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36話 3日目   【夫】審問 3

【続・アダム視点】



 僕が座ったのを確認して、バーミンガム大公が促す。


「続きを」

「はい。アダム伯爵の家の捜索した際、犯行に使われた物と同じ釘を押収しています。

 かなりの数がありますので。

 これだけあれば、何百人と王女と同じ目に合わす事が出来るでしょう。」


 会場が再び湧き上がる。

 

『よかったわー』

『そうよそうよ。今捕まっていなかったら・・・』

『私もどうなっていた事か』

 

 釘だと!

 それにまるで、僕がこれから何人もの人を拷問しようと計画していたかのような言い草だ。

 アダムス騎士は僕の家から押収したという釘を、さも大事そうに掲げている。

 何人もの人を救った英雄という雰囲気まで出している。

 その姿に腹が立ってくる。 


「まて、釘なんてどの家にもあるだろ!

 それがなんの証拠になるんだ!おかしいだろ!」


 僕は我慢できずに叫んでいた。


「被告人、静粛に。

 繰り返しになりますが、口を閉じられないようでしたら強制手段をとりますよ。

 それでいいのですか?」


 僕は、無言で首を振り着席する。


「では、続きを」

「はい。アダム伯爵の部屋から、王女との関係を匂わすものが出てきました」


 んん?

 僕は自分の部屋を思い出すが、そんなものは無かったはず。

 一体、彼は何を発見したというのか。


「ほ~う。それはどういうものですか?」

「はい。こちらになります」


 ダグラス騎士が何枚かの用紙を机の上におく。

 傍聴席の人々も、審問官のバーミンガム大公もそれを良く見ようと体を乗り出している。


「それは何ですか?手紙のようにも見えますが」


「その通りです。手紙になります。

 筆跡鑑定をしたところ、第三王女様が書かれた物のようです。

 内容から、アダム伯爵と第三王女様が不適切な関係にあった事が推測されます」



 そのとき。

 会場の客席から声が上がる。


『まぁ!そんなことありえませんわ!

 嘘を言わないで下さいまし!』


 僕の妻のアナスタシアが立ちあがったのだ。

 大公は、一瞬ビクッと震えたが、直ぐに落ち着きを取り戻し。 


「ご夫人、ご静粛に。お気持ちはわかりますが」


「いいえ、分かるはずがありません。

 その者は私の夫が結婚の誓いを破ったといっているのも同罪なのですよ。

 そんな事を許せましょうか」


「ご静粛に。どうかご静粛に。お辛いでしょうが、続きを聞いてみましょう」

「・・・そうですわね。皆様、お騒がせして失礼しました」


 そういうと、アナスタシアはしぶしぶ席に座る。

 

「では、続きを」


「はい。

 同様に、第三王女様の部屋を捜索した結果、同じように手紙が見つかりました。

 そちらはアダム伯爵から第三王女様へ書かれたものでした。

 こちらも筆跡鑑定をし、アダム伯爵の物だと確認済です。

 ですので双方が不適切な関係にあったのは間違いないと思われます。

 ここにアダム伯爵がかかれました手紙を用意しましたので。

 一つ朗読したいと思いますが、よろしいでしょうか?」


「許可する」


 はぁ、なんで許可するんだよ!

 おかしいだろ!

 そんなもん読む必要がどこにあるんだよ。


 それより、もっとおかしいのは手紙だ。

 セレステから貰った手紙は自分の部屋には置いていなかった。 

 そもそも、屋敷に隠していなかったのだ。

 何故それが僕の屋敷から見つかる。


 困惑している中、騎士は手紙を両腕で持ち、大きな声で、感情を込めて読み出す。


「愛しのセレステヘ。

 僕は君の事を考えると夜も眠れない。

 君がいないと世界が暗転してしまったようでひどく醜くくなるんだ。

 太陽の様な君がいないと僕は生きる活力すらわかない。

 美しい君の姿を思い浮かべるたびに、僕の心は満たされとても幸せな気分になるんだ。

 君の声、君の姿が僕を高揚させる。

 あー、セレステ、今にも君に会いたくて心臓がとけてしまいそうだ。

 この胸の鼓動を聞かせてあげたいよ。

 早く、この牢獄の様な家から抜け出し、君と一緒になりたい。 

 愛しているよ、世界の誰よりも。君のことをずっと愛している。


 世界一君を愛している男 アダムより。


 以上になります。

 これと類似する手紙が80通以上存在します。


 最後の一文は、王族批判ともとれます。

 王族の方の愛情を疑っているようです」



 会場はシーンと静まり返っている。

 あまりの事にどう反応すればいいのか分からないのかもしれない。

 

 僕は恥ずかしくて死にそうだった。

 全身鳥肌がたって、頭が真っ白だった。


 皆の前で極私的な恋文を読まれたのだ。

 とんだ羞恥プレーだ。

 

 でも、それよりも僕は妻の姿を見るのが怖かった。

 今、一体彼女は何を考えているのか。

 どう思っているのか。

 怖くして仕方がない。


 と、その時。


「アナスタシア様!!!お気をたしかに!!!」


 傍聴席からカミラの叫び声がし、僕は妻を見ざる終えなかった。

 アナはふらっと気を失ったように地面に倒れそうになったところを、カミラに支えられたようだ。

 アナの父親も心配そうに彼女を見ている。

 そして父親は、時折僕の方を憎しみのこもった目で睨みつけてくる。

 つい最近までは、息子の様に僕を可愛がってくれていたのに。


 そんな中、僕の母は小さく固まっている。

 先程まではアナを介抱していた母親だが。

 今は罰が悪いのか、アナから手を引いている。

 そもそも隣に座っている事でさえ気まずそうだ。

 母は硬く口を閉じながらも、アナを心配そうに見、僕の方を感情の無い目でみている。


 本当に母さんに申し訳なく思う。 

 ごめん。

 僕は殺してないけど、ごめんなさい。

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連載始めました↓
彼女が二股していたので、腰が砕ける程衝撃を受けた。

 

連載始めました。よろしくお願いします。↓
転生したら吸血鬼さんだった件~チートで世界最強です~

 

さくっと同時連載中。↓
もう、結構ですわっ!

 

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