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虹の彼方へ  作者: みかん
11/11

永遠

「妃杏様???」


ん゛っっっ!!!???


如月の声がしていないか?


涙を拭いて顔を上げて壁のモニターに目を向けた。


やっぱり如月だった。


『何?』


手で顔を覆ったまま問い掛ける。


「マネージャーがモノ凄く取り乱して帰って来ましたが、どうかなさったんですか?」


ひやあああああ!!!!!


モノ凄い勢いの冷や汗。


『ジェルシートちょうだい』


話をはぐらかす。


「かしこまりました。お待ち下さい」


こういう時の必須アイテム、ジェルシート。


注) ジェルシートの本来の用途は体温調整の為であり、泣き腫らした顔を冷やす為のモノでは決してナイ。


「お待たせ致しました」


“かしこまりました”から何秒もしないで如月がシートを持って現れた。


フィルムみたいな薄さなのにヒンヤリ度抜群!


『気持ちイイぃぃぃ』


思わず口に出してしまう程。


しかも肌に触れてからその時の体調に合わせて、ヒンヤリもホンワカも変幻自在なのがイリュージョンなのだ。


「オトコって女性には想像も付かないくらい単純なんですよ?」


アタシの間を、絶妙なタイミングで読み計って如月は話し始めた。


『何よ突然』


横目でチラリと如月に目をやる。


ちょっぴりにらみ気味で。


「もしもワタクシが自分の幼い頃に、自分より幼い誰かに自分の窮地を的確かつ迅速に対応して頂いちゃったら、」


う゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛??????????


眉間にシワ寄りまくりで、なおかつ眉をつり上げる。


如月???


『如月?』


コトバが出ない。


如月がこんな話を話したコトだけで度肝が抜かれるってのに、如月が続けたコトバに更に度肝を抜かれた。


「間違いなく初恋の相手でしょうね」


どっっっっっか------ん。


脳天から火を噴いちゃいそうな勢い。


は・つ・こ・いぃぃぃぃぃ?????


心臓も肝も目ん玉も飛び出るワ。


初恋は成就しないって、良く言わない?


「初恋が実るなんて、理想ですよね」


如月の笑顔がヤケに胸に響く。


初恋‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥


んんんんんんんんんん????


何やら良からぬ予感が。


破裂しそうな心臓とは別に、イヤな胸騒ぎが。


アタシ、顔面蒼白。


アタシも思えば初恋じゃないのよ!!!


劇的に遅いけどね。


「ワタクシは、マネージャーも妃杏様も大好きです。だからお2人には、是非とも幸せになって頂きたいんです」


ぷ--------------------!!


何を言い出すの?


アタシの心臓、限界です。


『神楽は任務でやってるダケでしょ?アタシはあくまでも“次期皇妃王”でしか無いんでしょ??』


またしてもつい声が荒くなる。


「妃杏様?ホントに妃杏様は暴走大好きですね」


はぁ??????????


アタシが認める暴走オトコの如月に言われちゃったよ??


「妃杏様にお仕えしたいの一心で約15年も持ちませんよ?しかもアカデミアに入る時から未だにパーフェクト取り続けるなんて、並大抵の覚悟じゃ出来ないですよ?」


覚悟ぉぉぉぉぉ?


『もともとなんじゃないの?あの神楽のコトだもん、手抜き出来ないダケなんじゃないの?』


疑いの眼差しのアタシ。


「確かにそうかも知れません。だとしたって、次期皇妃王様のマネージャーですよ?全国民からの注目を集めるんですよ?並の根性じゃそんなポジションを入る時からずっと想い続けるなんて出来ませんよ」


如月、アツくなってないか?


