神童ピアニスト
小さな少女が居た。
彼女はアメリカの養父母の下で幸せに暮らす。
本当の両親は早く事故で亡くしている。
彼女はピアノを弾く。
時々叔母が日本からやって来れば。
可愛い笑顔で叔母を迎える。
「リアナはピアノが上手ね」
叔母が言うので、次に来た時に誉めて貰おうと更に頑張る。
すると、天才ピアニストとして時々メディアに取り上げられる程になった。
桜庭梨阿那、それがこの小さなピアニストの名だ。
叔母は実母の妹で宿波里、宿波学園の理事長の孫。
死んだ梨阿那の母の代わりに次の理事長になる事が決まっている。
「私、海里叔母ちゃん大好き」そう言って笑っていたのが懐かしい。
やがて海里は教師になり、年に一度しか来なくなる。
「リアナちゃん、叔母さんは日本の学校の先生だから忙しいの。わかってあげて」
養母は優しく諭す。
リアナは一瞬寂しそうにするが決意を固める。
「リアナも日本に行く!海里叔母ちゃんのお手伝いする!」
元々頭のいいリアナは、ピアノを減らして飛び級する。
そして有り得ないスピードで大学を駆け上がり、やがて卒業した。
「リアナに理事長継がせたくないからアメリカに養子に出したのに…」
海里は心を痛める。
だがリアナはアメリカの大学を卒業し、日本の大学の入学が決まっている。
「リアナの事、よろしくね」
「はい」
リアナの養母に言われ海里は頷く。
この時、リアナは十歳だった。
こうして、リアナは日本に渡る事となった。




