54.練習風景②
必死に書き直しています。
まさか全部のデータが消えるなんて。
そう言うことがあった後だ。
ルカの異常さが、より一層強まったのだが、ルカは異常なのはすでにわかりきっていることだったので、誰も言わなかった。
それこそ、口出しをすることが面倒だった。
「もうルカは、強すぎるわよ」
「そうかな? 私なんてまだまだだよ」
「いやいやー。謙遜しなさんなってー」
「ライ、なんだか呆れてない? 適当になってるよ?」
「うん。もう飽きてる。だって、わかりきってることだもんねー」
ライラックは平常運転で、ルカとシルヴィアの心をぐさりと刺した。
だけど悪びれもしない。それこそ、その飽きこそがライラックの心象な気がしたからだ。
「まあいいわ。それより、他の皆んなところに行きましょう」
「まさかこれだけじゃないの?」
「もう、当り前よ。それじゃあ行くわよ、ちょっと付いて来て」
シルヴィアはまるで先生のようで、ルカ達を案内する。
学校内を全て把握しているようで、ルカ達を案内したのは、高台にある魔術学校のさらに高い位置。そこにあったのは、大理石で囲まれたグラウンドだった。
「ここは?」
「ふふん。この場所はね、魔法使いの夢を体感できる場所なのよ」
二人は腰に手を当て、悠然としているシルヴィアに首を傾げる。
三人は揃って建物の中に入ると、そこに見えたのは、空を優雅に飛び交う姿だった。それに箒にも乗っている。
「これはなに?」
「エアロスピードって競技よ。学校側が特別に用意してくれた風系統の魔術のかかった箒に乗って、輪っかを速く潜ってゴールを目指すの。魔術運動会、二番目の目玉競技よ」
「へー」
「ちょっと、感想薄いわよ」
「いやだって、空飛ぶんでしょ? そんなに珍しいことかな」
「なに言ってるのかしら。本当に何もわからないのね」
そう言うシルヴィアは真顔だった。
頭を押さえるでもなく、瞬きをするでもなく、ルカの顔を見ながらただただ真顔。呆れを通り越して、考えるのをやめた惨い目だった。しかし、それ以外に何とも思わないのも、事実で、例えそれがシルヴィアでなくても、こんなルカの表情を見れば、誰もが無視するだろう。
なにせ、
「空を飛ぶのは珍しいのはわかるけど、飛べる人はいるでしょ」
「それはそうよ。でも限られた人だけ。この大空を自由に飛び回るのはとっても大変で、体幹が必要なのよ。ほとんどの人はできなくて、だから憧れるんじゃない」
「ふーん。そっか」
ルカは冷めていた。だって彼女は飛べるから。
ルカの頭では、確かに空を飛ぶ魔法は昔から難しいと言われていて、飛べる人間はかなり少ない。ナタリーでも無理なことだったけど、私はできたんだよなー。と調子乗った発言とでも取られることを考える。
しかし嫌われると思い、口には出さない。
だってこの魔法の原型、それこそ完璧な飛行魔法|を作ったのは……
「ねえねえ。あの箒、如何してドーム内を出ないの?」
「決まってるじゃない。天井には魔術で結界が貼ってあって空には出られないのよ。それにあんな高いところに風の魔術を使って飛んだことない子がいたら、きっと酸欠で倒れちゃうわ」
「なるほどねー」
「シルヴィ。今の言い方、その、空を飛んだことがあるみたいに聞こえるけど?」
「それは……」
「なにって、シルヴィは空飛べるじゃんかー。低いけど」
「ライ!」
まさかの発言。ルカはそれこそ、驚いていた。
ライラックが言うまでもなく、二人の実力はルカは知っている。だから空を飛ぶ可能性があるとは思っていたけど、まさか本当に飛ぶなんて。でも、どんな方法で?
「シルヴィ。本当に飛べるの?」
「飛べるって言っても、風を起こして推進力に変えて、少しだけ移動するだけよ」
「なるほどね。《ジェット》と同じ原理で、《ウィンドスラスト》みたいなことかな?」
「あ、当たってる。でもよくわかったわね」
「何となくね。でもそれを聞いて何となくわかったよ」
「なにが?」
「ここにいる三人が、競技に参加できない理由。私もシルヴィもライも、皆んなズルみたいな、反則技を持ってるからかな」
何でもできて最強なルカ。得意の風の魔術で、空を駆るシルヴィ。切っても切れない糸で巧みに動けるライ。この三人は、三年年二組でも特に異色だった
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