『だからウルトラスーパースペシャルハイパー生真面目だから、助けてもらった時の恩義を忘れなかったダケでしょ?如月がアタシに土下座してくれた時言ってたモン、“これでまた1人、妃杏様に忠義を尽くすモノが増えちゃいましたね”って』


アタシは真っ向否定。


アタシの強情さ(?)に呆れ果てて深い大きなため息をつく如月。


でも、・・・ふと不思議に感じる。


この前bossも言ってたよね。


“「女性後継者様の責任者ともなると、全国民が注目致します。並大抵な人材では国民も納得致しません。」”


って。


今、如月も言ったよねぇ、同じコト。


『どうして?』


ちょっと弱気な声。


「はっ?」


『bossも言ってたよ?さっき如月が言ったコト』


さっきとは一変、しおらしい様子のアタシに如月は躊躇うコトなく答えた。


「どちらですか?」


困った顔じゃなく、清々しいばかりの笑顔で。


『“アタシの責任者は全国民からの注目を集める”って話。bossは“並大抵の人材じゃ納得しない”っても言ってたよ?』


ちょっぴり声が震えてる。


アタシの質問、そんなにクダらなかった?


如月、呆れ笑いして。


「ホントに妃杏様はピュアですね。ワタクシまで妃杏様にホレちゃいそうじゃないですか!」


ぎゅいぃぃぃぃぃん!!!!!


胸が捻り潰される想いにさらされる。


「お考えになって見て下さい!独身女性の、しかもイイお年頃の御方のお側に常に男性が居て、身の回りを世話するんですよ?妃杏様じゃなくたってそりゃホレますよ!!」


・・・・・・・・・・・・・・・?


『だって他にも居るでしょ?今だって現に如月だっているし、アタシに限らず付くエージェントは1人じゃないでしょ?』


全く理解に苦しんでいるアタシ。


「まぁそうですが、否が応でも注目が集まるワケですよ。誰よりも常に一緒なんですから、もし仮に後継者様に想う方が現れた時、マネージャーには隠せないわけですから、言わば将来のパートナーを見極める役割も国民的には期待するワケです」


ドキぃぃぃぃぃン!


“将来のパートナー”・・・。


何てまた先の話を。


「すなわち、“並大抵の人材じゃ納得しない”ってのは、そう言うコトでございます」


しゅぅぅぅぅぅ→→→→→(気落ちする音)


神楽の前に誰か他の男性がいて、神楽はその人を見ているしか出来ない・・・。


今のコトで精一杯で、まだまだ先の話過ぎてあまりピンと来ないけど、漠然と想像しちゃう。


アタシの隣に今は知らない誰かがいて、その後ろに毅然と立つ神楽の姿を。


ぐわぁぁぁっと感情が込み上げて来て、涙より先に嗚咽していた。


「妃杏様?妃杏様??」


如月の声がおかしい。


不審そうな声だ。


「また暴走しておられませんか?」


へっ?


アタシの顔をグイッと覗き込む如月。


「今、マネージャーが後ろにいる方を想像なさってませんか?」


ひぇっっっ???


違うの?


ってか何でバレてる!?


ただ頷く。


如月は猛烈に大きなため息をついている。


「難しいなぁホントに!」


なぬっっっっっ?????


アタマを掻いて困り果てている如月。


「妃杏様がお目覚めになるまでの間涙を浮かべたり、さっき取り乱してたのだってホントのコトなんですよ?どうしたらワタクシの言ってるコトを信じて頂けるんですか?本人をココに連れて参りましょうか??今頃憔悴しきってると思われますが」


ぴやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!


んなコト、ムリ無理むりぃ!


激しく音を立ててアタマを左右に振る。


如月、しかめっ面。


出来るワケないじゃん!!


走ったワケでもナイのに、はぁはぁ言っちゃうよ。


すっかり涙は引いていた。


『もうイイよ、ありがとう』


これ以上、如月に何か言われたら確実に心臓に悪いから。


「失礼致します」


呆気なく如月はいなくなった。


ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。


全魂が出ていっちゃうんじゃないかって程のため息をつく。


“憔悴しきってる”???


“取り乱していた”???


そんなワケ無いじゃない!!


あのロボットエージェントがそんなコトで取り乱すだなんて!!!


