦めたような口調で、アイクは自席の椅子に再度もたれかかると、ブラックコーヒーを一口含む。

 その様子を見て、窓付近にいたユーリが給湯室へ向かう。

 紅茶を入れて自分を落ち着かせるためだ。

 そんな彼を見て、アイクが皮肉を含んだ声色で誰にともなく静かに呟いた。


「英国の連中は、茶葉の虜な事で」


 米国出身のアイクと英国出身のユーリ。

 二人の相反する飲み物の匂いで、隊員ルームはいつも充満している。

 配属当初は、アイクの挑発もあって対立していた二人だったが、そこは成人男性。

 今となってはそんな()()もしなくなった。


(まぁ、ケンカをされるよりはマシなんですが……ここに香水をつける者がいなくて良かったと、心から思いますね)


 正常バイアスか、ハリスはふとそんな事を考えている自分に気づいて、口元を少し歪ませた。

 今はそんな時ではないというのに。


「隊長、私が言うのもなんだが……今だからこそ、というのはあると思うぞ?」


「ロディは相変わらず鋭いですね……カンですか?」


「単なる観察の結果の発言だ。どこぞの博士と一緒にしないでくれるか?」


 表情に変化こそないものの、嫌悪のオーラを出すロディにハリスは苦笑する。


(ふふ、君も随分嫌われたものだね? レイン……いや、()()()()?)

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