9.魔術講座のお時間です
ノーブル先生はニッカ先生の代わり。
ノーブルはルカたちのクラスの副担任。
ニッカ先生がずっと寝ているので代わりに教鞭を執っていた。何でかは知らないが、ナタリー校長はそんな彼女を雇っている。
「はい。ここまでは解りましたか?」
ノーブルは丁寧に聞いた。
すると解っている生徒とはんばあまり解っていない生徒に分かれていた。
「えーっと、じゃあデューイ君。魔術ってなにか解りましたか?」
「えーっと、何となく?」
「そうですよね。それじゃあ、シルヴィアさんは如何かしら?」
ノーブルはシルヴィアに話を振った。
すると銀髪で少し赤みがかったシルビアのような目の色した少女は、指名されると丁寧に言葉を乗せる。
「はい先生。私も少し解らないところもありますが、何となくですけどここまでの話は理解できたと思います」
「そう。じゃあ質問するわね」
「へっ、質問!?」
流石にそこまでは想定していなかった。
シルヴィアは突然のことで反応できない。
「魔術ってなにかしら?」
「魔術ですか? えーっと、千年ほど前に存在していたとされる原点であり崇高な存在、魔法を起源とするより簡略化された扱いすいものです」
それを聞いたルカは感心した。
しかしそれではまだ足りない。質問の内容は、魔術とはないか。つまり、魔法との区別は何かになる。
「惜しい。でもいいわよ、よく勉強しているわね」
「あ、ありがとうございます」
シルヴィアは褒められて嬉しかった。
しかしノーブルは容赦なく付け足しを行う。
「さっき惜しいって言ったのは皆んな知らないかもしれないけれど、魔術は魔法の劣化品。扱いやすい分、魔力の質や操作性なんかがかなり落ちてしまっていてもし今本物の魔法にでも出くわしてしまったら、相手にもよるけど勝ち目は薄いですね」
「そんなに圧倒的なんですか?」
「ツェンファさんいい質問です。そうですね。あくまでも使い手にもよりますが、仮に二つ名持ちでしたら現代の二つ名持ちでも敵わないかもしれませんね」
ノーブルはそう答えた。
空気が静まり返る。しかし現代でそんなことはほとんどありえない。だって魔法はとっくの昔に無くなったからだ。
「そもそも如何して魔法は無くなったんですか?」
「それはですね、魔力の質の問題です。教科書で後々習いますが、かつて大きな大戦があってたくさんの血が流れました。そんな時代で生きていくのはより強い力を持たなければ弱者は生きていけない。弱肉強食ということです」
「うわぁ」
教室が静かになる。
しかしすぐに空気は一変。
「ですが安心してください。近年ではそのようなことは稀で、非戦闘的な活動をする魔術師も多くますから」
「私達はそれを目指すべきなんですね」
「そうです。しかし魔術の基礎は知っていた方が何かと便利ですので、少し後になりますが……少しやっておきますか」
ノーブルは考える素振りを見せた。
すると黒板に何か書き始める。この時代の文字。内容は魔術に関するもの。
「これが読めますか?」
ノーブルは生徒全員の顔を見てから尋ねた。
しかし半分はポカンとしている。当然だ。繰り上がりで学年が上がった生徒もいる上に、魔術に関する授業は入学してからが定説だ。つまり本気でやっていないと知らないのも当然であった。
それがこのクラス、魔術学園第三学年二組だった。
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