第8話ー少女、旅に出るー
〜翌朝〜
「よし、そろそろ出発しようか……」
私は目が覚めてから、最後に今までお世話になった拠点に別れを告げ
昨日のうちに準備した物を持ち関西ターミナルへと足を進めた。
〜数十分後〜
色々なことがあり、すっかり忘れていた。
ターミナルまでは、一日かかるのだった。
「ここらへんももう見慣れたなぁ」
私はノートを拾った店や物資を探すため何度も立ち寄った建物を見ながら
足を進めた。
〜翌日〜
「やっと着いた……」
ターミナルまでは特に何事もなく進んだ。
しかし、本当の難所はここからだ。
「あの時のやつどうなったんだろう」
私はリニアの道を進む前に、念のため
あの球体を確認しに行くことにした。
相変わらず空港内はまるでこの世から音が消え去ったかのように静かで、
その耳に聞こえるのは自分の息遣いと足音のみだった。
「近づいても危険は無いのだろうか……」
私は球体がいた場所へ近づくにつれ恐怖心が大きくなっていきもしかしたら襲われるかもしれないと、最悪の想像を何度もしてしまった。
「やっぱり確認なんてせずに行けばよかった」
ホールへの扉に近づくにつれ私の足はまるで蔦に足を引っ張られているかのように重かった。
「!?え」
私は大きな声で叫んでしまった。
静かな空港内で反響する私の声が何重にもなって聞こえてきた。
そこに見えるのは天井の一部が崩落し周りには何もないホールだった。
「……あの球体は?」
もしかしたら天井の瓦礫の下で押し潰されてるのかもしれない。
私はそう思うことにして足早にホールを後にした。
「ここが海上リニアの線路かな」
私はターミナルを探索し時間短縮に使えるものが無いか調べることにし、
船着き場に行って見たものの、そこには水草に縛られ粉砕している船等しかなかった。
海上リニアの線路はある程度海上から上にあるので植物の侵食を受けなかったのだろう。
しかし線路を使っても関西ターミナルから徳島ターミナルまでの66kmを歩くのは非現実的だ。
そんなことを考えながら何か案はないかと思い来た道を戻ってる最中に壊れたバイクを見つけた。
「!!これなら時間を短縮できそう! 」
壊れている箇所を確認する。
幸い手持ちの道具と知識で直せる程度だった。
バイクを確認する。
故障箇所を確認し、修理していく。
私は持ち前の知識で、バイクを走れる程度に直し、リニアの線路を走ることにした。
〜1時間後〜
「どうしよう……」
あの事態に直面したのは確かバイクで走り出して1時間くらい経ったときだった。
リニアの線路はリニアが風の影響を受けないようにトンネルのようになっている。
はずなのに目の前に光が見え始める。
「なんで光が? 」
出口には早すぎる、そう考えてるのもつかの間
視界が光につつまれた。
「眩しっっ」
視界が戻ると同時に見えたのは一部が植物に侵食され崩落した線路だった。
「まずいっっ! 」
私は急停止をしようとしたが間に合わずとっさに進路を変え植物の根にぶつかり、バイクから放り投げられた。
〜???時間後〜
「……いっったたた……」
目が覚めると反対側に大破したバイクが落ちていた。
どうやらぶつかった衝撃で投げ出され、反対側に渡れたようだ。
「一体何時間倒れてたんだろう……」
壊れた外壁から見える景色から今の時間帯は夕方だろう、出発した時間を考えると少なくとも数時間は経っているだろう。
「はっっ持ち物は?! 」
私は急いで持ち物を確認した。
一部の食料を除いて、ほとんどの物は背負っていたカバンの中で、私と一緒に投げ出されていた。
幸いにもカメラは他の荷物がクッションとなり壊れてはいなさそうだ。
「ここからは歩くしか無いのか……」
しかし一番の問題は物資ではなく、移動手段をなくしたのと
私自身が怪我であまり動けなさそうなことだ。
「どうしよう……」
この状態で残り数十キロを歩くのは流石に無謀だろう、
しかしかといってここから戻るわけには行かない……。
「そういえば……! 」
急いで辺りを見渡すとやはりリニアの減速装置が見えた。
私が進んでる最中には見なかった、新設の淡路島ターミナルが近いのかもしれない。
「それなら、一度淡路島に行くのも悪くないかも……」
もともと予定にはなかった。
しかし、今の状態で徳島へ向かうのは無謀だ。
それに――
ふと、景の言葉を思い出した。
旅は目的地に着くことだけが全てじゃないと。
「せっかくだし、淡路島を見てから行くのもいいかも」
私は徳島ターミナルへの直行を諦め、一度淡路島へ向かうことにした。
目的地は変わらない。
ただ、少し寄り道をすることにした。
きっと寄り道も旅の醍醐味だ。




