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その少年、苦労人。
電話が繋がらない。
薄っぺらい通信機器からはプルルルル、という無機質なコール音しか聞こえてこない。しまいには、留守番電話サービスにつながってしまったので、俺は通話を終了した。
いつもなら、1コール目で、姉は電話に出る。どうしてそんなに早く出られるのか、と思うほどだ。まあ、きっと、いつ誰から電話がきても出られるように、手元に置くようにしてあるんだろう。
その姉が出ないというのは緊急事態……かと思ったが、寝ているだけかもしれない。
俺は気は進まないが、姉の部屋へ向かった。
何故、気が進まないのか。それは前に1度、部屋に入った時、世界の果てを目にしたのだ。まあ、はっきり言うと、お菓子やらなんやらのごみだらけで、鼻がひん曲がるような異臭を放っていたのだ。多分、アレは虫もわいているに違いない。そんな魔の巣窟を掃除してやった俺を誰か褒めてほしい。そして、その翌日、俺は身体を壊した。それからというもの、姉の部屋には行きたくない。一応、説教をして、ちゃんと片付けるようには、言ったものの、姉がそんなに簡単に変わるとは思えない。
二階に上がって、部屋の扉をノックする。応答なし。入るしかないようだ。
俺は恐る恐る姉の部屋の扉を開けた。




