141.ブルーベンの町並み
モチーフはヨーロッパ。
もちろんワインと言ったら? 知らんけど。
そこにあったのは、美しい石造りの町並みだった。
マギアラとはまた違う味がある。
向こうが世の中の進行で様々な変化を見せてきたものだとするなら、ブルーベンは奥ゆかしさがあった。
和のテイストとはまた違う深み。
積み重ねてきた歴史の重さが伝わってくる。
「この町はマギアラとは違う魅力が詰まっているね」
「わかりますか? 確かに、この町はマギアラの黎明期。その時代には既に存在し、同じ時代を歩んできました。そして今尚、その歴史は積み重ねられている」
「西の大陸でも流石は石造りの町だね。この壁、千年前のものでしょ?」
「はい。当時の優秀な魔法使いが総出となり、一晩のうちに築き上げたそうですよ」
「あはは、それは大概だね」
千年前の魔法使い出身者は今とはベクトルが違う。
今の時代の魔術師には可能性が満ち満ちているが、やはり単純な場和也そこから生まれる経験。殺伐とした匂いに対しての絶対的な気持ちの持ち方は敵わない。
ましてや魔術は魔法の廉価版。
つまるところ、扱いやすくした分だけ出力も精度も下がっている。
いくら練度を上げたとしても、過去の魔法使いの下級にも及ばないのは否めない。
「でも、今の魔術師の方が楽しくていいよね。生き生きとしているから」
「そうですね。それは良いことなのでしょうが、対応が甘いです」
「それは……言えてる」
千年前の魔法使いも万能ではない。
だからと言って油断なんてしない。
この間の運動会のでの出来事はあの後問題視された。
しかし、ナタリーの言葉と女王陛下自らのお声によりお咎め無しとなった。
けれどそんな体たらくを生んだ要因にはナタリーが結界を張り直していた隙をついた際、王国側に潜り込んでいたネズミのせいだった。
「でもナタリーだって疲れているんだ。少しは休んだ方がいいよ」
「そうさせてもらえたらいいのでしょうが……そんなことよりもルカさん。ブル^ベリージャムを買いに行きましょう。いいお店を知っているんです」
話しをすり替えられた。
ルカは首を捻るが、すぐに理解した。これ以上ナタリーは踏み込んでほしくないんだろう。
それを普段からしてくれればもっと楽になるのにと、皮肉を零しかけるルカは胸の奥で黙っておく。
それからナタリーの案内で、2人は行きつけのお店に向かった。
(ナタリーの行きつけでしょ? 絶対に高いよね)
ルカは財布の心配をした。
既にナタリーの「全て持ちます」を忘れているルカだった。
2人して入ったのは意外にもシンプルな佇まいをしたお店だった。
表通りに店を構え、中に入ると結構な人がいた。
どうやらかなりの人気店らしい。
「いらっしゃいませ……ナタリーさん!」
「お久しぶりです、ルルブさん。お元気そうで何よりです」
どうやら知り合いらしい。
軽快に話し出したナタリーを見るに、かなり親交があるのだろう。
ルルブと呼ばれた女性は白いエプロン姿に、コック帽を被っている。
このお店の職人兼接客も兼ねているみたいだ。
「ナタリーさん、今日はどうして?」
「ちょうどワインを見に来たんです。そのついでにこちらに寄らせていただきました」
「ワイン。そう言えばそんな時期でしたね」
いや、もっと秋口のはずだ。
今は夏真っ盛り。ルカは無言で貫いてはいたが、矛盾が気になった。
しかし話しの矛先は今度はルカに向けられる。
「あれ? そっちの子は」
「古くからの知り合いです。そうですよね、ルカさん」
「うん。初めまして、私はトキワ・ルカです」
ルカはぺこりと丁寧にお辞儀をした。
するとルルブも少しだけ疑問を抱きつつも、丁寧に接客してくれた。
このお店は雰囲気が最高に良い上に、品質の良いものが多くある。だから迷ってしまうので、ルカは少し眺めることにした。
少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。
下の方に☆☆☆☆☆があるので、気軽に☆マークをくれると嬉しいです。(面白かったら5つ、面白くなかったら1つと気軽で大丈夫です。☆が多ければ多いほど、個人的には創作意欲が燃えます!)
ブックマークやいいねなども気軽にしていただけると励みになります。
また次のお話も、読んでいただけると嬉しいです。




