330.中庭で遊ぶ子供達
元気な子供達って、周りにも元気を与えるってスピリチュアル的には思います。
実際、如何なんでしょうか?
ジルアと子供達の後に続きまずは中庭に行ってみる。
広くて大きな孤児院の中を歩いていると、小さい子達の明るい笑い声が聞こえてきた。
「こっちだよ!」
金髪ボブカットの少女が案内する。
ジルアを先導に廊下を曲がると、孤児院の中央に広い中庭があった。
「本当に中庭だ」
「しかも天井が無くて吹き抜けになっているわね。うっ、ちょっと眩しい」
時間帯的に西日に傾き始めた太陽光が直射される。
シルヴィアはしかめっ面をして顔を覆う。
しかし視線の先を窺うと、子供達が楽しそうに走り回っていた。
「す、凄い体力よね」
「シルヴィ、今からそれを言ってたら歳を取ってからが大変だよ?」
「分かっているわよ。それに私だって鍛えているんだから!」
「それは知ってるけど……みんな可愛いねー」
ライラックは遠い目をしつつ感想を言った。
確かに元気に走り回る少年とも少女とも形容しがたい子供達がとても愛おしく思えて仕方ない。
「皆さん、戻ってきましたよぉ!」
ジルアが口元に手を当て、声を反響させる。
すると一斉に子供達の視線が注がれて、ジルアの下に駆け寄った。
「「「ジルアお姉ちゃん!」」」
素早く駆け寄ってくる。ジルアはすぐさま団子になってしまい、「皆さん落ち着いてください」とはにかみ笑顔を浮かべる。
子供達の熱気が全身を包み込んではいるものの、子供特有の温かい魔力を受けて心も温もりを得る。
「ジルアお姉ちゃん、またゲインを捜してたの?」
「はい。ゲイン君はいつもいなくなってしまいますから」
「もう放っておいたらいいのに」
「そうはいきませんよ。皆さんもちゃんと仲良くしてくださいね。私、喧嘩なんてして欲しくありませんよ」
「「「はーい!」」」
子供達とフラットな関係で居られるジルアはにこにこ笑顔でお願いをした。
子供達もジルアの言うことには素直で、ビシッと手を挙げていた。
「お帰りなさい、ジルアさん」
すると急に野太い声が聞こえた。
ジルアの視線が書面へと注がれ、ルカ達も同じように視線を引っ張られると、そこに居たのは可愛い薄ピンク色のエプロン着た男性いた。
孤児院には似つかわしくない程物調面で、目元が鋭い。
おまけに二の腕や太腿に分厚い筋肉の鎧を纏っていた。
「な、何この人」
「孤児院の職員さんなのかな?」
「疑わなくても良いよ。悪い魔力を感じないからね」
ルカは敵意を全く感じないので警戒していない。
おまけに強い魔力の波動ではあるので、相当強い魔術師だと推察する。
「ゴライアスさん。子供達の面倒、お疲れ様でした」
「いえ。これも仕事ですから」
「ふふっ。そう言ってちゃんと面倒を見てくれていたんですよね。子供達にも人気みたいです」
子供達はゴライアスの下に駆け寄る。
服の袖を引っ張ると「ゴライアス先生、遊んで!」とねだられている。
「分かりました。ですが少し待ってください」
ゴライアスは嫌う様子も見せず、淡々とした口調で返した。
子供達は嬉しそうに「やったー!」と喜ぶと、「ところで……」と言いながらゴライアスがルカ達を凝視する。
「そちらの方々は?」
「ゴライアスさん、こちらは私を助けてくださったアルカード魔術学校の学生さんです」
「アルカード魔術学校……そうですか。それではそちらの方々は全員魔術師の卵……そうですか」
明らかに表情を訝しめている。ルカ達はファーストコンタクト最悪だと感じるものの、ダリアが率先して前に出る。
「初めましてゴライアスさん。私はダリアと言います。本日はジルアさんにお呼ばれしてこちらの孤児院の方に足を運ばせていただきました。素敵な孤児院ですね。職員の皆さんも子供達もとっても明るい魔力を持っていますね」
「魔力……ジルアと同じ魔眼持ち!?」
「はい。だから私達のことを警戒……あれ?」
ダリアは警戒を解いて貰おうと積極的に声を張った。
しかしゴライアスはより一層表情を訝しめ眉根を寄せる。
魔眼持ちが引っかかるのか、ジルアに一瞬視線を配ると、「そうか」と覇気のない淡々とした声を漏らした。
「俺はゴライアス。こちらの孤児院で職員として雇われている者です」
「ゴライアスさん。えっと、子供達に懐かれているんですね」
「はい。この孤児院に来て長いですから。最初はこの見た目のせいで好かれてはもらえませんでしたが、月日がそれを変えてくれました」
ゴライアスの言葉には芯があった。
子供達がギュッとするほど懐かれていて、怖がることが億劫になる。
「何だか優しそうな人みたいね。少し堅物感あるけど……」
「シルヴィアさん、人のことを見た目だけで判断してはいけませんよ」
「それは分かっているけど……今さっき、私達に向けた視線、絶対敵意よ。そうじゃなくても警戒されたわ」
「だろうね。だけど何もしてこないから見計らっているんじゃないかな?」
ルカにはゴライアスの視線がそう感じられた。
敵意というものはほとんどなく、ルカ達のことを観察している。
人を怪しむところから始め、真に信頼しても良い相手なのか少ない情報から導き出すなんて、流石に〈ミスト〉クラスの魔術師と見て遜色はなかった。レベルとしても一流だ。
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