何言ってんの?如月ってば…。


おかしすぎてへそでお茶を沸かしちゃうワよ。


ったくぅぅぅ。


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。


っ、たくぅぅぅ。


そんなワケ・・・、無いじゃ、、、ナイ。


心は穏やかじゃなかった。


全然落ち着かなくて。


ヘンな汗掻いて。


ダメだ、こんな時は空を眺めよう。


ひゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。


アタシの心の中に、風が吹いている。


「妃杏?イイかなぁ。」


モニターに現れたのはお父様だ。


お父様がいらっしゃるなんて、何だか緊張。


『ハイ』


作り笑いで応える。


アタシは立ち上がり、お父様をお迎えした。


「神楽、妃杏の部屋にコーヒーを2つ」


かっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


あちゃあああ・・・。


今一番聞きたくない名前なのに。


ほんの一瞬取り乱す。


目がつり上がってしまう。


お父様が座ったのを確認してアタシも座る。


「妃杏には想う相手はいるのか?」


いゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!


瞬速で顔が赤くなった。


だけどバレないように、必死に取り繕う。


『おりません』


落ち着けアタシ!!!


しかめっ面で返事。


「そうか。では今まで誰か特定の異性に特別な感情を持ったコトはあるか?」


んんん?


眉、つり上がっちゃうよ??


何なのよ次から次へと。


『おりません』


目に力を入れて、だけどうつ向き加減のアタシ。


「失礼致します」


う゛っっっっっ!!!!!!!!!!


問題の神楽登場。


アタシ、うろたえてる。


神楽の顔は見れないけど、コーヒーの香りはいつもと同じに何とも香しい。


思わず表情が和らぐ。


「ちょうどイイ、神楽も聞いてくれ」


だああああああああああ↑


心臓、体を突き抜けて激しく鼓動を打っている。


ダメだ、苦しい。


コーヒー飲もっ。


お父様はご自分のプラチナムストーンを手にして話し始めた。


「にわかには信用出来ないだろうが、このストーンには現代科学ではとても証明出来ない様々なパワーが隠されておる。妃杏も度々目の当たりにしてきているとは思うが」


黙ってただ頷く。


「しかも持つ者によってもまた、秘められたパワーが異なるコトもこのストーンの特徴だ」


アタシはジッとお父様の目を見て話を聴く。


心の動揺をお父様にも神楽にも見抜かれないように。


「だが、私にも父上にも、歴代の皇王様方にも共通しているコトがあってな。私も初めは信じ難かったが、誰か想う相手が現れたら、その人が運命の、自分にとってのオンリーワンの相手だという証拠のようだ」


何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ?????


このストーンにはそんな力もあるのか?


顔面蒼白その2‥。


さぁぁぁぁぁ。(全身の血の気が引く音再び)


大撃沈だアタシ。


どうしようもない程に。


「明日で妃杏も17歳だ。そろそろ話しておかなければならないと思ってな」


ほぇ?????


眉間にはシワ、でも目尻は下がっているアタシ。


わ・す・れ・て・たぁぁぁ→→→


明日誕生日か、アタシ。


自分の誕生日も忘れるなんてアタシ、どれだけハイパーな毎日だったんだろう。


そっか、アタシ、もう17歳になるのか。


じんわりと感無量。


ふぅぅぅぅぅ。


コーヒーを一口。


落ち着くな。


お父様も神楽も居なくなり、再びアタシは1人になった。


神楽がアタシのオンリーワン・・・・・??


そんなぁぁぁ。


切なすぎる。


ふぅぅぅぅぅ。


さっきからため息ばっかり出ちゃうなぁ…。


はぁぁぁぁぁ。


まただよ。


どうしよう。


「妃杏様ぁぁぁ!!!」


急に騒がしくなった。


再び如月だ。


しかも何だか慌ててるよ?


