59.未だ敵なしのようです
ルカは強すぎるので、関係なし。
ちなみに設定上、後でも出て来るけど、ルカは時空間魔法と無効化系魔法が得意と言う、魔法使いキラーな魔法使いです。
ルカは男を挑発した。
それは余裕の表れだ。男には、その余裕が何処から来るのかわかっていない。
並々ならぬ余裕の表れ。強者の風格。そのどちらも、ルカをより強く捉えさせていた。
「なんだ、この余裕は。俺を舐めているな」
「舐めてはないよ。だけど、まともに戦っていないから、今の実力を計っておきたいだけだよ」
「なんだと?」
男にはルカの思考がわからなかった。
ルカは千年前の魔法使い。つまり、ルカがこの世界のこの時代の魔術師たちの実力を、自分の手では掴めていない。だからこそ、ルカは自分でその実力を確かめてみようと、思ったんだ。
その結果、ルカからは溢れ出る強者感が並々ならぬものとなった。
「その口、黙らせてやる。《サンドブラスト》!」
「やってみてよ。《アンチスペル》」
男は、砂を束ねて、一気に襲ってきた。
砂は分厚く、ルカを真っ直ぐで、強烈な一撃が襲う。しかしルカには、効かなかった。何故ならルカは《サンドブラスト》を、《アンチスペル》で真っ向から叩き潰していた。
「《アンチスペル》だと。実力がものをいうその魔術で、この俺の魔術を防いだ!」
「うん。これが一番効率がいいし、魔術師相手なら簡単に無力化できるからね」
怒っている中でも、冷静さは欠かさない。
ルカは心情を胸に、この魔術を選択した。殺そうと思えば、やすやす殺せる。なんなら、同じ魔術で真っ向から叩き崩すことだって可能だ。それは間違いない。
しかしルカにとって、それはあまりに酷だった。
怒っているといっても、殺す気はない。殺すのは……
「その心、脆くないでよね」
壊すのは、相手の心の内側に潜む野望と思考。それから敵対しようとする心そのものだけでいい。
抜け殻になられても困るが、最悪そうしよう。
ルカは時として非常にもなれる。命は取らないが心は殺す。廃人になっても、敵対は二度としないだろうから、効率がいいんだ。本当にいいのかな?
ルカの考えをきっとナタリーは甘いと思う。だけど本質は自分よりも恐ろしいもの。
それがわかっていながら、ナタリーはルカに心酔していた。そんな気さえ感じられたが、それもルカの心の本質が招いたものだった。
「嘘だろ。だとしたら、これでも食らえ。主を迎えるは土の扉。愚鈍となりて、砂塵を繋げ—《サンド・リベル・チェーン》!」
砂がうねりを上げて、路地の地面や壁を叩きつけた。
砂が二本に分かれて、束なった。
それからルカを狙って襲い来るが、
「面白い魔術だね。だったら少し見せてあげるよ。《クリアシールド》」
ルカは魔術をではないものを使った。
これは魔法だ。しかも、かなり効果は高く視認性は低い。だからこそ、使い勝手がよかった。
「何もしない気か。拍子抜けだな!」
「それは如何かな?」
ルカに襲う砂の束。二本の砂がルカを捉えるが、その瞬間、ルカの目の前で砂が弾けた。
ドカァァァァァン! ズサァァァァァ! ——
砂が解けた。解けるはおかしいのかな?
ルカを狙って真っ直ぐ飛んできたはずだが、砂はルカには届かず、攻撃は不発に終わった。
「な、なんだ! まさか、また《アンチスペル》なのか」
「それは違うよ。当たらなかっただけ」
「当たらない? まさか防御魔術!」
「ちょっと違うかな。これは魔法。《クリアシールド》だよ」
ルカはニヤッと笑みを浮かべる。
男は絶句して、目を丸くした。
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