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          3 紙漉き

 マリエールとテレサは、コウゾの変わりホウヤの木ネリにはゴリウリの実がいい事を老人から聞いた。森の奥でベアーが出るところらしい。

            3  紙漉き


 テレサとマリエールは森に詳しい老人を訪ね、コウゾやミツマタの特徴を説明して若くて軟かい木がないか、それからネリの特徴を説明してとろろのような実を知らないか聞いた。老人は、

「ホウヤの木とゴリウリの実じゃな。どちらも森の大分奥の方にあるからベアーに会う危険がある。屈強な男衆に武器を持たせて行かねばならぬ。ゴリウリは夏の終わりから秋になるからそろそろかの。」

老人はホウヤの木やゴリウリの実がどんなものか説明した。

 その後手の器用な者に紙漉きの道具であるすげたの製作を依頼した。和紙作りの道具を川に近い小屋に集めた。すげたが出来上がってから、老人と武器を持った男衆と共にホウヤの木とゴリウリの実を採りに行く事にした。全員大きなカゴを背負って森の奥に向かった。しばらくすると、

「これがホウヤの木じゃ。」

確かにコウゾに似ている。軟かそうな木だ。これなら間違いないだろう。大量に収穫した。またしばらくすると、

「これがゴリウリじゃ。」

ウリの形をしているが見ただけでは中身は判らない。ゴリウリも大量に収穫した。途中ベアーに遭遇したが男衆が威嚇すると退散していった。こちらも今日はベアーの肉目当てではない。お互いに戦いたくない。

 収穫を完了して小屋に戻る。ホウヤの木を乾燥させるべく並べていく。作業は3日後と決める。

 作業日当日、灰を入れた大鍋に水を入れまきに火をつけかき回しながらホウヤの木を入れていく。かき回しながら火かげんを調整して水を足しながらタイミングを見計らう。マリエールは、

「もう大丈夫よ。中のホウヤの木をこちらの鍋に移して。そして新しいホウヤの木を鍋に入れて。」

予め水の入れてある鍋に煮たホウヤの木を入れる。冷めた頃に外皮を剥き白皮にする。白皮以外の余分な分を取り除き、白皮を叩く。

水につけ2日ほどおく。マリエールは、

「今日はありがとうございました。次の作業は明後日です。またよろしくお願いします。」

マリエールは満足そうに言った。ここまで順調だ。

 テレサはマリエールがこのような知識を持っている事が疑問だった。マリエールの夢の話しを読んだのはテレサだった。5歳の子どもが書いたとは思えないまとまった内容、内容の奇抜さ、字の美しさ。どれもこの世界ではない成人した者が書いたものとしか思えないものだ。テレサは伯爵に知らせた。伯爵は、

「マリエールは我が子だ。それは間違いない。しかし、利用価値がありそうだな。上手くいけばこの領に大きな利益をもたらす存在だ。大切に育て価値を引き出さねばならぬ。そのための費用は惜しまぬ。テレサ、その役割その方に任す。上手くやれ。」

そんなやり取りがあった。マリエールは何も知らない。お気楽に、

「もうすぐ、紙漉きだよ。楽しみだね。夢にまで見た紙漉きが現実になるんだよ。」

テレサはこの不思議な少女に、

「本当に良かったですね。心配な事、不安な事があれば何でも言って下さいね。何とかしますから。」

マリエールが本物でないとは言えない。

 紙作りが進む。灰を入れた水でホウヤの木を煮る。外皮を剥がして白皮にする。不純物を取り除き白皮を叩くて水に浸す。

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