『何よぉ』


モニターから出るに出れない如月。


モニターに現れても当人の許可が出ないと部屋には入れないから。


「マネージャーが見る影も無くなって帰って来ましたよ!?」


ハンパない程にコーフンしている如月。


『知らないわよ』


アタシ、素っ気なく言い放つ。


「まだ信じて下さらないんですか?」


如月、キレ気味?


「入りますよ!」


うわっっっ!!!強行手段かよ 。


やっと心臓が落ち着いたってのにテンション全開の如月が現れた。


「何も言ってくれないから皇王様にお伺いして参りました」


はぁぁぁ?


『ちょっとぉぉぉ!!!』


堪らず怒鳴る。


「何で仰らなかったんですか?想う人がいるって!!」


如月もキレてる???


『言えるワケ無いじゃないのよ、それが自分のマネージャーだなんて!!』


大声で叫んだ。


「そのせいでマネージャーは“自分は妃杏様にとってただのエージェントでしかない”って思い悩んでるじゃないですか!!!!!」


え゛っっっっっっっっ???


顔を赤くしたまま強張る。


『まさか?』


か細い声で反論。


「皇王様にはいくらなんでもワタクシが言うのは筋違いですので申しませんが、マネージャーどうするんですか!」


かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。


顔面大噴火!


『知らないよ!』


力の限り叫んでアタシはベランダに出た。


『神楽はアタシのコト、後継者としてしか見てないんでしょ?何するにも任務でしか無いんでしょ?』


叫びながら目には涙が溢れそうな程に溜まっている。


「ワタクシは妃杏様の御側に居られさえすれば幸せです」


*♯※△≡@∞◎→↓←↑?????


神楽???


幻聴?


でも怖くて振り向けない。


「いずれは妃杏様に運命の御方が現れて、来るべき時が来ても、一生妃杏様にお仕えさえ出来れば本望だと思っておりました」


間違いない、神楽だ。


『勝手に入って来ないでよ!!』


恥ずかし過ぎて、ごまかしきれなくて裏腹なコトを口にしてる。


今のアタシ、かなりテンパってるよ?


マネージャーは非常時の為にいつでも許可無しで入れちゃうのだ。


「子供の頃に妃杏様に助けて頂いて以来、妃杏様にお仕えしたい一心でここまで参りました。他の誰にも妃杏様に付かれたくないと、一心不乱でパーフェクトをキープして参りました」


そ、ん、な、ぁぁぁぁぁ。


如月のコトバが過る。


“「妃杏様にお仕えしたいの一心で約15年も持ちませんよ?しかもアカデミアに入る時から未だにパーフェクト取り続けるなんて、並大抵の覚悟じゃ出来ないですよ?」”


ってヤツ。


“他の誰にも妃杏様に付かれたくない”


しゅ→→→→→→→→→→(魂が抜ける音)


カラダの力が一気に抜けて、アタシはその場にへたれこんでしまった。


「妃杏様?」


すかさず駆け寄る神楽。


吐きそうなくらいに涙が込み上げてきた。


また嗚咽が先にきて。


神楽は前みたいに優しくじゃなく、力強くアタシを抱き締めた。


思いっきり胸が高鳴る。


「ワタクシの力不足で何度か妃杏様を傷付けてしまった際、胸が引き裂かれそうでした」


“憔悴しきっている”


“取り乱していた”


嘘じゃなかったんだ。


アタシを煽るだけじゃなかったんだ。


【だから言ってるじゃナイですか!】


いつの間にかいなくなった如月の叫び声が聴こえて来そうな気がした。


ゴメンね、如月ぃ。


泣きながら如月に心の中で謝る。


【ワタクシがいなきゃ何も出来ないんですか?】


如月のイヤミも聴こえた気がした。


「妃杏様が御幸せであれば本望でした」


神楽の心音が聴こえそうな程に神楽と密着している。


神楽の声がすぐ耳元で聴こえる。


低く、柔らかな、温かい、優しい声。


泣かずにはいられないよ。


「ですが、先程皇王様からあのようなお話をお伺い致しまして、お恥ずかしながら心中は全く穏やかではありませんでした」


“見る影も無くなって帰って来ました”


如月がコーフンするのも無理ナイか。


神楽の声がダイレクトにアタシのカラダに響く。


神楽の息づかいも伝わってくる。


「エージェントとしての自分の誇りは頑丈だと思っておりましたが、どうやら思い上がりだった様です」


ひぇっっっ???


