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Student War ──羅刹女──  作者: 天井舞夜
魔眼・十さらに人形・邪道
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第45話

ある意味本格的な戦いの始まりの章


短いうえになんか前にも同じようなことを書いたような…………

 身から出た錆。

 自縄自縛。

 悪因悪果。

 これは正に──いや、逆に今の私に相応しい言葉だ。

 だから私が守る。


****


 あの悲惨な事件から一週間。

 私は無事退院し、家に戻って来ていた。無地の白いシャツ、ショートパンツというだらしない格好の私はソファーに座り伸びをする。扇風機の風がポニーテールを揺らす。

 入院中は大変だった。彩七どころかパパもママも泣きじゃくった。最もその3人は今、私を置いて海外へ行ったが。相変わらず心配しているのか、放任しているのかその辺がよくわからない親だ。

 それは置いといて、今日は夜山で祭りがある。私は既に月見、シオン、晴恋、原山に誘いのメールを送った。璃子と伊集院は可哀想だが奴らはまだ入院中だ。

 数分後、結局誘いに乗ったのは月見と晴恋だけだった。月見はモデルの仕事がお休みで、晴恋は元々旅行に行く予定だったが兄が入院したためキャンセルしたらしい。シオンは帰省中、原山は北海道に旅行中だ。




 私が昼食に食パンを一斤平らげるとタイミング良く月見が家に到着した。


「今行くよ月見」


 私が玄関の扉を開けると白のフレアタンクトップと黒のキュロットパンツを着て、赤みがかった髪を総髪にしている月見は呆れた顔で私を見つめている。そして携えている紙袋が気になる。


「鏡華……呆れた。よく足音で誰かわかるね」


 私の耳の良さは知り合いの中ではもはや凄いを通り越して呆れるレベルらしい。


「早々にご挨拶だな月見……」

「やっ! 鏡華。上がらせてもらうよ」


 月見がサンダルを脱いで家に上がる。そして私を眺める。


「だらしないよね」

「失礼だな。あんたは……。まあ、だらしない格好だが」


 この場合、友達と遊ぶというのに未だにだらしない格好の私の方が失礼だ。


「そこで! まだ服決めてないならこれ着てみない?」


 月見は紙袋から白いワンピースを取り出して私に誇示する。


「別に構わないが」

「そう? じゃあ早速着替えてきてよ」


 私は月見に促されて自室に行き、渡されたワンピースに着替えた。

 純白のワンピース。肩が出るくらい短い袖、膝より少し上の裾。

 月見は感嘆の声をあげた。


「鏡華、似合うよ! かわいいよ!」

「そ、そうか?」


 お世辞かどうかはわからないが月見が言うのだから間違いないのだろう。


「えっと……これいくらだ?」

「お金? 別にいいよ。これ、私のお古だし。捨てようと思ったんだけど鏡華着るかな~て」

「そうか……ありがとう月見」


 すると月見は目に焼き付けるように私を見つめると顔を逸らしてしまう。

 これよこれ、と月見が小さく呟いた。

 そして、月見は再び私を見ると私の目の前まで近づいた。月見は私より10cmくらい高く、目を合わせようとすると私は自然と少し見上げる形になる。月見は優しく、だけど独り占めしたような笑みを浮かべる。私は月見の息遣いを耳で感じる。そして月見は手を私の顔に近づける。手は顔の横を通り過ぎ、髪に触れる。私の髪がさらさらと月見の手から零れる。そしてポニーテールの作るために縛っているゴムに月見の指がかかり、それを髪に滑らせる。


「やっぱり鏡華はポニーテールよりストレートに下ろした方がかわいいよ」


 月見は嬉しいことを言ってくれる。自分で言うのも難だが髪は私の自慢の一つだ。


「月見って私の髪好きだよな?」


 おそらく今の私は意地悪な笑みで言っただろう。

 実際意地悪で言ったわけだが。


「好きだよ」


 月見が小さくはっきりと答えた。さらに続ける。


「鏡華の髪は見るのも楽しいし、触るのも気持ちいい」


 私は沈黙。月見は悦に入った顔で私の髪を撫で下ろす。


「不満そうな顔だね」


 月見は言った。

 確かに不満だが、なぜ私は月見に意地悪しようと思ったのだろうか?


「悪かったな。不満そうで」

「いや、いつもの不満そうな顔より余程健康的だよ」


 いつも不満そうな顔って何だ?


「私っていつも不満そうか?」

「うん。でもそれは鏡華自身は悪くないの。だからたちが悪い」

「へぇ……まるで私の不満の原因を知っているみたいな言い方だな」

「知ってるよ。原因は──」


 月見が真剣な顔で喋っていると不意に晴恋の足音が聞こえた。晴恋もサンダルだ。


「晴恋も来たみたいだ」

「本当にあなたの耳はどんな構造してるの?」


 呆れた顔で私の顔を見る月見が私の頭を触る。


「なんだ?!」


 私は思わず月見の手を掴み、頭から退ける。


「鏡華こそ何を怒ってるの? そんな顔で晴恋に会うつもりなの?」


 私は怒ってたのか……。そんな自覚はなかったんだが。


「鏡華はかわいい女の子だよ。勝ち気な目も、綺麗な髪も、魅力的な笑顔もかわいい……独り占めしたいくらいに」


 月見はなんで少女マンガのイケメンみたいなセリフを吐いてるのだろう。

 とりあえずお礼を言おう。


「ありがとう」


 月見は優しく目を細めて言う。


「お礼を言われるような事は言ってないよ。だらしない笑顔……」


 そんなにだらしないのか?!

 姫都に言われた時も嬉しかったが、それとはまた違う感覚だ。2人ともストレートな言葉なのに。


「ちょっと行って来る」


 私は照れを隠すために晴恋を出迎えに行った。

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