86.シルヴィアの風①
ここから4話連続このタイトル。
ちゃんとしたガチバトルです。
シルヴィアは暴風を操る男と戦っていた。
彼はそんなシルヴィアに舌なめずりをしており、シルヴィアは顔を顰めて、怪訝そうな表情を浮かべる。
「まさか俺の暴風を止めるなんてな。敬意を表してやるよぉ」
「そういうこと、要らないわ」
「そう言うなよぉ。俺様の名前は、ボーフィー。嬢ちゃんはー?」
「気持ち悪いわね。教えるわけがないでしょ」
「それもそうだなぁー。まあいいけどよー。どうせ、ここで死ぬんだからな」
「死ぬ? それは嫌よ」
「そう言っているのも、今の内だなぁー。巻き起これ、俺の暴風!」
ボーフィーは、両手を天にかざした。
すると瞬く間に、無風だったはずが風が巻き起こり、シルヴィアの周りを取り囲んだ。
まるで逃がさないようにしているみたいで、渦巻いている。
「この風、これが暴風!」
「俺様の暴風の中で踊りなぁ!」
「そうはさせないわ。もう一度散りなさい!」
そう言いながら、再び風を散らそうとする。
しかしできなかった。
あまりにも強大すぎて、魔力を解くことができなかったんだ。
「嘘でしょ! こんなに強い風なんて!」
「嬢ちゃんも、風の魔術を使うなら覚えておくといいぜ。風はな、運ぶものじゃない。作り出すもんなんだよなぁ!」
どんどん強さを増していく。
このままだと本気で危ない。
それを悟ったシルヴィアは、まだ完全に暴風圏ができる前に、抜けることを思いつく。
そうなると、やることは一つしかない。
「主を迎えるは火の窓。我が手に焔の糧—《ホムライア》!」
この魔術は少し特殊だった。
ルカの教わった魔術で、釈然としないけど、自分では到底計り知れない高みにいると感じていた。
そんな彼女から教わったシルヴィアの弱点を補うために、東洋系の魔術を応用した形を教わったんだ。
「そりゃぁ!」
ボフッ! ——
風の幕に穴が空く。
そこからシルヴィアは—で逃げ切ると、暴風圏はたちまち崩壊した。
理由は至ってシンプル。風は空気の動きだからだ。
「な、何がどうなっているんだぁ!」
「簡単な話よ。風は空気なんだもん、暖めたら気温に差が生まれるでしょ?」
「気温だと? それに何の意味があるんだぁ!」
「えっ!? 風を操る魔術師なら、その原理ぐらい知っていないと駄目でしょ。貴方、一から魔術を磨き直した方がいいわよ?」
シルヴィアはでたらめな挑発をしてみた。
これぐらいなら、ただ煽っているだけで、笑って済ませられるのが、関の山かと思いきや、まさかまさかの敵は乗ってきた。
いや、普通に怒っていた。
「なんだぁ! 先生ぶりやがって、俺はそう言うのが一番嫌いなんだ」
「そう? でも勉強は少なくてもしておいたら、自分のためになると思うけどね。私は、せめてせめて授業もろくに聞いていない子には、流石に負けてくないけどね。そう、負けたくないのよ!」
「なんでお前がキレてんだぁよ!」
「いいでしょ。少し黙ってて。大体、私がどれだけ努力していると思っているのよ。そもそも風の魔術は師匠に褒めてもらった私の希望なのに、まだまだ師匠に届かない私に腹が立つわ。もっと、この風を極めて好きになって、絶対に師匠に届きたいんだもん、こんなところで負けてられないのよ」
「ごたごた言ってんじゃねえ」
「そっちもごたごた言わないでくれる! 今は私のターンなんだから」
「・・・駄目だこの嬢ちゃん。怒らせたら、駄目系なんだぁな」
ボーフィーは本当はだらだらしていて、しかし自信家の短気。
しかし普段は吐露しないシルヴィアの不満が、風を冒涜したことで弾けてしまい、そのペースを完全に奪われていた。
それからしばらくの間愚痴を聞き続け、彼の頭はこんがらがってしまった。そう、間接的にシルヴィアは相手の戦意をがっつり削っていたのだ
祝日を含んだ連休どう過ごしてますか?
10月には個人的に好きな話を投稿しますよ、多分。




