正解ではあるが、足りないな
過去に読んだ漫画を思い出したら、こうなりました。
都市イクスリアの領主館に到着した俺達は、直ぐに正式な都市セビリアナへの資金援助の書類を送り、王都や帝国マレソーヤの帝都や魔法都市ハイムテインの王都に居るダンモンに指示を出して「聖剣」に関する調査を命じた。
勿論、ソフィア達にも聞いたが、ラビィすらも詳しくは知らないみたいだ。
「シン、スタンピードは?」
「あれなら大丈夫だろう」
「良かった」
「しかし、問題はスタンピードを人為的に起こした奴らだ」
「そうね。異世界からの召喚者以外で勇者が居たなんてね」
「俺は居る可能性を考えていたが、平和と正義を掲げている様には見えなかったな。
何故なら、スタンピードを人為的に起こしたのだから」
「それに……」
そう。
ただ、奴らが「魔王、許すまじ!」なら、まだ分かるが、スタンピードを起こす理由にはならない。
つまり、今、存在する「勇者」とは「使命」とか「宿命」を背負う者ではなく、職業やスキルや称号とかでの「勇者」なのだろう。
「……苦戦の可能性は有るが、心配する必要は無さそうだな」
「シン、本当?」
「ああ。封印された神話に出る様な『勇者』なら、俺とて総力戦を仕掛けた上で命懸けの戦いになっていただろうが……」
「……だろうが?」
「今の勇者を名乗る奴らがどれ程『絶大』だろうが、それは『絶対』ではない。
そんな『肩書き』だけの勇者に、魔王が負ける事は無い」
「分かったわ」
そう!
俺の知る「勇者」なら負ける可能性の方が高いが、今回の聞いた内容の「勇者」なら負ける方が難しい。
例えば、「ありふれ」の勇者の彼が、ストーリー上のラスボスとしての「魔王」が居た場合で、彼は魔王を倒せるだろうか?
俺は倒せるとは思っていない。
己に克てない者に「勇者と魔王」に於いての「魔王」に、勝つ事は出来ない。
だからこそ、俺は魔王としての名称を「クレス」にしたのだから。
そして、告知に「封印されし神話」を宣言したのは、そんな俺の「拘り」や「美学」からだ。
「それじゃあ、俺はダンジョンを視てくるよ」
「分かったわ。でも油断はしないで」
「当然だ!」
ダンジョン転移で司令室に行くと、都市イクスリアに居る特定のダンモン以外の全てのダンモンに指示を出した。
《都市イクスリアを巡回し、警護せよ》
「さて、奴らは来ているかな?」
先ずは、「剣」を背負っている上で、進行速度が速い奴だな。
勿論、テ○ルズの「デ○ティニー」を知る俺は「短剣」型の聖剣が存在する可能性を忘れてはいない。
「……コイツらかな?」
6人組の冒険者らしき連中が、倒したダンジョンのモンスターを無視して移動をしているから、直ぐに見付ける事が出来た。
まあ、この連中が陽動で、本命や伏兵が別に居るかもしれないが、魔王が存在するダンジョンに侵入した意味を、しっかりと教えてやらないとな。
???side
「情報通りで、10階層までは簡単だったな」
「つまりは、11階層からが本番という事ね」
「そうね。しかも、アレが魔王を宣言してからは、11階層から各階層毎に、階層ボスが待ち構えているらしいわ」
「……勇者の存在がバレた?」
「それは無いな」
「そうだな。オレ達の存在が魔王に知られる事は無い」
「確かにそうよね」
「しかし、オレ達も出る必要が有るのか?」
「確かにそうかもしれないわね」
「別にあっちはあっちでやるだろうし、オレ達は魔王を処理すれば良いんだから、サクッと終わらせようぜ」
「そうね。所詮は魔王なんて、勇者を輝かせる為の足場でしかないのだから」
「今日は、20階層を突破したら戻るぞ」
「「「「「了解」」」」」
シンside
「……なる程な」
「シン様」
「リン、どう思う?」
「分不相応で、傲慢な思考が不愉快です」
勇者御一行が、何処で、どうやって、何時、見付け集めたかは分からないが、確かに傲慢な思考だな。
「リン」
「はい、シン様」
「正義とは何だと思う?」
「正しき行いをする意思……だと思います」
「正解ではあるが、足りないな」
「足りないとは?」
「頭に『その者が考え信じる』が付く」
「……あ!」
「その者が信じる正義が『大量虐殺』だったらどうなる?
周りの者は、その行いを『正義』だと思うか?」
「いいえ」
「勿論、その大量虐殺された者達が盗賊とかだったら正義だと思うだろう。
しかし、それが只の村人達なら?」
「……」
「また、別の者が『悪行』だと思っているが、それが1000人の村人達を救う事なら?」
「……」
「周りは、その『悪行』を『正義』だと思うだろうな。
勿論、此等は極論とも言えるがな」
「……確かに」
「更には、過去に於いて、ダンジョンからのスタンピードが発生して、甚大な被害を受けたのは史実だろう。
しかし、そのスタンピードが、この世界の創造神が指示したものなら?
それを神殿や教会が知れば、もしかしたら、神殿は『正義』だと讃えるかもしれない」
「シン様……」
「所詮、正義なんてのは、その場その場で顔や意味を変える薄いモノなんだよ」
……だから、アイツらがした事は、絶対に「正義」では無い!
厳しくも温かいメッセージを待っています!
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「正義」の反対語は「不義」みたいですが、敢えて「悪行」にしています。
「テイルズ」シリーズで、第1作目の魔王でありながら魔王ではない「ラスボス」は初めてでした。




