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21話 1日目:夜 【母】追悼ミサ(下)

【続・マリアンヌ視点】


 司祭と私が建物に入る際、入り口にいた見張り兵が私を止めようとしましたが。

 司祭が「このご夫人は特別だ」というと、彼はさっと下がりました。


 その後も何人かの警備兵とすれ違いながら教会の奥に。

 この教団、施設の警備はかなり厳重にしているようです。

 それに外で振舞っていたお料理やお酒、信者の衣服や武器。

 

 それらから推測するに、ある程度の資金がある様ですが・・・

 一体何故教団がそのような資金をもっているのか。

 私は疑問に思いました。


 

 そんな想いを抱きながら司祭に続いて進むと、教会の祭壇に到着します。

 外にはかなりの人がいたのですが、今この部屋では二人きりです。


 ステンドグラス越しに色鮮やかな光が入ってきており、それが神聖な雰囲気を漂わせます。

 ふいに司祭が足を止め、振り返ります。

 

「マリアンヌ夫人、当教団の事はどれ程存知ですか?」


 質問を受け、私は急に心が苦しくなりました。

 思えば、私はこの協会の事をほとんど知らないのです。 

 いいえ、何も知らないに等しいのです。

 彼らが何を信じて、何を目指しているのかさえ知りません。


「いいえ。恥ずかしながら」


 私がそう言って視線を下げると。


「そんな気になさらなくても構いません。

 拡大中とはいえ、当教団の知名度が今ひとつなのは事実なのですから。

 では、簡単な説明をさせて頂きます」


 それから司祭は説明をはじめました。


 このユヌス教団は、救世主ユヌス様を頂点とする組織。

 ユヌス様は現存していないので、今は代理の司祭が組織をとりしきっていると。

 彼らは主にこの王都の平和と繁栄を祈っていい。

 そのために礼拝や勉強会、子供への教育、貧しい人々たちを支援など幅広く活動していると。

 

 こんな感じのことを語りました。

 話を聞きますに、まっとうな宗教団体や慈善団体の様に思えます。

 しかし、今朝見た殺人事件現場での奇行?が脳裏をめぐります。


 あれはなんだったのでしょうか?

 

 その事を聞きますと。


「あれは祈りです。

 大変痛ましい事件が起こったので、穢れを払っていたのです。

 人が死んだら皆さんお墓に参りますでしょ。

 それと同じことです」


 ですが、私はその説明に納得できませんでした。

 なぜ、わざわざあのような目立つ場所でするのか。

 理由になっていません。


「随分、派手なパフォーマンスで見えましたけど。

 それにその後も直ぐにチラシを配り、今では外でお酒とお料理をふるまっていますわよね。

 それが穢れと関係あるのでしょうか?」


 それまで表情を硬くしていた司祭は柔和な笑みを浮かべます。

 私の反応にちょっととビックリしたみたいでした。


「ははは。確かにそう見えるかもしれませんね。

 マリアンヌ夫人は色々と鋭様ですので、一般の方向けの説明では適切ではありませんでしたね。

 隠しても無駄でしょうからお話します。

 確かにあれらの活動が一種の認知・勧誘活動ではある事は認めます。

 ですが、平和や繁栄の祈りは本気ですよ。

 そのための組織である事は間違いありません。

 それに本日の様なミサは時々やっているのです。

 こうして日々亡くなった人を皆で追悼しているのです。

 今日は偶々第三王女様の事件と重なったので目的を変更していますが、普段はごく普通の人々を追悼しているのですよ。 

 先週は八百屋の亭主でした」


 彼はけろっと話す。

 そのあっけなさに、私は思わず拍子抜けしてしまいました。

 私はあまり宗教団体に良いイメージを持っていませんでした。

 ですので、とんでもない迷信を話されるかもしれないと思っていたのです。


「それでしたら、何故私の息子を助けてくれるのですか?」

「それは彼が殺人を犯していないと信じているからです」


 司祭は迷わず答えます。 

 答えによどみはありません。

 

 何故この司祭はこうも信じているのだろうか?と、私は首を傾げます。

 いささか違和感の様なものを感じたのです。


 酔っている私は考えをそのまま口に出します。


「何故、そう思われるのですか?」


「それは、マリアンヌ夫人と同じだと思いますよ。

 アダム伯爵がこんな非道なことをすると思っていないだけです。

 それに、伯爵にとっては得になる事など何一つないでしょうから」


 宗教家らしからぬ現実的な物言いに私は心を揺らされます。

 彼の答えは私の考えと同じだったのです。


「それなら、一体、誰か犯人なのでしょうか? 

 誰が第三王女を殺したと思われるのですか?」


 司祭は一瞬間をおいてから。


「それは分かりません。

 ですが、それを一緒に探すために私達と協力しませんか?

 私達はご夫人の力になれると思うのです」


 司祭は私に向かって手を差し出してきます。

 私はその手をとるかどうか迷い体が固まってしまいます。


 ですが、数秒後には手を握っていました。


「はい。よろしくお願いします」


 そう返答していたのです。


 完全に彼らを信頼したわけではありません。

 いまひとつ腑に落ちない部分があるのも確かです。

 なにせ今日初めて会った人なのですから。

 

 心の中では「大丈夫、大丈夫」と言い聞かせます。

 変なことにはならないはず。

 協力して真犯人を探すだけなのですからと。


 もし、問題があるようなら途中で協力を打ち切れば良いですし。

 私にはメリットがあっても彼らにはメリットがあるとは思えない内容なのですから。


 私は自分の心にそう言い聞かせました。


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連載始めました↓
彼女が二股していたので、腰が砕ける程衝撃を受けた。

 

連載始めました。よろしくお願いします。↓
転生したら吸血鬼さんだった件~チートで世界最強です~

 

さくっと同時連載中。↓
もう、結構ですわっ!

 

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