第2章 龍の力
同じ場所に行くと既にゼ―ヴィントがストレッチを行っている。
「おっ、来たか」
こちらを見る前に言い振り返る。
「じゃあ、さっそくやるか。かかってきな」
「おう。」
返事と同時に一直線に走り出すウェイド。様子見に軽くジャブを出した。
「・・・・。あれ」
ジャブのあと、いくつか次の攻撃を考えていたが、一瞬で自分の周りが回転しなにが起きたのか理解できなかった。
「起きろ。まだ終わりじゃねえだろ。」
上を見るとゼ―ヴィントが仁王立ちしている。すぐに、起き上がり距離を取り考える。
(なにが起こった。なにかしたのか?)
何も見えなかったぞ。頭が混乱していると
「来ないなら行くぞ」
ゆっくりと動き出すゼ―ヴィン。
(くそ。時間はくれねえか。もう様子見はいらねえ。)
再び真っすぐ駆け。渾身の後ろ回し蹴りをしようとした。
「あれっ」
当たったと思ったら、急にゼ―ヴィントが消え空振ると腰から地面へと落ちる。
腰をさすりながら起き、探そうとすると後ろから声がする。
「おい。」
振り返ると、腕を組み立ち尽くしていた。
「あのなー、そんなあほみたいな攻撃当たるとでも思ってんのか?」
「おれの決め技だからな」
ゼ―ヴィントは大きく溜息をついて喋り出す。
「確かに、捻り・体重の駆け具合文句なしだ。だがな、そんな獣みたいに突っ込むばっかりじゃあ当たるもんも当たらんわ」
「うるせえなあ。おれはこれでやってきたんだよ」
「はああ。それこそ通用するのは餓鬼の喧嘩ぐらいだ」
「ふっ。知らねえのか、狩りの訓練でも獲物相手にかまして捕えたりしてんだぞ」
「可愛いもんだな。」
「なんだと」
「お前が言ってる狩り訓練のことだがな。ありゃあ、ただの練習だ。獲物も成体じゃなくまだまだ未熟な獲物を選んでんだよ。」
「なに」
「ま、知らないのも無理はないがな。そのためにこの訓練をしてるんだからな。」
「・・・・。じゃあ、あんたはどれくらい強いんだよ?」
「どれくらいか・・。自分で確かめな」
ゼ―ヴィントの体が何かが溢れ出す。いや、見えない何かが彼の中心から発せられた。
しばらくすると、風圧が収まり何とか目を開けた。
「なにが起こったんだよ」
「これが、俺たちの本来の姿だ。どうだ?」
「本来の・・。」
ウェイドにとって初めての経験であった。恐怖でもなんでもなくただ近づけない。そして、体が動かせない。辛うじて声を出すことだけができた。
「ああ。龍の力だ。まあ、まだまだこんなもんじゃねえが、とりあえずお前にはこの力を身に着けさせる。」
力を抑えたのか、ゼ―ヴィントからの圧が先ほどより小さくなった。
「おれに・・できんのか?」
「当たり前だ。と、いうよりできなきゃ王位は返上してもたうしかねえな」
「はははっ」
少し顔を引きりつつも笑うウェイド。
こうして、いずれくるであろうその日に向け準備が始まった。
ゼーヴィント
趣味 冒険、ハーブ集め。
ゼーヴィントの前の王は、特に血の繋がりはない。
第4部隊隊長として活躍。その強さ、人望の厚さで王となった。




