76.絡まれる少女
煽り回。
今日の予定は普通の学生を装って、怪しい行動をしている人を検挙する、普通の役目。
その結果、ルカは他の生徒とは違って、表立って行動していた。
「とは言っても、この数は。昨日の倍?」
ルカは目を疑った。
あまりの数に圧倒されて、一瞬頭を押さえる。
気持ち悪い数の人が大通りをウヨウヨしている。
これは観光するだけでも、大変だろう。
「とか言ってる場合じゃないか。とりあえず、この大通り進むルートは使えないとして、如何しよう。脇道でも通るか」
ルカはこの町の構造をあらかた知っている。
そのため隣に入って、脇道を進むことにした。
暗い道だ。しかも狭くて、人通りも悪い。
「流石にこの辺は、空いてるかな」
ルカの通った道は、建物の裏手の完全な脇道だった。
しかもその足取りを妨げるものはない。
代わりに定期的に張り出された、蜘蛛の巣やネズミの姿が気になるが、ルカは山育ちなので、虫も小動物も怖くなかった。
「ほいっと」
小さな段差を上る。
タッタッタッ! と、階段を上る。
高低差のある町並みは、面白かった。
「本当、この町は飽きない。まだまだ楽しみが増えるよ」
ルカの足取りは壁に向かっていた。
この壁は実は続いている。そうでもしないと、一方通行の何もない脇道だ。
しかしこれに気づけたら、するりと越えていた。
ルカの足取りは真っ直ぐで、壁をすり抜けた。
すると、変な声が聞こえてきた。嫌な会話だった。
「やめてください。私は戻らないんです。戻りたくないです」
「いいえ戻っていただきます。いや、来ていただきます。貴女には、私と一緒に来てもらわないといけないんです」
「どうしてですか。それに貴方の目、何処となく……何かおかし……」
「ん?」
ルカが壁を越えると、違う道が続いていた。
そこはまだ脇道で、見てはいけないものを見た。いや見過ごせない光景だった。
一人は男。発達した筋肉が肩を盛り上がらせる。
その手で握るのは、少女の細い腕。しかし筋肉がついている。凄いバネと、魔力だ。
「なんだ、お前!」
「いや、そういうのやめてもらえるかな?」
「なんだと? ただの学生風情が、何の権利がある」
「権利はないよ、でも、嫌がっている子を無理矢理連れて行こうとするのは、立派な犯罪じゃないかな?」
ルカはそう言い切った。
男は苛立っているようだが、少女の魔力は震えている。
ルカはそれを受けて、助けを求めていると即座に判断した。
男からは悪意が込み上げていた。
「だったら、とっとと失せろ」
「それはできないかな。こう見えても、警備生だから、やらないとね」
「へぇー。じゃあ私に勝てるのか?」
「さあね。答えは教えない」
ルカはそう言い切り、一瞬にして距離を詰める。
男の手から少女の腕を離させ、少女を引き寄せる。
「えっ!?」
「大丈夫、君?」
「あっ、は、はい。ありがとう、ございます……」
少女の頬が赤らんだ。
ルカは首を傾げて、額に手を当てる。少し熱い? もしかして、熱でもあるのかな。
とか言っている隙に、男は剣を抜き、ルカに振り下ろした。
「そらぁ!」
「よっと」
しかしルカには効かなかった。
軽く身を躱し、男の持つ剣を蹴りで弾く。
「な、なんだと! この私の剣技を」
「剣技ならとっくに見たことあるよ。そんなのは雑魚がやることだって」
「この野郎!」
「野郎はお前」
ルカは襲ってきた男の腹に蹴りを入れた。
それから回し蹴りをしてこめかみにブーツのつま先を叩きつける。
男は倒れ込んだ。しかしルカは倒れ込む男の鳩尾に、右ストレートを叩き込んだ。
「ぐはぁ!」
「そこでおとなしくしててよ」
男は口から泡を吐いた。
目が白くなっている。
ルカはすぐさま縄で縛り上げると、適当に壁際に背中を付けさせ、警備生に知らせることにした。
それからルカは助けた少女を連れて、その場を後にする。
それもそのはず、ルカにはこの少女が少し雰囲気が違っていたからだった。
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