この程度の軽い討伐……か
文句があるのなら、筋を通せや!
俺達が協力する事が決定すると、皇太子を紹介された。
確かに、受ける印象は次期皇帝に相応しいと言えたが、俺は「何かが足りない」や「噛み合っていない」と、そんな印象も僅かだが受けた。
……まあ、それが「実績」なのだろう。
小謁見の間から出て、メイドさんの案内で、皇太子殿下が待つ応接室へと案内された。
「初めまして。僕は『ジルクフリド=ヤマグ=マレソーヤ』だ。よろしく!」
「初めまして。シンファル=メイズ=アールスバイドです。よろしくお願いします皇太子殿下」
「止してくれ。こちらからお願いした事だから、冒険者同士みたいに敬語を使わないで欲しい。そして、僕の事はジルと呼んで欲しい」
「分かった、ジル」
この後、目的のワイバーンの稀少種である「エルダーワイバーン」に付いての事や、ジルの戦闘方法等を確認した。
まあ、ジルの戦闘方法は普通に長剣で戦うやり方だが、武器が特別製な分、攻撃力は「凄まじい」の一言だ。
しかも、基礎はしっかりと押え、実戦で磨いていた為に、補助に廻る必要は無かったし、ジルと模擬戦をして良く分かった。
後は、リン達の紹介だが、既に手を打たれていて、ジルがベルを鳴らせば、リン達が部屋に入って来た。
しかも、既にワイバーンの稀少種「エルダーワイバーン」の事やジルの事も説明済みだった。
「初めまして。僕は『ジルクフリド=ヤマグ=マレソーヤ』だ。よろしく!」
「初めまして。シンファル様の従者リンと申します、皇太子殿下」
……と、自己紹介がリンから始まった。
そして、奈津美ちゃんの自己紹介が終わると、少し呆けていた。
「ジル?」
「あ、いや、何でも無いよ!」
「そうか?」
「ああ! 短い期間かもしれないけど、よろしくお願いする」
この後、色々と説明と情報を受けて、実際に討伐するに必要な事柄等を確認した。
翌日
帝城に宿泊する事になり、朝を迎えたのだが、妙にジルは奈津美ちゃんに構ってくる。
「ナツミ嬢、この料理は美味しいですよ」
「ありがとうございます。ですが、自分で食べれますから」
こういったやり取りを見たひーちゃんは……
「ねぇ、シンさん。アレって……」
「とりあえず、討伐が終わるまでは黙っていよう」
「分かったわ」
ひーちゃんも気付いているが、そういった事は、依頼が済んでからにしよう。
それまでは、気付かない振りだな。
当然、仮にも帝国の皇太子を1人で行かせる訳もなく、若い騎士5名と、若い魔術士3名と、貴族令嬢で通る美貌を持つ回復術士1名とインテリな文官1名が随行していた。
ジルから話を聞くと、この随行者達は、ジルが皇帝になった場合の側近となる者達らしい。
しかも、貴族令嬢で通る美貌を持つ回復術士は、実はジルの婚約者で、最悪、ジルと婚約者だけは守って欲しいと、宰相に言われた。
序でに言えば、この回復術士は宰相の孫娘(長女)らしい。
オマケの序でに言えば、インテリ文官はジルの親友らしく、他の騎士達や魔術士達もジルの友人らしいな。
内訳は、騎士は男性4名に女性1名に、魔術士は男性1名に女性2名だ。
お互いの自己紹介が終わると出発したのだが、嫌っているオーラと表情を隠さずに接してくるインテリ文官の「グラウシス=マナル=アレクバード」が休憩時間に噛み付いて来た。
「どうして皇帝陛下は、こんな信用ならない輩を協力者に選んだのだ?」
「そんなに気に入らないのか?」
「当然だろう」
すると、回復術士でありジルの婚約者でもある「レンスディア=シャン=ブローバー」が口撃してきた。
「そうよ! この程度の軽い討伐なんて、私達で充分だわ」
「この程度の軽い討伐……か」
「な、何よ!」
「帝国騎士の精鋭部隊10人と宮廷魔術士8人を敗北させ逃亡を余儀なくさせたモンスター相手に『軽い討伐』と言うんだな。素晴らしい自信だ!」
「何!?」
「え!?」
「そして、君達は皇帝陛下が決められた事に対して反旗を翻す訳だ」
「そんな畏れ多いことは、言っていない!」
「そうよ!」
「何処が違う? 俺達の同行は皇帝陛下が決められた事だ。それに対して俺達に文句を言う事は、皇帝陛下に文句を言う事と同義だ。
つまり、反旗だろう?」
こいつ等、分かっているのか?
不満があるのなら、先ずはジルに上甲すれば良い。
それをせずに、俺達に文句を言うのは筋違いと言える。
「つまり、君達は皇帝陛下に対して背反している」
「ち、違う! 私は……」
「わ、私は悪く無いわ! そ、そうよ!
全部、皇帝陛下が決められた事に文句を言ってたグラウシスの悪いのよ!」
「れ、レンシー! お前……」
おや、愛称呼び?
まさか……な。
「判断するのは、お前らじゃないし、俺達でもない」
しかし、自分よりも弱いと判断した奴に噛み付く奴が側近候補か……
……と、同情はまだ早いか。
ジルの奈津美ちゃんへの行動を考えるとな。
もしかして、ジルは皇帝候補の筆頭になれるだけのスペックは持っているかもしれないが、被った「猫」が優秀なだけでは?
……ジルに背中を預けられないな。
言い訳しながら逃げ去っていく2人を見ながら、俺はそんな事を考えていた。
とりあえず、今の話の内容は皇帝に報告だな。
厳しくも温かいメッセージを待っています!
そして、星の加点をお願いします。




