letter
第2話目です。今回は少し長めです。よろしくお願いします。
2フォー・ユー
森川裕 先天性心疾患で14歳で死亡
森川洋子 裕の母
あの子が亡くなってもう1ヶ月が経つ。あの子は14年という短い人生だったけど、1日1日を一生懸命生きていた。あの子と共に生きた毎日だった。だからあの子を失った今、私はどうしていきているのだろう。私の胸にはぽっかり穴が空いたよう。どんなに苦しくても、昔に戻りたくても、時は止まってくれない。それが人生。ここで止まっていたらきっとあの子も悲しむ。
ー遺品整理やってみよう。気持ちをきちんとつけるために。そう思いたって、あの子の部屋に置かれた段ボールの中身を選別していく。思い出がよみがえってくる。限られた生活のなかで、あの子はいつも笑顔だった。いつもあの子の笑顔にたすけられていた。
あれ、これ何だろう
真っ白な封筒。持ってみるとずっしり重い。開けてみると、あの子からの手紙だった。
「お母さん、お父さんへ
この手紙を読んでいるってことは、僕はもう死んだってことだよね。お母さん、いつも僕のお世話してくれてありがとう。お父さん、仕事の合間ぬって会いに来てくれてありがとう。この手紙はね、今までの感謝を伝えるっていうのもあるんだけど、自分の気持ち整理するためにも書いたんだ。拙い話だけど聞いてね。
命について、生きることについて考えてみた。命...それは大切なもの、一つしかないもの。いきるってすごいこと、素晴らしいこと。特に病院ではすごくそう感じる。みんな必死に病と闘っている。そう、必死に、でも、笑顔で。病院生活のなかで「当たり前」の大切さに気づいた。普通の人には分からない幸せ知った。だんだん全てのことがキラキラ輝いて見えてきて、一瞬一瞬が大切に思えた。
小児病棟の子達はすごいんだよ。いつもキラキラした笑顔で明るいの。みんな、親に心配かけないようにひっしに頑張ってる。その姿は、けなげで美しく見えた。
涙...僕のお母さんは、僕の前で決して泣かなかったね。でもね、僕、知ってたよ。僕が寝た後、先生からお話聞いた後、お母さんは静かに泣いていた。僕、怖いんだ。僕がいなくなったら、お母さん、壊れちゃいそうで。だからお父さん、お母さんのことよろしくね、頼んだよ、男同士の約束。
....これは、書こうかどうか迷ったけど、最後だから書くね
本当はね、本当は
もっと生きたかった
もう死ぬんだって、自分の限界知った時、悔しかった。辛い治療耐えたのに、検査頑張ったのに、どうして?何でって?だけどね
この体に生まれてきた悔いはないよ。この体で生きることで、いろんなこと知れた。「生きること」の大切さ。「当たり前」の大切さ。「喜び」「悲しみ」「苦しさ」「幸せ」色々知れた。だから悔いはないよ。このからだで良かった。僕で良かった。
僕の夢 夢なんてなかったけど、作ってみた。それは
「生まれ変わったらまたお母さんに出会うこと」 お母さんは僕の心の支えだった。僕のことを心から愛してくれた。感謝してます。何年後でもいい。出会えるならどんな形でも。だからお母さん、僕が出会うまで生きて。約束だよ
14年間ありがとございました。
裕より」
今まで息子と闘ってきた14年間がブァーッと頭のなかを駆け抜けていって涙が止まらなかった。 カミサマ どうしてあの子を奪ったの?私が身代わりになりたかった。
そう、いつの日かの会話で私が裕に言ったんだ。 「こんな体で生んでごめんね」
って。そしたらあの子
「ううん。色んなことを知れたから良かった」
って、窓から青空見上げながら、そう言ったんだ。その時はあの子もあの子なりに、色々考えているんだろうなーって、深堀りしなかったけど、あの子はこんな風に、考えていたんだ。今頃分かった、あの子の思い、そして夢。何もあの子にできなかった私だけども、あの子の夢は叶えてあげたい。だから私は生き続ける。そう決心しながら私は青空を見上げた。ふわりとカーテンをふくませながら、通り抜けていく風。なぜか「ママ」とよぶあの子の声が聞こえた気がした。私は空に向かって、久しぶりに笑った。
どうだったでしょうか?楽しめたら幸いです。次回もお楽しみに。




