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1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について  作者: 水定ゆう
魔術運動会編1

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87.シルヴィアの風②

マジのネタ切れ感を感じる適当な魔術名。

あまり考えてはダメ。

 シルヴィアの愚痴は見事に敵の戦意を削った。

 しかしこれは作戦ではない。

 無論、シルヴィアの感情がまさに風に煽られて、爆発したみたいなものだ。


「もう聞き飽きた。いい加減黙れ!」

「うるさいわ」

「い、嫌やめてください。ほんとやめてください!」


 敵が懇願してきた。

 ここでようやく我に返る。

 敵のはずのボーフィーの目が据わり、涙を流している。なんだか辛くなったのか、そこに戦意はほとんどなかった。


「あの独特の語尾は如何したのよ!」

「そんなもの今は如何だっていい!」

「如何だってって……自分の個性をそう簡単に捨てないでよね!」

「そっちも他人だからって、愚痴を吐くなってぇの!」


 互いの風がぶつかり合った。

 片方は暴風。片や未だに未熟なそよ風……今はまだ未熟な、だけどいつかは疾風にでもなり得る可能性がある、威力を持つ。


 バフォーン! ——


 変な効果音が上がった。

 風同士が激突した。

 しかし何故かシルヴィアの方が劣勢だった。


「くっ!」

「如何したんだぁ? 全然、大したことがないなぁ?」

「いつの間にか語尾が戻ってる! 余裕みたいに思わないで!」


 そう言って、手を離すと、もう一度ホムライアを放とうとした。

 しかし今度は見破られ、妨害されるかと思いきや、なんと魔術は発動していた。

 しかしその動きは極端におかしい。


「ちょっと待ちなさいよ! 私の焔が、勝手に動いてる」

「そんなもの、風で巻き取ればいいんだぁ。最初っからこうすればよかったんだぁ」

「いや、それは駄目よ」

「なんでなぁ……うわぁ!」


 爆発が起こった。

 暴風によって巻き取られた焔は、消えるどころか、暴風に力を与えた。

 熱による気温の変化で、気圧を変えたのではない。もっと単純に、今はまだ使えないシルヴィアのやりたいことを間接的にやってくれた。


 ボファーン! ——


 独特な効果音再び。

 否、そういうレベルの騒ぎではなかった。

 いち早く暴風の外に出ていたシルヴィアと違い、ボーフィーは自分の暴風を過信していた。


「う、うわぁ!」

「だから言ったでしょ。ちゃんと風の性質は覚えておきなさいって」

「あ、熱い。熱い熱い!」


 ボーフィーは焼けるような思いをした。

 急いで暴風を自分の意思で解くと、逃げ出し屋根の上で四つん這いになる。

 全身から汗が噴き出していて、乾いた眼をしていた。


「ぜぇぜぇぜぇぜぇはぁはぁはぁはぁ……」


 絶え間ない汗の量だった。

 ボーフィーには何が起きたのかわからない。

 しかしシルヴィアはわかっていたような感じだ。


(まさか爆風が起きたなんて。しかもそれが高温を保ったまま、サウナ状態になって、熱で殺すのではなく、相手を熱でいぶすなんて。怖いことが起きちゃったわね)


 シルヴィアにはわかっていた。

 気温を上げるではなく風は空気の塊だ。だったらその中には何がある。もちろん、酸素もある。酸素が燃えるとどうなる、とんでもない熱量を持つ。

 しかもそれが内包され、暴風の中に閉じ込められていたら、話は変わってくる。


(私がやろうとしていたのと、ちょっぴり違うけど、もしかしてこれで足止めはできたのかな?)


 ほっと胸を撫で下ろしたシルヴィア。

 確かに酷いことをした気にはなったけどと思いながら、ボーフィーに近づこうとした。

 その時、ボーフィーの体が動いた。


 ギギギギギィ! ——


 骨が軋むような音だった。

 するとボーフィーは、顔を上げ首をぐるりと向けると、にんまり笑っていた。


「いやぁー、いいねぇ。こうでなくちゃーねえー」

「貴方、これ以上動けるの!」

「大丈夫だぁ。余計なもんは落としたから、こっからは反撃と行かせてもらうぜぇ」


 シルヴィアは悟った。

 強くなっている。それを確信した瞬間、指先から何かが発射された。


「《暴風(テンペスト)弾》!」


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