帰還
「知らない天井だ。」
楓はボソッとそう呟き起き上がる。
頭に激痛が走る。
それに耐えながら起き上がりさっきまで寝ていたベッドの柱に掴まり立つ。
周りを見渡すとそこは見覚えのある空間だった。
そして気づかなかったが椅子に座ってベッドに寄りかかり寝ているフウがいた。
「神界・・・フウ・・・。そうかここは精霊神の空間か。」
楓はベッドに座りフウを眺める。
「楓様・・・。」
フウはそう寝言を言いながら目から一筋の涙を流した。
楓はそれを人差し指の腹で掬いとる。
フウの乱れた髪を手櫛で綺麗にする。
髪を整えしばらくフウを見ているとフウがゆっくりと身体を起こした。
「おはようフウ。」
「か、楓様・・・。」
フウの目から涙が溢れる。
そのまま勢いで楓の身体を抱きしめた。
それに応じて楓もフウの小さな身体を抱きしめる。
「よかった。楓様が死んじゃったかと思うと心にポッカリと穴が出来たような感じになって・・・。」
「心配かけてごめんね。ちゃんと僕はここにいるよ。」
ゆっくりとフウを離し目をみる。
フウの目にはたくさんの涙が溢れている。
それをフウは手で拭う。
しかし、涙は止まることなく出てくる。
楓は優しくフウの頭を撫で安心させる。
しかし、安心したのかさらに涙がフウの目から溢れてくる。
「大丈夫だよフウ。」
声をかけるとようやく俯いていたフウが顔をあげ涙で溢れている目を擦り涙を拭く。
やっと涙が止まり元の整った顔に戻る。
「やっと元の顔に戻ってくれた。
僕はフウの笑った顔が好き。
だから笑って。」
そう言うとフウはニコッと笑う。
楓も笑い返しベッドに倒れ込む。
「はー疲れた。
もうちょっと僕は寝るよ。」
「わかりました。」
「フウも一緒に寝る?」
「はい・・・って大丈夫ですよ!」
「そう?じゃあおやすみ。」
楓はもう一度体制を直しベッドにゴロンと寝転がる。
よほど疲れたのか直ぐに寝付く。
フウは寝付いた楓の顔を愛おしそうな、そして悲しそうな目で見ていた。
ふと楓は自分の右腕に違和感があり起きた。
右を見てみると自分の腕を枕にして寝ているフウがいた。
「結局寝たのか。」
楓は苦笑いをしながらフウをみる。
「この感じさっきも経験したようなきがするな。」
ついさっき(体感時間できには)も同じような体験をしたことを思い出す。
しかし、今回少し違う。
完全に隣に寝ている。
しばらく眺めているとフウが起きた。
「おはようフウ。」
これさっきもやったなと思いながら声をかける。
「おはようございます楓様・・・!?」
フウは楓の姿を確認するやいなやはね起き楓から距離をあける。
「そんなに驚かなくても。」
「驚きますよ。
好きな人が起きたら隣にいたら・・・。」
楓には最後のほうは聞こえなかった。
それに疑問も抱かず楓はベッドに座りながら話しかける。
「フウそれよりもさ、帰らない?僕達の家にさ。」
楓はそう言い離れていったフウに歩み寄る。
「そうですね。
帰りましょうか。私たちの家へ。」
楓はフウの手を握り魔力を高める。
しかし激しく全身に痛みがはしり魔力を高めるのを中止する。
「どうしました?楓様。」
「ん、ちょっと魔力を高めようとすると全身に痛みがして。」
「そうですか。では今日は私がテレポートを使いますね。」
「ありがと。お願いする。」
フウが楓の手をぎゅっと強く握ると景色が一瞬でかわりそこはフウの部屋になった。
神力はその強力な力のため高める必要がなく一瞬で使える。
それが発生した時からずっと神ならばなおさら早く使える。
それを忘れていて楓はほんとに一瞬の出来事で少し驚く。
「凄いね。」
聞こえないようにそう呟く。
フウの部屋を見渡すと、白と薄い碧で統一された家具や壁紙がある。
とてもシンプルだ。
実は楓がフウの部屋に入ったのはこれが初めてだ。
その部屋の綺麗さにめを奪われる。
「楓様?」
フウが楓の顔を覗くようにして見てくる。
あ、と気が付き楓はフウに笑顔を見せる。
「とても可愛くてシンプルでフウらしい部屋だなって思ってさ。」
「そうですか?ありがとうございます。」
楓が部屋を出ようとすると、フウが楓の服の裾を掴み楓の動きをとめる。
「ちょっとそこに座って下さい。」
フウは椅子を指差し楓に指示する。
楓はなんだろう?と思いながら椅子に座る。
フウは楓に手を翳す。
「《我精霊神の名においてこの者に神の癒しを与え、その苦しみから解放させよ。》」
フウは何かの詠唱を始めた。
「《アーリエル》」
フウがそう唱えると楓の身体に薄く碧の色がついた柔らかく暖かい力が覆い楓を癒す。
楓は戦いにより怠く重い身体が一気に気持ちよくなりスッキリとした気分になった。
「どうですか?」
「なんか身体が一気に軽くなったよ。」
「そうですか。それはよかった。実は今のは私とライの得意なものでして、どんな疲れなども吹き飛ぶというものです。」
「なるほど。ありがとフウ。」
「いえいえいつもお世話になっているお礼です。」
フウはそういいニコッと笑った。
楓は笑顔で返しフウの部屋をでた。
そしてすぐに自分の部屋に行きベッドに倒れ込んだ。
投稿がとても遅れて誠に申し訳ございませんでした。
これからもペース自体はあまり上がらないと思いますがこれからもこの小説をよろしくお願いします。
今回は健全です!
誰がなんと言おうと健全です!
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