「“どなたか想う人が現れたら、その方が運命の相手だ”という御言葉で、ワタクシの薄っぺらのエージェントとしての誇りはもろくも木端微塵に砕け散りました」


ちゅどーーーーーーーーーーん↓(アタシの我慢の限界が崩壊する音)


「他の誰かと妃杏様がご一緒になられるかと思ったら、途端に感情がコントロール出来なくなってしまっている自分がおりました」


アタシは無意識に、力一杯神楽を抱き締めた。


『ずっと我慢してた。勝手に“神楽はあくまでも任務でやってるだけだ”って思い込んでいて、如月に何言われても受け付けなかった。バカだよねアタシ』


神楽の力も強くなる。


『だからお父様に話を伺っても、嬉しいじゃなくて悲しかった。だから如月と衝突しちゃって』


神楽はアタシに回していた腕を離し、アタシの目をジッと見て言った。


「上司として、如月の失態を深くお詫び致します。申し訳ありません!!」


唖然。


数秒後、失笑。


神楽は“コレ”が神楽なんだね。


もう、どうしようも無いんだね。


boss、神楽は不器用なんかじゃないよ!?。


“言葉が少ない”とか、“自分を出さないから誤解を招きやすい”ってのは否定出来ないケド。


ウルトラスーパースペシャルハイパーに真面目なダケだよ。


やっと自分を出せたってのに任務のコトには瞬時に上司の顔に戻れる器用な人間だよ?


思いだし笑いしちゃう。


きゃっっっっっっ!!!


また神楽のカラダが、、、密着っ!!


またドキドキしちゃうじゃないのよぉ!


「妃杏様をお慕いはしていても、妃杏様に見合う自信は正直全く無く、ならばエージェントに徹しようと、自分に言い聞かせておりました」


神楽の発する声の振動がストレートにアタシにも伝わってくる。


それがなぜだかとっても心地好い。


『アタシなんか勝手に自分で思い込んで勘違いして神楽を傷付けて。ゴメンナサイ』


神楽の力が再び強くなる。


『ウチらって、似てるのかなぁ』


「かも知れませんね!」


神楽の声が弾んでいるのが分かった。


アレ?


神楽のカラダがまた少し離れた。


きやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!↑↑↑↑↑


神楽の顔が超接近中!!!


コレってもしかしてもしかする?????


アタマの中真っ白。


びゃ----------↓→↑←


心臓、壊れるワ確実に…。


ケド、何とも言えない解放感を今、感じている。


アタシの人生初のfirst kissは、サイコーにhappyでcuteでcoolでunbelievableでExcelentだった。


その瞬間、夜にも関わらず、辺り一面何とも神々しい光が広がり、幻想的でかつ神秘的な空間に変わり、星が降って来ているかのようなキラキラしたモノが降り注いだ。


アタシと神楽を祝福しているかのような錯覚に陥り、ウチらはいつまでもずっとそのままでいた。


恐らく何時間も経ってないだろうに、とてつもなく永い、永遠的な時間を過ごしていた。


『神楽の仕業?』


「とんでもございません。ストーンの力ではないでしょうか?」


キラキラした星みたいなモノはいつまでも降り注いでいた。










翌朝---


「おはようございます妃杏様。お誕生日おめでとうございます」


『おはよう如月。ありがとう』


心無しか、顔は緩み切っている。


如月の顔が気味悪い程ニヤケている。


『いろいろありがとうね、如月。それと、ゴメンね、信じられなくて』


照れながら。


「申したハズです、ワタクシはお2人に幸せになって欲しいダケですと」


如月が猛烈に輝いて見えるよ。


みんなでの朝食。


毎朝の通例。


アタシは当然ご機嫌で顔が緩みっぱなしだけど、 (バレないように必死で取り繕っているけど) 気のせいだろうか、お父様もお母様もお祖父様もお祖母様もお兄様も、周りのエージェント(神楽と如月を除く)も何故かニヤニヤしているように感じて仕方無いんだけど・・・。


まさか如月???


