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1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について  作者: 水定ゆう
秩序編

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24.マリオネットの噂

物語の肝です。

この章の根幹部分の予定。

すっかり夜も遅くなった。

 ルカたちは今日のところは作業を終え、また明日という形になり学校の校舎を出たところだった。


「ふぁー、もうクタクタだよ」

「だらしないわね。これぐらいで音を上げない」

「だってー」


 ライラックは依然として変わらなかった。

 でも私は楽しかった。あんな危険な魔導書まで管理しているなんてと思うと、怖くなる。しかも原書だぞ。ナタリーの考えが愚かではないことを祈るルカだった。

 しかしライラックの愚痴はその間にも止まらない。

 自然と耳を傾けるルカ。


「このバイト割に合わないよー」

「そんなことないと思うけど。私は楽しかったし」

「ルカやシルヴィアは魔術に本気かもだけどさー、私は別に何だよねー」

「そうなんだ」


 じゃあ何で通っているの。とか野暮なことは聞く気はない。

 しかしそんなルカとライラックのやり取りを完全に無視して自分の世界を構築し始めたシルヴィアが何か思い出したみたいに、口元に人差し指を当てる。


「そう言えば確か……」

「シルヴィ?」


 ルカは顔を寄せて尋ねた。

 するとシルヴィアの顔が若干赤らむと、少し距離を取られシルヴィアは思ったことを話し出した。


「えーっと、ライには前に話したかしら?」

「何の話―?」

「何の話って、この学校の七不思議。ほら有名なやつ」

「有名なやつ?」


 しかしライラックは首を傾げる。

 あぁ駄目だ。分かってないよ。噛み合ってないよ。


「もう! なんで覚えてないのよ」

「あははごめんごめん。で、どんな噂?」

「教えてあげない」

「いや、私は知らないから困るんだけど」

「そうだよー、ルカが困っちゃうよー」

「貴女に言われてら癪でしょ。もう! じゃあ一つ。アルカード魔術学校が七不思議が一つ、第七の噂。歩き回るマリオネット」

「「マリオネット?」」


 ルカとライは首を傾げる。

 シルヴィアは誇った顔で、流暢に話し出す。


「そう。この長い歴史のあるアルカード魔術学校で直近でできた噂なのよ」

「それが七不思議?」

「うん。確か十年前だったかしら?」

「なにそれ。めっちゃ最近じゃんかー」

「貴女にはこの間話したでしょ。もう! ライは記憶力悪くないんだから、少しはキャパを使いなさい!」

「はいはーい」


 シルヴィアとライラックのノリツッコみの流れ。

 ルカはほっこりしていた。こんな千年前の戦争で流れた血生臭い血の臭いには絶対に適わない平和な匂い。

 ルカだけじゃない。きっとナタリーもだと、ルカは頭の片隅で考える。


「それでどんな話なの?」

「そうだよー。タイトルだけじゃ、わけわかんない」

「いや、何となく予想はできるけど」


 ルカは表情を歪めた。

 するとシルヴィアは再び流暢になり、人差し指を立てて話し始めた。


 その内容はあまり怖いとは言い難いものだった。

 でも面白みのない内容でもあった。



 昔、とは言ってもざっと数えて十年前の夏ごろ。

 一人の女子生徒が突如として行方不明となった。

 その子はいつも一人で、身寄りもなく学校に入れたのも推薦だった。

 彼女をいじめるような生徒はいなかったが、優秀であったが故、揶揄う生徒はいたらしい。

 そんな時だった。一人遅くまで勉強をしていた彼女は、次の日から突然学校に来なくなったという。

 教師たち一同は生徒たちを疑ったが、家にも帰っていないとのことで、騎士や魔術師の間でも噂は広がり、大規模な捜査にもなったらしいが、見つかることはなかったという。

 それからだ。

 何故か毎年のように身寄りのない生徒や町の子供が必ず一人は行方不明になるという事件が勃発した。一時は学校が疑われたが、証拠はなく事件は解決の糸口を見つけることはできなかった。

 それ以来毎晩のように誰もいないはずの時間に校内を歩く音やすすり泣く女の子の声を聞くという。



 そんな話だった。

 何だろ。噂じゃなくて、それは事件なのではと思ってしまうのは私だけだろうか? ルカは価値観を怪しく思った。


「へぇー、そんな話があるんだね」

「ライには前に話したって言ったでしょ」

「でも常に所見の方がいいんじゃないの?」

「それは場合によるわ」


 シルヴィアとライラックは無駄な言い合いを開始した。

 二人は本当に仲が良い。ルカはやはり朗らかに見られた。

 夜道を歩きながら家路に着くため帰っていると、ルカは目を丸くして、二人を制止した。


「待って二人共」

「如何したのよ、ルカ?」

「何かいるの?」


 二人は気づいていないのか。

 ルカは二人に前方を注力するように指示し、揃って前に視線を移すと、


「「うわぁ!」」


 そこに見えたのは青い光。

 炎のように朧げに映っていたもの。黒い人影。しかしかなり奇怪な動きをしていて、まるで人形のようであった。


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