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死後世界触手譚  作者: 青風
魔王
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第37話     暇な視察 と 教習所

俺はボーっとカツが鉄を作ってるのを見る。

カツの所にはカツの弟子になった若いネコが10人程居てカツに言われるまま忙しそうに走り回っている。

鉄鉱石から鉄にするのってこんなに大変なんだな。一旦溶かすとか。

カツが言うには俺らが鉄と思ってるのは鋼だとか。

この作業はその前の銑鉄ってのを作る作業らしい。


(アイ、俺がやったらあの量でどの位の時間が掛かるんだ?)


俺は置いてある採掘してきた鉄鉱石を見てアイに聞く。


『3時間程度です。そしてマスターがやった場合全て鋼になります。』


マジカよ!カツが言うには5日程度掛かるらしいその量が3時間で出来ると聞き驚愕する。

俺って役立たずじゃなくなってきたって事か?


(てかさ、色んな鉱石採って来たけど、全部混ぜたりしてもっと強いのとか出来るの?)

『可能です。』

(マジデか!じゃぁ、ガンダリ・・・)

『不可能です。元の素材の詳細が判りません。それに月の重力下でのみ精製可能でありマスターの体の中でも重力は同じです。』

(言ってみただけです。)


言い切る前に言われたが判っていた事なので素直に引き下がる。

今更だが何故俺がカツの所でボーっとする羽目になったかというと、「そろそろ次の国行きたいね」的な事を言ったら皆に猛反対されたからである。

せめて、町が完成して落ち着くまで待ってくれと言われたのでカツの所に視察がてら見に来たのだ。


飽きてきたのでカツに「そろそろ、いくわ~」と手を上げ次の視察場所に移動する。

次は田畑だ。

カツの工場と公園の間に広がる部分は畑で色々な野菜が育てられている。

最初タマネギを見た時は「ネコがタマネギ食ったら死ぬんじゃね?」と驚いたが、元より死んでいるし今は擬人だから大丈夫なんだとか。

エルフの所から持って帰ってきたサニーレタスやらアスパラガスなんかも植えられている。

それを横目にブドウ園やキウイ園を通り過ぎると公園に到着。

公園の中では子供達が遊んでいてグラニがそれを温かく見守っている。

たまにタテガミを引っ張られたり三つ編みにされたりしているがじっと我慢している。

そして、巨木の根を越えると田んぼが広がる。

米もそうだが最近は小麦育成も進めているようだ。

フワフワのパンが食べたいらしい。

木の根の上からその田園風景を眺め異常が無い事を確認して洞に移動し始める。

戻っている最中にコウと出会った。


「センさん、視察ですか?」

「そそ、コウは?」

「私はカツさんに頼んでおいたフライパンを受け取りに行ってきた所です。」

「なんだ、さっきまでカツの所に居たのに入れ違いになったのか。」

「そうなんですかー」


などと話しながら戻る。

すると後ろから聞き覚えのある声が聞こえてくる。


「にょろにょろーー!」


そして俺の背中に体当たりする。

柔らかい物が背中に当たる。

違和感を感じつつ名前を呼びながら振り返る。


「モモどうし・・・」


一緒に振り返ったコウも俺も声が出なく固まった。

モモか?と思える位大きくなっていたからだ。

実際コウより背が高くなっている。


「どうしたの?」


とモモが俺の腕に抱きつき腕に柔らかい物が押し当てられる。


(うん。Dはあるな。)


そう思った瞬間、「バゴンッ」と後頭部を衝撃が貫く。

痛すぎて声が出ない。

何事かと横を見るとコウがフライパンで俺を殴った事が判った。

見事に凹んでいる。俺の後頭部も凹んでるんじゃないだろうか?

カツよ作ったばかりだがフライパンはもう一枚必要になるだろう。

カツの引きつった笑みが目に浮かぶ。


「何すんだ!」


とコウに言ったら


「今変な事を考えてたような気がしたのでつい・・・」


とコウが恐縮しながら言う。

超能力者ですか?と思ってしまう。

事実無根という訳では無いので俺の方も強くは出れず


「まぁ、超回復あるからいいけど。」


と許す事にした。

モモを俺の腕からひっぺがし家に帰る途中だというので一緒に住宅街へと向う。


「それにしてもモモ、でかくなったなぁ~」

「そうですねー、あんなにちっちゃかったのに・・・」


見た目はもう成人女性と言われても全然違和感が無い位だ。

コウは羨ましそうに見ている。


「そうなのかな?自分じゃわかんないや。けどネコ族は1年で体だけは大きくなるらしいからこれが普通なんじゃないかな?」


それだけデカくなったら自分でも判ると思うのだが。

ついこの間まで80cmほどだったのに今は155cm位なんじゃないだろうか?