如月をキツくにらむ。


如月は激しく否定。


じゃあ、、、まさか神楽なワケ、、、無いよなぁ。


気のせいかな。


如月も神楽も不審に思いながら何も言えないまま食事は終わった。


「そうだ妃杏、昨夜の話に続きがあるのを忘れていたよ」


ヘッ?????


何だ?いきなり。


意味ありげなビミョーな笑みのお父様。


みんな同じ様な顔してるよ?


アタシは如月や神楽と顔を見合せてきょとんとする。


如月も神楽も首を傾げる。


「オンリーワンの相手と無事結ばれた暁にはプラチナムストーンを通じてプラチナムマウンテンが反応して、2人を祝福してくれるんだ」


ぶぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。


コーヒーが口の中に入っていたアタシはコーヒーを吹き出し、死にそうなくらいに噎せまくった。


まさか昨夜の光と降り注いでいたモノは・・・・・。


神楽も解りやすい動揺を見せている。


純粋な満面の笑顔なのは如月で。


「おめでとう、妃杏」


菩薩のような微笑みはお母様。


周りを見ると、みんながみんな温かい眼差しを向けてくれていた。


恥ずかしくてうつ向かずにはいられないよ。


みんなにバレバレだったの?????


まさか昨夜のコトはお父様の策略!?!?!?


穴があったら(無くても)入りたいよぉぉぉぉぉ!!!


「おめでとうございます妃杏様」


「おめでとう、妃杏」


顔が大噴火。


顔がいくつあっても足りないよ!






かくして、昨夜の出来事は当然全国民も知るトコロとなり、


アタシの誕生日お祝いを兼ねたアタシの正式な全国民へのお披露目のセレモニーは、


自動的に、同時にアタシのパートナーのお披露目も兼ねてしまうコトになるのだった。






「おはようございます妃杏様」


『おはよう神楽!』


あれから何ヵ月経っても神楽は依然として、マネージャーモードの神楽のまま。


「神楽様ぁ!いい加減に妃皇王様らしくお振る舞い下さい!!」


如月に今日も怒られてる神楽。


「オレはまだマネージャーだ。オマエが正式にマネージャーになるまでは妃皇王よりもマネージャーが優先だ!」


神楽はマネージャーをやりつつ妃皇王 (女性後継者のパートナーの役職) となり、如月はアタシと神楽の直々の希望で、研修期間を数ヶ月残してサブマネージャーになった。 (もちろん特例中の大特例!)


って言っても、神楽がいるのを分かってそれでも就きたいなんて奇特な人がいないって説もあるんだけどね。


「そんなんだからマネージャーを誰もやりたがらないんですよ!?」


一番変わったコトと言えば、如月が神楽に平気で楯突くようになったコト。


「オレがいるんだからオマエで十分だ!」


神楽は相変わらず。


何だか漫才見てるみたい。


ホントにこの2人はいいコンビだよ、呆れるくらいにね。


“妃杏様がいてマネージャーがいてワタクシがいる。こんな最高なコト無いですよ。”


今もこういう光景を見る度にあの時の如月のコトバが甦る。


こんなのがこのままずっと続くんだろうな、きっと。


コレにいずれは家族が増え、如月にも運命の女性が現れて。


正直なトコ、未来なんて全く想像つかないよ。


でもきっと、明るい未来が待っているコトは間違いないな。


だって、アタシと神楽と如月がいれば何も怖いモノなんかありゃしないんだから!!!


ストーンと、パパママから貰ったリングと、璃音とお揃いのピアスもずっとずっと永遠に見守ってくれているから----------






fin...





















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