……待って! 私、普通の服よ!
皆さん、初デートの軍資金は幾らですか?
周りの空気に追い詰められて笑い者にされた冒険者は……
「決闘だ!」
「おいおい。ナンパに失敗して笑い者にされた程度で決闘か?」
「そうだ!」
「何があった?」
騒ぎを聞き付けて、仲間が乱入した。
「説明して欲しい」
「簡単に言えば、ナンパ失敗の八つ当たりに決闘を申し込まれた」
「な!?」
「またか、ガダル」
「いい加減にしてくれよ」
「またなの」
「最低ね」
どうやら、常習犯みたいだな。
「済まなかった。ボク達からキツく言っておく」
「そうか。まあ、メスゴブリンのナンパが成功してからにするんだな」
「な!」
「ガダル!」
仲間の男2人が抑えているが、抑えが無かったら、殴り掛かっていたな。
「じゃな」
冒険者ギルドを後にした俺達は、途中に公爵令息時代に聞いたレストランと馬車の予約を入れて、宿屋に戻る事にした。
「お帰りなさい、シン」
「ただいま、ソフィア」
とりあえず、冒険者ギルドで起こった事を話した。
「それで、今日も朝帰り?」
「そうなるかな。だが、1人ぐらいは間者が欲しいしな」
「……確かに1人ぐらいなら必要かもしれないけど、本当に1人ぐらいにするのかしら?」
「……多分」
「……はぁ。私達は、もう貴族では無いけど、分かっているわよね」
「分かっているよ、俺の女性1位は、最高の女ソフィアだ」
「……んん! 余計な一言が混ざっていたけど、分かっているならいいわ」
俺の本心を聞いて、赤面してデレたソフィアは最高に可愛いかった。
「それで、今日シンが買った3人の奴隷だけど……」
ソフィアに頼んでおいた3人の奴隷が売られていた理由を聞き出していて教えてくれた。
どうやら、カナとナナは、最初の客が下手くその上に乱暴だったみたいで、2人目からは我慢出来なかったらしい。
普通は、それなりの良客を充てると思うが、粗悪な客に金でも積まれたか?
まあ、それなら仕方ないか。
ダンジョンに帰ったら、熱く甘く溶かしてやろう。
途中、昼食を挟んで、ソフィアと楽しい雑談をしながら午後2時半が過ぎた所で、冒険者ギルドに向かった。
リン達はソフィアの護衛だ。
因みに、服装はちょっと良い服にしているが、まあ、世界の次元を超えた男の共通したマナーだな。
「あら、来たのね。もう少しで終わるから、ちょっと待っててね」
「ああ」
いや~。
周りの野郎共の嫉妬の視線が痛いなぁ。
……気持ちの良い優越感だ。
「お待たせ」
「それでは行こうか」
「ええ」
予約した馬車に俺と受付嬢のサレナを乗せて行き先をサレナに聞こえない様に御者に告げる。
「何処に行くのかしら?」
「先ずは、贈り物をだな」
「楽しみだわ」
「期待して構わないぞ」
行き先は、王室御用達の大商会で、そこでサレナにドレス一式と宝飾品を贈った。
因みにアポ無しだが店に入る事が出来たのは、現場責任者にお願い出来る程度の弱みを公爵令息時代に握っていたからだ。
「……大丈夫?」
「大丈夫だ。それにデートに誘うだけで白金貨10枚渡す男だぞ」
「そうだったわね」
先にサレナを行かせ、支払いを済ませる。
「合計で白金貨17枚と金貨3枚になります」
「分かった」
俺は白金貨18枚を払う。
「釣りは皆で分けてくれ」
「「「「「ありがとうございました!」」」」」
支払いを済ませた俺は、サレナが待つ馬車に乗り込む。
「……幾らなの?」
「贈り物だから気にするな」
「……ありがとう」
サレナside
王都の受付嬢になって3年になるけど、充実した毎日を送っていたわ。
王都に店を置く商会とはいえ、良くて中堅で、しかも四女の私はあまり良い縁談が期待出来なかった。
だから、密かに憧れていた受付嬢になろうと思ったわ。
勿論、家族からは反対されたけど、頑張って認めさせて、高い倍率を乗り越えて、私は晴れて受付嬢になれたわ。
そして、実際に受付嬢になると、仕事で覚える内容の多さにビックリしたけど、先輩のマリアンさんから教わって頑張ったわ。
先輩のマリアンさんは、去年異動して都市セビリアナになって会っていないけど、手紙のやり取りもしているし、きっとマリアンさんも頑張っているだろうから私も頑張るわ!
そんなある日に、初めて見る冒険者チームが私の前に現れたわ。
少年1人に少女5人で、外見年齢は15歳ぐらいかしら。
……やっぱり、初めてみたいで、色々と質問されたけど、私はきちんと答えられたわ。
そして、最後の質問かな、と思ったら、デートに誘われちゃった。
まあ、私、外見にもそれなりの自信が有りますし、少なくとも月に2、3人からはデートに誘われるから今回も断るつもり。
やっぱり、王都の受付嬢をやっているから、玉の輿に憧れているのよね。
……と、思っていたら、白金貨1枚を握らされ、次に3枚、更に2枚、最後は4枚握らされてOKしちゃった。
だって、白金貨10枚よ!
こんなの、Aランク冒険者以上か、伯爵家以上の当主じゃないと無理だわ!
その後の業務は何処か上の空で、気が付けば午後2時半を過ぎていたわ。
そして、今日のデートの相手のシン様が私の前に来たわ。
良かった。
夢じゃなかったのね。
しかも、貴族が着る様な服装だわ!
……待って! 私、普通の服よ!
と、思っていたら、馬車で移動して王室御用達の大商会でドレス一式と宝飾品を贈られ、それを着ているという事は……
好きになったとか、愛した人じゃないけど、此処までしてくれる人なら良いかな。
ミレナお姉ちゃん、カレナお姉ちゃん、アレナお姉ちゃん!
私は、今日、大人の女性になりますっ!
???side
「やはり、アレしかないか?」
「……はい」
「気が進まんな」
「しかし、我が国の主力が通じなかった以上は、この方法しか」
「分かっておる」
「多少の非人道的な手段であろうとも、ダンジョンからのスタンピードを抑え、ダンジョンマスターを討伐するには……」
「……許可する」
「御意」
こうして、とある部屋では、秘密裏ではあるが国を上げての事業が開始された。
厳しくも温かいメッセージを待っています!
そして、星の加点をお願いします。