ニルルが見たら悔しがるだろうな。

基本小さいドワーフ族はすぐ大きくなるネコ族を羨ましがってる節がある。

ニルルは特に見た目幼女だがスレンダーなモデル志望らしいので背の事には異様に反応する。

「幼女がモデルとか・・・」と言ったらしこたま蹴られたがな。


「ニルルは喋り方まで変わったな。もう立派な大人なんじゃないか?」

「そう?ありがとう!」


とニパッと笑う。

うん、可愛いな。ダンの奴も自慢の娘だろう。

自分にもこんな娘が居たらたぶんデレデレになるだろう。

などと考えていたらモモが片方の手で俺の手を握ってもう片方の手でコウの手を握る。


「えへへっ!」


これにはコウも毒気をぬかれたのかニコニコしている。

俺はというと(もしモモに恋人が出来たのならダンと共にその恋人の家に乗り込もう)と心に誓う。

暫く他愛も無い話を3人でしながら歩く。

住宅街まで戻るとモモとコウと別れムズの家へ向う。

たまにはこう言うのんびりした1日も良いか。

そう思い帰宅する。


数日後、とうとう俺達の家が完成しムズに礼を言って家に戻る。

足場があり今まで中が見えなかったが今はそれが取り外されている。

一言でいうと「武家屋敷」である。

流石に瓦ではないが、門構えや作りがそのままである。

(本物は見たこと無いが爺ちゃんが見てた黄門様に出てくるような家だからそう思った。)

中に入ると日本庭園っぽく?(知らないので)なっていて場違いな様にその中央に洞の木があった。


「そのまま残したのか。」


遠目にも切ってない事は判っていたがまさかそのまま残すとも思ってなかった。


「短いとは言え、この世界でセンさんと暮らした初めての家ですからね」


そう言って縁側にコウが出てきた。

俺もコウの傍の縁側に腰を掛ける。


「それもそうか。確かに短かったが良い思い出だ。」

「そうですねー」

「これからも、もっと楽しくしていかないとな。」

「そうですよ、「俺が守る!(キリッ)」と言ったんですから守ってくださいねー」


まだ覚えていたのか・・・恥ずかしすぎる・・・


(アイ、俺がコウに勝てる確率は?)

『0.3%です。』

(無理すぎる。)


守る事は出来そうに無いなぁ~と思いながらも一応返事をしておく。

そこで家の中にチャイムが響く。


「チャイム?」

「感知魔法陣を家の下に付けていて門の手前に誰かが来ると鳴るようになっています。」


凄い高性能な無駄遣いだな。

コウが玄関へ出迎えに行った。

暫くするとコウが俺を呼ぶ声が聞こえたので俺は外から玄関へ向う。

そこにはカツが居た。


「あんちゃん、直ったぜ!」


とバイクを持って来てくれた。


「マジでか!」

「もうニルルは乗せないでくれよ?あんちゃん。」

「うむ、それはもう無いから安心しろ。

 それと、今別で作ってもらってる10台は警備兵の練習用にするつもりだ。」

「練習用って?」

「ジー辺りに俺が仕込んでジーを教官にして教習所みたいな物を作ってそこでOKを出された者だけが自分のバイクを持つ事を許そうと思う。」

「なるほどな!それなら事故確率はかなり下がるな。」

「あぁ、ちょっと厳しめに採点させるからかなり事故率は下がると思うぞ。」


あわよくば鉄騎隊と名づけてこの町の防衛にも役立たせたいと思っているが今はまだ言わない。


「それは私も受けられますか?」


とコウが聞いてきた。


「え?乗りたいの?」

「乗りたいです!」

「それなら受けても良いけど、結構危ないよ?ニルル爆発したし。」


と、脅しを込めて言って見る。


「爆発!?」


そう言って後ろに飛んで下がる。

飛び上がるほど驚くとは・・・


「あんちゃん、爆発はしてないよ?」


カツが突っ込みを入れる。


「まぁ、爆発は冗談だが、結構な距離飛んだよな?」

「それは間違いじゃないな。でも、あいつが元お嬢様だっただけの話だと思うぜ?」

「それも間違いじゃないな。自転車が乗れるなら普通に乗れると思う。」


それを聞いて安堵したのか、コウが


「自転車なら乗れてましたよー」


と自慢げに言って来る。自慢する事では無いとは思うがな。

それならばと許可を出し、バイクの出来上がりを待つ事になった。

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