この王国が許さないから!
運命の再会から、2人の今後は!
ソフィアside
「……そうだったの」
「それで、セリーには悪いけど、暫く領主館に居させて欲しいのよ」
「勿論よ。ずっとでも良いわよ」
「そういう訳にはいかないでしょう」
「本当に良いのに」
「私は、自由の身になった以上は、あの方を探したいの」
「ソフィー! あの方ってまさか!?」
「勿論、私の婚約者のアルコジル様よ」
「元! でしょう、元!」
「違うわ、セリー。私にとって、アルコジル様は今も婚約者よ」
「……はぁ。ソフィー、貴女のその気持ちだけは未だに解らないわ」
「セリー、ダメよ。アルコジル様だけは貴女でも渡さないわ」
「要らないわよ!」
「むぅー」
「……はいはい。それで、具体的には今後はどうするの?」
「私は、冒険者になってアルコジル様を探しに行くわ!」
「ダメよ! そんなの危険だわ!」
「大丈夫よ。私の学園での成績を知っているでしょう」
「……確かに。ソフィーは、第2位階魔法を詠唱破棄で使えて、それに槍、特に東方から伝わる湾刀槍……ナギナタの遣い手だったわね」
「そうよ」
「それでも1人はダメよ」
「大丈夫よ。私を助けて頂いた彼らにお願いしようと思っているの」
「ダメよ! 男が居るじゃない!」
「その辺りも大丈夫よ。一緒に居る女性から安全だと判断出来るわ」
「……確かに。色に堕ちた女性特有の匂いや、恐怖や暴力で縛った暗い空気も無いし、装備品や服装とかにも差別が無い。
それに、彼らからは無学から来る不作法も無かったわ」
「それに命の恩人でもあるしね」
「……分かったわ。言い出したら聞かないんだから。私も協力するわ」
「ありがとう! 流石は私の親友!」
シンside
メイドに案内された客室で大人しくリン達と卓上ゲームで時間を潰していると、セラリア王女殿下とソフィアが入ってきた。
「長く皆様を待たせてしまい申し訳ありません」
「大した時間じゃないよ」
「ありがとうございます。それで……」
ソフィアの話を簡単に言えば、一人前になるまで俺達のチームに入れて欲しい、という事だった。
話の中に「探したい人がいる」と言っていたが、それは多分「俺」だろう。
「ソフィアは貴族だろ? 冒険者は色々な意味で綺麗な職業じゃないぞ」
「私はもう貴族ではありませんし、覚悟は出来ています」
「本当に覚悟が出来ているのか?」
「はい!」
リン達を見ると全員が頷いた。
「分かった」
「ありがとうございます!」
「良かったわね、ソフィー」
「ありがとう、セリー」
まあ、ソフィアを見捨てる気は無かったからちょうど良いか。
……それに、あの時のソフィアの「涙」で俺への気持ちは分かっているつもりだ。
因みに、この世界の貴族は一夫多妻制で、側室、妾、愛人等は、夫が正室を尊重して最優先にし、後継者問題をきちんとやっていれば、正室達女性側は不問とするという慣習になっている。
まあ、その分、ソレを破れば、無能で恥知らずの悪名が社交界に広がり、男性貴族達からは侮辱され、その辺りがOKな貴婦人達には拒絶され、最悪は正室権限で去勢とかになる。
さて、夕食になり出された食事は、領主の地位とはいえ、流石は王族に出される料理で、大変美味しかった。
夕食後に風呂に入り、その後は親睦会を開いた。
ソフィアからは、貴族令嬢の笑い話等を話したり、リン達からは冒険者の笑い話等を話したりした。
そして、ダンモンとはいえ、リン達も「女」な為に、ソフィア提供の貴族令嬢達の恋話に食い付いた辺りで俺は部屋から脱走した。
最終的にはソフィアは、貴族時代の俺の事を話すだろうから離脱するに限る。
一応、リン達には俺に繋がる反応とかをしない様に念話で指示した。
「ふぅー」
「あら、深い溜め息ね」
「これは、領主にしてセラリア王女殿下ではありませんか」
「……何をしているの?」
俺はベランダで一息していると、セラリア王女殿下が現れた。
因みに、セラリア王女殿下の後ろには護衛騎士2人に侍女のクラインが静かに控えていた。
「流石に、女性の恋話に加わる度胸は無いんでね」
「貴方以外のメンバーが、女性冒険者なのに?」
「ああ」
「ふふ。貴方に、ちょっと聞きたい事があるのよ」
「答えられる事なら」
「火属性か雷属性の使い手で、特に魔力制御に秀でた冒険者を知らないかしら?」
「……知らないな」
「そう。もし知ったら、報告するか、連れて来なさい。充分な謝礼を出すわ」
「連れて来たら、どうするんだ?」
「勿論、私の家臣に加える事も可能性として考えているわ」
普通に考えたら、直ぐに喰い付きたい内容だが、ダンマスの俺にはリスクとデメリットが有る内容だな。
「そんなに凄いのか?」
「ええ。あれ程の精密な魔力制御を、私は知らないわ。王宮魔術士達でも出来ないと思うわ」
「まあ、見付けたら、な」
「ありがとう。それと、ソフィアに変な事をしたら承知しないから!」
セラリア王女殿下は、そう言った後、ベランダから立ち去った。
まあ、「この王国が許さないから!」と言わない辺り、セラリア王女殿下もソフィアの立場や境遇を分かっているという事か。
厳しくも温かいメッセージを待っています!
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