32.ロッセルを暴く
悪人はちゃんと悪人。
ロッセル・デイモンドは罪を犯している。
しかし未だにその姿勢を崩さず、高笑いを繰り返していた。
「この私が一体何をしたって言うのか。教えてもらおうじゃありませんか」
「いいですよ。貴方が十年前にこの学校に赴任して何をしていたのか。貴方はその権威を利用してこの学校である実験をしようとしていた。そうでしょう」
「ほほう。実に興味深い。それがこの祭壇と関係があるとでも?」
「そうです。貴方が十年前に殺した女生徒。ここに刻まれた赤いペンキは彼女の血、そのものですね」
ノーブルの言ったことは衝撃の事実だった。
柱の裏に隠れるルカ達だけじゃない。
目の前で対峙するロッセルでさえ、こめかみがピクリとした。
「私が殺した? 何か証拠でも?」
「彼女の名前はアンジー・スクワーロ。この学校の特待生であり推薦された身寄りのない少女です。彼女はとても優秀で、同級生のからかいでさえ笑ってごまかせるほど。ですがそんな優秀すぎる彼女を貴方は利用した。当時貴方が、彼女のクラスの担任でよく図書室に本の整理と称し、たびたび呼び出していた。ある魔導書を探してね」
ルカはこっそり聞いてピンときた。
あの時落ちた魔導書はそう言うことだったんだ。
「なるほど。確かにアンジー・スクワーロは私のクラスの生徒でしたよ。優秀なね」
「そう。貴方はそれに付け込んだ。優秀故に彼女は狙われ、そして儚くその生涯を下ろした。ですがそれだけではないはずです。彼女が身寄りのない生徒だということを貴方は利用した。身寄りがなければ仮に行方不明になろうが、関係なく事件はもみ消せる。そう思ったのでしょう。ついでに貴方が犯人の証拠ですが、この場所が何よりの証拠です」
「ほほう?」
「私はこの祭壇が怪しいと睨んでいます。貴方の指紋お照合すれば、きっとすぐに判るはずですよ」
ノーブルの最後の一太刀。
ロッセルは何も言えなくなった。
自供するのも時間の問題で、ロッセルは背後を認めたのか、ボソッと口にする。
「ちなみに如何して彼女のことを?」
「アンジー・スクワーロ。貴方は彼女が身寄りのないただの少女と勘違いしたのでしょう。ですがそれは違います。貴方はスクワーロに名前に聞き覚えは……ありませんね。彼女は私の同期で、エシュナ・スクワーロの妹であり、彼女はその身分故このことを長らく秘匿にしてきましたが、私に教えてくれたんです。ですから私は暴こうと思った。貴方を彼女に代わり殺すためにね」
ノーブルはそう言いながら、近づこうとする。
しかしロッセルは敗北を認めたのかおとなしくなる。
何かがっかりするような不思議な気分に陥るが、ノーブルが自らの足を踏み込んだ矢先、魔術陣に刻まれた魔術が発動した。
ブゥォォォォォォォォォォ!——
炎が噴き上がる。
まるで壁だ。しかしノーブルは一瞬だけ顔を覆い、気にせず近づいた。
「《アクアコート》!」
ノーブルの体に水飛沫が付着する。
まるで雨に打たれたみたいになったけど、そのまま炎を突っ切った。
しかし火傷すらせずに、ノーブルはロッセルに拳を繰り出した。
「その拳はマズいですね」
ロッセルは瞬時に躱した。
ノーブルの繰り出す渾身のパンチは空を切り、ロッセルは左側面からチョップを放つ。
けれどノーブルも戦闘慣れしているからか、軽くいなして手首を捻り上げる。
「その程度ですか?」
「はぁっ! こんなところで俺が捕まってたまるかよ!」
ロッセルは完全に本気モードになっていた。
さっきまでの嫌味な顔が余計に醜く歪んで、本性を露わにする。
けれどそんなロッセルに対峙してもなおいつもと変わらない素振りを見せるノーブルの方に優位があった。
だけどその拳にはさっきよりも力がこもっていて、ロッセルも諦めが悪くパンチを繰り出した。
「食らえ、《ブラド・スマッシュ》!」
「その程度ですね。では食らいなさい」
ロッセルの魔術を纏った拳は、ノーブルによってぬるっと避けられてしまい、ノーブルの拳は逆にロッセルの頬をぶち抜いた。
捻りながら繰り出したコークスクリューはそのまま回転を促して、ロッセルを壁まで叩きつけるのだ。
「如何しましたか? その程度ですか?」
「なんなんだ、お前は」
「私はノーブル・V・シュルベルです。貴方を排除します」
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