101.祝福、喝采
大団円的な話しのラスト。
ダリアは見事に勝ちを得た。
その彼女に対し、一瞬会場は空気だったが、すぐに拳を振り上げ、拍手喝采を送った。
それは、ダリア自身が一番浴びるべきものだった。
「ま、まさかまさかの大逆転。謎の転入生が、一組最強とうたわれていたゴロゴース君を破り、勝利を掴み取りましたぁ! 会場を見てください。歓喜委湧いています。そしてこれで二組の大逆転。今年の優勝は、三年二組だぁ!」
実況も盛り上がっている。
しかしそれに負けず劣らず、二組内も盛り上がっていた。
ダリアが戻ってくると、静寂が一気に興奮に変わり、皆んな一斉にダリアに近づいた。
「み、皆さん……」
困惑して固まってしまうダリア。
何を言われるのか。ここまで何もしていないのに、突然出てきたのに、この歓声。きっと恨まれている。
そう思ったのも、束の間だった。
「凄いな転入生!」
「えっ?」
「そうよ。如何して今まで、学校にいなかったの? それだけの剣技、それに魔術も。私、感動しちゃった」
「相手はあのゴロゴース。そんな相手にまさかの接近戦での勝利。見事だ」
「魔術剣士。始めて見ました」
とんでもないことになった。
ダリアは目を丸くして、この状況を飲み込めていない。
しかし、自分が嫌悪されていないことはわかる。
「皆さん、えーっと」
「ねえ、貴女名前は?」
「は、はい? ダ、ダリアです」
「ダリアちゃん。凄いわね。一組のゴロ君に勝っちゃうなんて」
「……強かったです。あの人。本気だったら、これが戦場だったら、問答無用で殺されていました」
「「「・・・」」」
空気が変わった。
しかし、すぐに戻ってくる。
何故なら、相手が相手だから。誰もダリアの過去を知らないから。
「でも勝ったんでしょ?」
「そうだよー。今更、そんなこと言っても現実は変わらないんだよねー」
聞き馴染んだ声が上がった。
するとそこにいたのは、シルヴィアとライラック。
しかし、服はボロボロで、顔には傷だらけ。完全に、疲れ切って、魔力切れを起こしていた。
「シルヴィア! ライラック!」
「如何したんだよ、その怪我」
「しかも魔力切れを起こしているじゃない」
完全に、シルヴィアとライラックに目が行った。
今にも倒れそうな、シルヴィアとそれから終始余裕そうなライラック。
完全に、シルヴィアはライラックにもたれかかっている。
「もう、シルヴィアは軟弱だなー」
「ライラックがおかしいんでしょ。一体、なんでこんなことに……」
「まあいいじゃんかー。私は強くなれた……気がした?」
「完全に、目が泳いでいるじゃないの!」
シルヴィアとライラックの言い合いが始まった。
本当に仲が良い。
そんな二人の関係は、まさにボケとツッコみだった。
「相性良いね」
「「誰のせいだと思っているの!」」
「ご、ごめん……」
ルカはぽつりと口にした。
しかし、どちらからも怒鳴られてしまった。
居た堪れない。しかし強くはなったと、感じたルカだった。
「な、何だか愉快な方たちですね。部外者の私のこと、あんな風に受け入れてくれて」
「それは違うよダリア。信頼は自分で勝ち取ったもの。それに、もうダリアは部外者ない」
「部外者じゃない?」
「うん。だって、ダリアはこのクラスの仲間じゃないか」
ルカはそれっぽいことを言っていた。
もちろん故意はない。完全に、口から胸の奥から溢れて出てしまったものだ。
それを聞いたダリアは困惑してしまうが、この困惑は違う。
「私が仲間……はい!」
ダリアの声は描き消えてしまった。
しかしルカは聞こえている。それもそのはず、この声は一人にさえ聞こえていればいい。
ダリアの声は、ルカに届いていた。それだけで満足だった。
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